こちらは新歓ブログリレー25日目の記事です。
こんにちは、普段はサウンド班にて楽曲制作を行っています22Bの、のさーく(nosaerc)と申します。
暇がある方、サウンドに興味のある方は、新歓のために制作された無料アルバム、また私個人のSoundCloudやYouTubeなどにて作品を聴いていただけると嬉しいです!
さて、この記事では創作活動ではなく学業の方について、新入生(もしくは新B2)の皆様に役立つ情報を書いていこうと思います。というのも私自身は現在「理学院に入学→系所属に失敗し志望していた数学系に行けず物理学系に進む→転系制度を用いて再び数学系を目指す→転系に失敗し引き続き物理学系で過ごす(予定)」という状況にあります。系所属に失敗すると大変な思いをすること、そして情報の格差によって大分立ち回りが変わってしまうことを痛感したため、23B以降が同じ失敗しないように情報を共有しておくべきであると思ったからです。
具体的には、一年次の授業のレビュー、系所属や希望留年・転系の制度について、系所属の戦略などの汎用的な情報に加えて、理学院内から数学系を志望する方、系所属に失敗した方、物理学系に所属することになった方、転系を目指している方など、私の状況と共通点がある方に向けて、あまり知られていないものも含めて役立つ情報を書いていきます。
注意点
系所属、あるいは転系という言葉を聞いたことがない、見たことがない、知らない、初めて見たという方は非常識くん(23B)のブログリレー記事の冒頭を読んでもらうか、次章の「系所属・転系の概要」を読んでください。
また、授業の情報は、一年次のものは2022年度、二年次のものは2023年度に対応するので、教員が変わるなどして状況が変わる可能性があります。したがって、該当年度のシラバスを検索し、あなたの現在の年度のシラバスと照らし合わせて必ず私が受講した当時と状況が変化したかどうかも確認するようにしてください。[1]
講義の負担や難易度、内容の興味深さなどは私個人の関心や環境[2]に大分依ってしまうと思いますので、参考程度にお願いします。
そして授業科目以外の、例えば制度についての情報も年度によって変更されることがありうるため、各自東工大の公式HPも確認するようにお願いします。公式HPには想像しているよりもずっと多くのことが書いてあります。[3]
系所属・転系の概要
初めて見るという方もいると思うので軽く説明します。
系所属
東工大では入学時にすぐ専攻を決めず、入学後1年間を学院[4]という大きな枠で過ごします。1年次から2年次に進む際、より細かい「系」[5]を決めて進学するのですが、それは各学生の1年次の科目の成績と志望順位を勘案の上決定されます。
基本的には学院の中の系に進みますが、好成績を修めれば学院外の系に進むことも可能です。これを「転院」といい、毎年相当ハイレベルな点数で競われている印象です。
100番代と呼ばれる1年次の科目の成績が重要になるわけですが、具体的には必修科目による合計23単位のうち、点数の高い上位17単位と、選択科目のうち点数の高い上位14単位の点数を合計して、3100点満点の系所属点と呼ばれるもので競います。ただし、同じ科目で複数取得単位がある場合は別々に同じ点数として扱われます。[6]
ここを詳しく解説していると相当な労力が必要なのでこの程度にとどめます。詳しくは東工大公式HPまたは非常識くん(23B)のブログリレー記事を参照してください。大学での学業の基礎的なことが詳しく書かれています。
転系
これは知らない方が多いのではないかと思いますのでなるべく詳しく書いていこうと思います。
一年次の系所属で系に属した後でも、二年次以降から「再度の系所属」という扱いで系を変えることができます。出るための許可を系主任にメール文面でもらい、それを印刷して書類とし、「転系志望願」とともに12~1月頃に教務課へ提出する手続き[7]が必要ですが、比較的簡単に行えます。ただし、あくまで系所属であるため、同時期の一年生に加わって再び100番の系所属点で競うことになります。
また、他の方法として、系所属点を用いない方法も存在します。基本的には出る系の主任、入りたい系の主任に相談して条件を確認し許可をもらった上で、指定条件[8]がある場合などはそれをクリア、そして教授会で許可が出れば行えます。ただし行うことができる学院、系は限られており[9]、不可能でない系であっても数学系のような収容定員に対して希望人数が多い系では、人気が下火にならない限り行うことができないと考えて良いと思います。行きたい系の主任にメールなどで尋ねてみてください。
後者については来年度4月からの転系だけでなく、今年度9月からの所属でも行うことができます。基本的に半年程度前から準備して長い時間をかけて行うものであり、前者の転系と併用する場合はいずれか一方で失敗したことが分かった後に、もう一方へ挑戦する、という形になります。
詳細な手続きについては公式HPの「系所属のための系案内」からpdf:「転系について」を確認してください。ただしリンク先は2024年度のものなので注意。疑問点は滝プラザ1階の教務課学務に相談してみましょう。また、いずれの方法を取るにしても、アカデミックアドバイザーの方に相談してみるのも良いと思います。
一年次の授業(感想)
24B以降の方が最も気になる項目かと思います。自分は22Bなので変わっていることもあるかもしれないですが、参考にしてください。
なお、多くの大学は一年を前期と後期に分けてそれぞれで履修をしますが、東工大は変わっていてさらに前期が1,2Q、後期が3,4Qという4つのクオーターに分かれ、それぞれで履修登録を行います。
時間割は以下の通りです。
必修科目
線形代数学第一・演習
行列の概念を導入します。行列・行列式にまつわる計算や連立方程式の解などがメインになります。週2の講義と週1の演習がセット[10]になっており、レポートや演習問題をこなしながら理解を深めることができます。以下の微積分学についても同様です。講義の成績は基本的にテストの点数で決まります。
微積分学第一・演習
広義積分、逆関数など高校数学の解析の延長を学びます。うっかり中間テストを忘れてしまい受けられず、点数にペナルティを負ってしまった記憶があります、このようなことがないように気をつけてくださいね……。演習のレポートも一回忘れて提出できなかったことがあった気がしますが、点数的にかなり痛いです。必修の数学は線形代数と微積第一のみで前期で終わります。後期の数学は選択科目です。
力学基礎1,2
前期の必修物理です。高校物理で学んだニュートン力学を改めて数学で記述しなおします。最終的には天体の運動などを扱います。後半になるにつれ、どんどん難しくなっていきます。とある教員に当たってしまうと鬼のように難しい授業が展開されるそうです……。
電磁気学基礎1,2
後期の必修物理です。クーロンの法則、ガウスの法則などなど高校物理で学習したような内容を改めて数学で記述し、応用的な内容も扱います。教員にもよると思いますが、マクスウェル方程式は最後にちらっと出てくる程度だった気がします。テストがきつくて2の方はギリギリで単位を貰いました。
有機化学基礎
有機化学の反応をしっかり説明する感じです(化学弱すぎて合っているかは知りません)。なお、必修の化学は教科書が大学指定のオリジナルテキストで全クラス共通なので、内容は各クラスでそこまで変わりません。
無機化学基礎
内容は原子の電子軌道や金属、酸塩基あたりを扱いました。高校や予備校で発展的な事項を学んでいた人はやりやすかったんじゃないかなと思います。あまりにも化学が苦手でやる気がなく、かなりギリギリの点数で単位を貰いました。
化学熱力学基礎
後期の化学科目という体ですが、ほとんどは熱力学の基礎を学ぶので、実質物理です。後半に化学反応などの化学の例は出てきます。内容としては難しいと感じました。
量子化学基礎
こちらも後期の化学科目という体ですが、ほとんどは量子力学の基礎を学ぶので、実質物理です。後半に結合、分子軌道などの化学の例が出てきます。こちらも急に量子力学を基礎からやらずにつまみ食いしていくので理解が難しいです。
生命科学基礎第一、第二
スライドメインで先生方のお話を聞く授業です。生物に弱い東工大生に配慮してか基礎的な部分から説明してもらえます。一限かつ出席ありなのでとても苦しかった記憶があります。授業はじめに配られる紙に小テストの答えを書いて授業後に提出する仕組みです。期末テストはマーク式で、暗記がものを言います。過去問と大部分が一緒なので、過去問の入手が重要です。問題用紙は回収されるはずなのに、過去問がなぜか出回っています。
英語第一、第二
前期の英語は自動でクラスが決まります。指定の教科書に沿って進めるクラスが多いと思います。高校の英語の授業に近い印象です。
英語第三、第四
後期の英語はRW(リーディング、ライティング)、LS(リスニング、スピーキング)の2パターンを選んだ上でクラス分けが行われます。
東工大立志プロジェクト
いろんな人の話を聞いてディスカッションしたり、お題に関する文章を書いたりします。点数が出ずに合格/不合格の判定のみがある合否科目なので、系所属点には換算されないです。適当にやり過ごすのが良いと思います。出席と課題をちゃんとやればまず落単しないはずです。
なお、以下の2~4Qの文系教養は分野別(人文学系、社会科学系、融合系)のものを各Qに選ぶ必要があるので、人によっては興味がない科目を選ばざるを得ないこともあります。
国際関係論A
戦後日本の主に日米関係における意思決定について、公開文書から考察します。基本的には先生の話を聴くスタイルですが、質問の時間が多めに取られます。期末レポートの比重が大きいですが、興味があれば分量はそこまで負担ではないと思います。私は分野的に興味のない科目だったので苦労しました。
社会モデリングA
集合論を用いて投票などの政治的、日常的な行為を説明する協力ゲーム理論を学びます。授業はかなりハードで、数学の講義のようにしっかり自分でスライドを追わないとついていけなくなります。数学系志望で、社会科学への応用に少しでも関心があるならおすすめです。
哲学A
哲学とは何なのかをゆるく説明した後、様々なテーマについて書籍なども引用しつつ考えてみるという授業です。ほとんど先生の話を聞くスタイルです。出席はありませんが、なるべく授業に出て話のメモをとることをおすすめします。レポートを書くときに役立ちます。点数が取りやすいのでおすすめです。興味がある人は質問をしてみるとよいでしょう。私の場合は授業後に質問へ行っていました。
選択科目
情報リテラシ第一、第二
東工大のwebサービスや図書館について、ネットリテラシーやLaTeX、インターネットの仕組みについてなどを学びます。教員によって大きく授業内容や点数の入り方は違うようですが、基本的には高得点が期待できると思いますし、多くの人が履修するので、取ることをおすすめします。
宇宙地球科学A
天文、宇宙、地質、地震などについて全般的に講義が行われます。地学、物理、化学、生物が混じり合っていた印象です。何回かレポート、課題の提出があり、テストは行われませんでした。点数は普通です。
健康科学概論
睡眠についての科学的事実を学びました。期末レポートとして、自身の睡眠を可視化するというレポートがありました。内容は興味深いと思いましたが、点数は私を含め80点が来たという人が多く、そこまでおいしいわけではないと思います。
理学院リテラシ
理学院の各系の教員方が講義を行い、それについてレポート課題が出されます。数学系のレポートを気合入れて書いたためか、点数は良かったです。
物理学演習第一、第二
必修物理の講義の内容に合わせて演習問題が出され、発表者を募って解答を次回授業に発表する授業です。中間、期末レポートで点数が決まります。ほとんどの人は履修している印象です。
環境安全論
環境にまつわる公演を大学の講堂で聞き、都度小テストを解くという形式の講義です。記憶力が良い方は点数を取れると思いますが、寝る人が続出するほど退屈なので話を一方的にずっと聞いていられない人には酷なので、やめておいたほうがいいかなと思います。
科学・技術の創造プロセス【理学院】
2Qの科目です。理学院の4つの系の中から2つの系を選び、それぞれの系で教員の方のお話を聞いてレポート課題を提出するという授業です。私は数学系と地球惑星科学系になりました(アンケートがあり、人数の関係で決まります)。点数は良かったです。
物理学実験第一、第二
隔週でそれぞれ前期、後期に履修します。履修の際は抽選がありますが、大体の人は普通に受けられると思います。内容としてはかなり薄く、なんと毎回数十分で実験が終了するため楽な授業と言われています。レポートについてはTAの方から伝えられる注意事項を守っていれば90点代はもらえるはずです。
コンピュータサイエンス第一、第二
主にPythonの使い方を一から丁寧に勉強します。教員にもよりますが、課題をすべて出していれば点数は取りやすいです。自分のクラスは課題が110点満点で、オーバーした場合は100点にする措置を取っていたので100点をいただけました。第二は内容的に競プロer有利だと思います。
微積分学第二・演習
第一とはうって変わっていわゆるイプシロン・デルタ法を扱うなど、基礎から積み上げるスタイルです。数学系志望は100点を取るチャンスなのでぜひ履修しましょう。
線形代数学第二・演習
第一とはうって変わってベクトル空間などの抽象的な線形代数の理論の基礎を学びます。数学系志望は100点を取るチャンスなのでぜひ履修しましょう。
系所属の戦略
正直系所属点をもっと取っているガチ勢の方が参考になる気はしますが、特に数学系志望向けのお話は十分できると思いますので参考にしてみてください。
系所属点の目安(理学院数学系)
まず系所属点をどの程度取れば所属できるのかということが最も気になると思います。
真偽のほどはわかりませんが、21B以前は学院内であれば2700後半から十分所属できる、2700代であれば可能性はあるという噂が立っていたようです。実際に20Bの方々の点数調査を見るとそのようです。
しかしながら、22B以降から様子が一変します。22Bでの学院内所属のボーダーは予想に反し、2800を超える程にまで上昇しました。前年までの噂を信じのらりくらりと過ごしていた私は2776点であり、十分に勝機ありと見ていましたが、見事に打ち砕かれました。
今年の23Bでは正確な調査はまだのようですが、さらに2880付近まで上昇しているそうです。もはやかわいそう。信じがたいですが、もし私が選択科目をすべて100点で埋めていたとしてもカバーできない点数です。必修大事。
全体的にボーダー点数は上昇傾向にあると言えそうです。上昇がどこまで続くかはわかりませんが、このまま数学系の人数が29人のまま、学院の系編成も変わらないままということであれば、この高い水準のまま上下することになるかもしれません。
第二希望はどこに出すか
系所属では、複数の系を希望することができます。数学系を第一志望とする場合、学べる内容が最も近いのは数理・計算科学系ですが、情報理工学院内にあるため転院扱いとなり、おそらくより高い系所属点を要求されるため第二志望に書く意味はありません。そこで理学院内として物理学系と地球惑星科学系(以下地惑系)が第二の候補になります。どちらがよりあなたに向いているかを確かめましょう。
まず、学べる内容ですがどちらがより数学系に近いかと言うと五十歩百歩です。強いて言うなら、物理学系の方が応用数学、物理数学、数理物理といった方面に近くアドバンテージがあるので、純粋数学だけでなくそうした方面にも興味がある場合物理学系の方がよいでしょう。しかしそれ以上の関係はあまりなく、「大学では物理が数学になる」というわけではないです。あくまで物理は物理であり、数学は道具[11]です。地惑系については詳しくは知らないのですが、いわゆる地学と宇宙論を学んでいる、また、理論というよりは実験やシュミレーションのイメージが強いです。
次に卒業に必要な単位の数ですが、かなり差があります。物理学系は◎で表される必修の科目が37単位必要で、さらに◯で表される選択必修の中から少なくとも4単位、そして専門科目を合計で63単位取る必要があります。物理学系以外の系外の専門科目は12単位までしか換算できません。これは東工大のすべての系の平均と比べて忙しい方だと思いますし、実際私は忙しい生活を送っています。
一方地惑系は必修が実験、研究の単位の合計16単位です。選択必修は25単位ですが、数学系の200番の単位でほとんどを代替することができます[12]ので、実質的に必要な単位数は20程度となります。研究のことを考えなければこれはかなり楽なハードルと言えるでしょう。これが数学系志望の第二志望として最近地惑系が選ばれ始めている理由です。[13]
汎用的なコツ
数学系志望の場合に限らない、系所属点を高めるコツですが、まず第一には自身の興味に忠実に選ぶということが挙げられると思います。2年間勉強していて、想像以上に興味関心の度合いは点数に反映されると感じています。興味はあるが教員が悪名高いという場合、避ける意味はあると思いますが、興味はないが点数が入りやすいから履修する、というのはやりすぎると病んでしまうので気をつけたほうがいいと思います。
あとは必修科目がウェイトとしてとても重要なので、前期は必修科目を重視してなるべく必修に集中し、後期は必修科目が少ないので、選択科目を絞って取ることで点数を稼ぐというスタイルがおすすめです。とはいえ選択科目は興味に応じて気ままに取ってもよいと思います。点数が取りやすい選択科目は後述しますので参考にしてください。
希望留年について
系所属を行う際、「希望留年」という制度があります。これは第一志望のみを提出し、そこの系に入れない場合は自主的に留年するという制度です。
これだけ見ると多くの方は避けようとすると思いますが、部内で一年次に留年した方から話を聞いてみると、意外にもメリットはありそうだと言うことがわかりました。
まず、新一年生は必ず100番の科目のみを取ることになっていますが、留年すれば「新一年」ではないため、200番以降の系科目を履修できる可能性があるとのことです。[14]しかし、履修する200番の科目や系によっては、履修条件[15]をクリアしている必要があるため、系主任にメールをして確認してください。
留年した場合でも、既に単位を取った100番代の科目は再履修する必要がないので、単位を取っていない100番代科目のうち、系所属資格のため、あるいは系所属点のために部分的に履修することにはなりますが、それ以外は200番の科目も履修できる可能性があるため、系に所属することができないという点以外には大きなデメリットはなさそうです。
そして再びの系所属に成功し、希望の系に入ることができた場合、留年時に200番の科目を十分に取っていれば、一年遅れずにそのまま3年生扱いで所属することも可能です。なぜなら2年から3年は留年の概念がなく、4年次に履修する卒業研究の単位ための条件さえ1年後に揃えればよいためです。これも系主任に確認してみるとよいでしょう。
しかしながら、当然系所属点が全く志望系のボーダーに届いていないであろう場合、さらに必修科目の単位をほとんど取得してしまっている場合は特に、希望留年で巻き返して希望系に所属することは難しいので、おすすめしません。
ぜひ慎重に情報を集めた上で、希望留年という選択肢も検討してみてください。
系所属に失敗したら?
失敗した場合の選択肢として考えられるものを挙げておきます。そのまま第一志望でない系に進んで、そこでの学びが思ったよりも楽しくなってその道に進む、あるいは別に楽しくはないが、耐えられないほどではないのでそのまま卒業して就職、あるいは院に進むなどの進路以外のものを挙げようと思います。
まずは先ほどまでに書いてきた転系・希望留年という方法ですね。成功すれば、一年遅れる可能性もありますが、行きたい系に所属することができます。
後は学修案内という、学業全般について載っている公式のpdfによれば、数学系の場合ですが、条件さえ満たしていれば研究の段階から所属できるという旨のことが書いてありました。これについては自分自身最近気がついたばかりで、ほとんど知識がないので、気になった方は各自で調べて貰えればと思います。
他の方法もあるので以下に示します。
院試で他の学院に移る、あるいは大学を変える
卒業さえしてしまえばまた新しいチャンスが訪れるので、院試で挽回しようと考えることもできます。ただし、学部での成績で研究室を決めるところもあるため、入った後に所属したい研究室に行けるかどうかはわかりません。興味関心がないと成績は低くなりやすいですから、不利といえるでしょう。また、所属出来たとしても、そこでついていけるかどうかというのもあります。研究室所属だけでなく院試についても言えますが、前提知識となる学部の内容は自分で学んでいなければなりませんから、その点も不利になるでしょう。しかし意欲があれば意外となんとかなりそうな気もしています。私は現在迷っているところです。
大学編入
これはtraPで実行した先輩を1人知っていますが、どうやら編入試験というものがあって、それを受けることで編入ができるようです。デメリットとしては、いわゆる世間的な大学の格は落ちてしまうので、就職活動では不利になる可能性があること、単位互換がどこまで効くかわからないことなどですかね。前者については院進でなんとかなる気もしますが。私はそこまで詳しくないため、各自で調べてみてください。
希望留年・転系を踏まえた系所属点戦略
自分で試したものではなく、「やればよかった」というものなので、結果として本当にベターかどうかは保証できません。また制度上可能だろうというだけなので、全体的に少しリスキーかと思います。実行する際はよく確認してから行ってください。加えて自分自身で単位の取得をコントロールする能力がある、つまり普通に頑張れば単位が取れる程度のことは前提としているので、自分の能力をよく鑑みたうえで行ってください。
英語第一、第二を再履修にする
100番代では英語の単位が第一~第四まで4単位ありますが、そのうちの前期の2単位はあえて履修しない、履修を取り消しする、あるいはわざと授業に行かず単位を落とします。当然このまま行くと系所属資格すらない状態になりかねませんが、後期に第一、第二の再履修クラスがありますから、そちらを履修することができます。[16]再履修で単位を取得しても、必修単位には換算されるので系所属資格は大丈夫なはずだと思いますが、各自で確認してください。
メリットとしては「前期の必修数や一限数を減らし、他の科目に集中できる」「担当教員による点数の運要素を減らし、高得点を安定して取ることができる」が挙げられます。私は英語第五を履修しなかったため、英語第一&第五の再履クラス2で2年3Qの水曜午後に履修しましたが、英語に弱い私にとってもかなり緩めの授業で、小テストと毎回の課題をきちんとこなしていれば90点がつくような感じでした。(当然教員によって違います)
ただし、元から登録されていたクラス[17]の教員の評判が悪くない、点数が取りやすいだろうという場合はわざわざ落として再履修する必要はないので、第一、第二は最初の何回かだけでも授業を覗いてみて様子を見るといいかもしれないです。
なお、TOEICなどの検定で単位認定ができるという制度があるので、それが可能なぐらい英語に強い人[18]は4つの科目がすべて100点扱いになるので前期のうちはそれを目指すのがベストですね。ただし、一度履修して単位を取ってしまうと、単位認定で上書きすることはできないので、入学してすぐ試験を受けるか、前期の英語を履修せずに試験を受けてください。単位認定制度については詳しくないので調べてみてください。
必修科目の手を抜く
系所属に用いられる必修単位は17、1年次の必修単位は23単位なので、極端に言えば4単位分は落としていても問題ないわけです。ただし、2単位分は合否科目である立志プロジェクトの分なので(23-17)-2=4としました。もしその分他の必修科目の点数を高める努力ができれば嬉しいですね。前期は科目数が多くて一限もすべて埋まるのでしんどくなりやすい一方、必修科目の密度が高く、とても重要な時期なので、なるべく負担を減らせることには十分メリットがあると思います。後期はそこまで忙しいわけではないのですが、点数を取りにくい科目なら手を抜くのもありかと思います。自分が仮に1年次に戻ったとすれば、ギリギリ単位を取れた有機、無機など化学系の科目はもっと手を抜くだろうなと思います。もちろんその分他科目の勉強ができる自己管理能力がある場合に限りますが。
また、手を抜いて単位を落としておくことで、転系・希望留年をしたいと思った際、次年度に再び系所属する場合に再履修でより高い点数を取ることができるかもしれません。また、系所属点を変えないまま再び系所属バトルをするのは運まかせになるので頑張る余地は残す方がよく、選択科目以外にも必修科目も点数更新できる方がよいというメリットもあります。ただ再三になりますが単位の取得の管理が出来ないとリスクが高い行為なので、気をつけてください。自分の能力や興味関心もそうですが、教員次第ではなかなか頑張っても単位が取れないということもあると思うので、やるとすれば様子を見ながら、思わぬ落単で管理計画が崩れないようにしてください。また、GPAやGPTといった、院試や就職で用いる指標が悪くなってしまうので、そこも気をつけてください。
点数の取りやすい選択科目に絞る
選択科目を取りすぎてしまうと、再び系所属バトルする際に点数を盛ることができず[19]、またシンプルに負担が大きくなるので、点数を取りにくくなります。ただし興味があるかが一番重要なので、選択科目に関してはそこまで考慮せずに気ままに取ってしまうのもありだと思います。点数のことばかり気にしていると気が滅入りますからね。それか、点数が来やすいのか不明だが気になるという科目は最初の授業だけ行ってみて、しんどそうなら履修取り消しをすればよいです。
点数が取りやすいおすすめ科目ですが、まず微積分学第二、線形代数学第二ですね。数学系志望は教員にもよりますが100点も狙えると思います。[20]他には物理学演習、物理学実験、情報リテラシ、コンピュータサイエンスあたり[21]ですね。この辺は鉄板です。必修の物理系の科目は多い[22]ので物理学演習は取るべきですし、実験は単に楽です。当然教員にもよりますが、情報リテラシは内容が簡単で課題をやっていれば90点は来ますし、コンピュータサイエンスは課題をすべてやってしまえば100点も取りうると思います。
英語が得意ならTOEIC,TOEFL系の科目、運動に拒否感がなければウェルネスなどもよいと思います。また、自分は履修していないので人づての情報になりますが、数学系志望の方は情報理工学基礎という情報理工学院の科目もチェックしてみるといいでしょう。数学を多く扱っているので、興味が湧きやすく点数も入りやすいと思います。
2年次の授業の話
私の系の専門科目と、系外科目や文系教養の2つに分けてお話していきます。
時間割は以下の通りです。
物理学系専門科目
物理学系に所属した方向けに、物理学系2年次の科目についてレビューします。
基本的に自分が履修した科目のみを書いていくので、2年次の専門科目すべてが載っているわけではないです。また、物理学は苦手なので理解度に関しては期待しないでください。
電磁気学講義、演習
1年次の電磁気学で扱ったことを、改めてベクトル解析とマクスウェル方程式から説明し、理論を展開していきます。期末テストは持ち込みありで難しかった記憶があります。
以下、多くの科目に演習がセットになっていますが、基本的には講義で扱った部分に関して演習問題が配布され、各回で発表者を募り、前回の発表者が発表するスタイルです。定期的にレポートが出て、演習の点数はレポートと発表で決まります。なお、一名有名な教員がいて、その方の担当クラスに入ると非常に大変な思いをするそうです……。
物理数学I講義、演習
複素関数、複素解析、フーリエ変換など、物理学、工学などに必要な応用数学を学びます。板書スタイルの授業なのに講義室が狭くて全員入りきっていなかった記憶があります。[23]
解析力学講義、演習
古典力学を改めて見直し、より一般性の高い理論を学びます。量子力学とのつながりも意識されていた気がします。演習の期末レポートが難しかったです。期末テストは簡単な穴埋め形式でした。
物理数学II講義、演習
必修ではなく選択必修の授業です。物理数学Iに引き続き、フーリエ変換、特殊関数、微分方程式、ラプラス変換などの応用数学を学びます。演習のレポートの分量が多く、後半にまとまっていて大変でした。
量子力学入門講義、演習
量子力学の基礎を学びます。直観的な説明やモチベーション、具体例や計算の例などを豊富に用いて説明していただけるので理解しやすいと思います。演習の問題は普通に難しかったのでいろいろな本を確認しながらレポートを書いてました。
熱力学講義、演習
1年の化学熱力学に似ていますが、化学というよりは物理寄りの応用が多く扱われるイメージです。落単しかけました。
物理実験学
実験にまつわるあれこれや物理学実験で扱うテーマの概要を座学で学ぶ授業です。後述する物理学実験のレポートを書く際のポイントを教えてくれます。課題をこなしていればそれなりに点数がつきます。
物理学実験A
物理学系で悪名高い授業です。実験は2年生の4Qと3年生の1Qでそれぞれ履修します。A,Bと分かれており、それぞれ内容が違います。各テーマについて週2回実験を行い、週1回のペースで実験レポートが課されます。実験はテーマによっては授業時間をオーバーしてしまうこともあります。レポートはかなり大変で、徹夜した報告が数多く上がるほどです。
量子力学II講義、演習
量子力学入門よりもさらに網羅的に学び、摂動論などの実用的な近似理論を扱います。先生の専門が原子核物理なのでそちらに寄っていますね。課題がとても多いですが、期末テストで点数を取れない人のための救済らしいです。テストはそこそこ難しいですが、過去問の使いまわしが結構あります。
電磁気学II講義、演習
3Qの科目です。私は履修しませんでしたが、特殊相対論の説明をしてくれるので、履修しておくと後の3,4年で取ることができる一般相対論や相対論的量子力学に役立ちます。後で取ろうと思っても他の必修と被って取れないことがあるので気をつけてください。
他科目
私の場合は数学系の科目をたくさん取りたかったので、前期の英語を取らず、後期に再履修することによって以下の科目を取りました。数学系志望だったが物理学系に来てしまったという方にとっては参考になるかと思います。英語と第二外国語は省略します。
代数学概論第一
環論や体論などの代数の基礎を学びます。演習の時間は時間内に一問要提出問題を解き、残り時間は各自で演習問題を解いて相互採点したり、前回の問題の解答発表をしたりします。講義で登場した命題、定理などを用いて正確無比な答案を作ることが求められ、クオリティによってA-B-Cの評価がなされます。テストは難しいです。
確率論基礎
数理・計算科学系の科目です。確率論の概要をざっくり学びます。測度論をやらずに進めますが、それを除けばかなり数学的にかっちりしたスタイルで進みます。内容が相当難しく、途中で講義のスピードに追いつけなくなりました。演習は演習問題とレポート問題が各回出されて、演習問題を解いて発表、前回のレポート問題の解答を発表する感じです。レポートの問題数が多く、難易度も高いので、座学の中で最も大変な講義でした。期末テストは4年以上前の過去問から出ます。
幾何学概論第一
平面上の曲線、空間上の曲線について学びます。例えば曲線の形状の分類をしたり、性質についての定理を学んだりします。結構線形代数を使います。各回に課題が出されますが、ほとんどが易しい計算問題でした。期末テストについては親切なことに、4割ほどは事前に問題のリストが配られました。
幾何学概論第二
空間内の曲面について学びます。幾何学概論第一と同様の形式です。
また、文系教養科目は以下。自由に取れるので完全に興味優先です。
哲学B
様々なテーマを通して、広大な哲学の話題を一通り見る感じです。シラバスには質問などによる意欲点があると書いてありますが、レポートのみで100点になった人もいるようなのでおまけ程度かもしれないです。自分の場合は授業後に質問に行きました。期末レポートは自分でテーマを選び、授業で扱ったことを中心に振り返って論じるスタイルです。哲学Aと同様に授業中にメモを取っておくことをおすすめします。中間レポートはもう少し自由度は低く、直前に扱ったテーマについて(文学作品の一部を授業でやった読み方で読んで書く)でした。点数は入りやすいと思います。
科学哲学B
いわゆる命題論理や述語論理について、哲学的な側面を重視した形式で学びます。数理論理学というよりは、哲学的論理学のイメージですが、現代哲学の具体的なテーマ、命題は扱いません。オリジナルのテキストが渡され、基礎的な部分から丁寧な授業が展開されます。 小テストが何回かありますが、授業でやるような演習問題とほとんど同じで、しっかり演習しておけばほとんどの問題は解けます。期末試験も同様です。期末レポートは、授業で扱う完全性、健全性、無矛盾性などの定理の証明の一部が問題になっていました。
この記事はここで終わりです。悲しい。お互い大変ですがなんとか耐えていきましょう。ここまで読んでいただいてありがとうございました。
次回のブログ担当者はtobuhitodesuさん、cp20さん、Dyeさんです。お楽しみに。系所属についても書いてくれるそうですよ!
教員の名前を略称でもいいから書いておけと思うかもしれませんが、名前をおおぴっらに書くのははばかられるうえ、個人的に略称を多くは知らないこと、略称が一般的でない教員が多いことなどから不便が多いと考えます。 ↩︎
私は純粋数学、特に代数系、圏論、論理学などに加えて現代分析哲学・形而上学といった分野に関心があります(やっている、できるとは言ってない)。また成績については東工大内では平均程度であり、実家暮らしで通学の時間が長いため、一限の出席によく失敗します。 ↩︎
ただし見つけにくいので隅から隅まで観察するようにしておきましょう。↩︎
いわゆる学部。↩︎
いわゆる学科。↩︎
単位数の分その科目の点数が複製されるイメージです。↩︎
例年1月31日が締め切りになっています。↩︎
おそらく指定単位の取得になると思います。↩︎
2024年度現在は少なくとも工学院、情報理工学院へは収容定員に余裕がないため不可能です。↩︎
なぜか単位数は3ではなく2です。3だったら数学系に有利なのに()↩︎
それも数学科のような純粋数学が多く出てくるわけではありません。もちろん一般相対論などの高級な数学を用いる理論はあります。↩︎
もちろん時間割の関係ですべて取りきることはできないと思いますが。↩︎
地惑系は長年BF(ボーダーフリー)と呼ばれ、系所属資格さえあればほぼ入れる状態でしたが、2023年度はそうではなくなったようです。↩︎
公式文書である学習案内ではn年生という概念はなく、在学年数で記述されています。↩︎
前提となる内容の科目を履修している、など。↩︎
ただし、英語再履修についての公式pdfを要確認。↩︎
入学時に知らされる、ユニットというグループごとに指定されます。↩︎
TOEICの場合、875点以上取れると単位認定ができます。↩︎
何個か有望な選択科目が余る場合、転系・希望留年用に取っておいてもいいでしょう。↩︎
私は線形代数の方で100を取りました。↩︎
1年次の授業の節に書いた授業の情報に加えて、点数の取りやすさを考慮した場合のおすすめです。↩︎
力学基礎1,2、電磁気学基礎1,2に加えて実質物理の化学熱力学と量子化学があります。物理学ができないと数学系には行きにくく、第二で物理学系に行くことになるのはなんとも皮肉ですね。↩︎
後半になってくると授業を切る人が増えてくるので空いてきます。↩︎