はじめに
揚々寒くなりゆく12月。受験の足音が聞こえてくる時期です。受験生の皆さんはここから山場を迎えることでしょう。
ところで、皆さんは円周率が無理数であることは知っていると思いますが、それを証明することはできますか?実は、高校までの知識でも円周率が無理数であることは証明できます!
本記事ではこれを見ている受験生に少しでも役立つように、円周率が無理数であることを証明していきたいと思います。
阪大の過去問にも円周率が無理数であることの証明が出ていますが、それとは少しだけ違う方法で証明を記します。
注意ですが、この記事は一般東工大生が書いたものであって、筆者は数学ガチプロ勢ではありません。内容に誤りを含む可能性がありますので予めご了承ください。
証明の出典
筆者は天才ではないので円周率が無理数であることの証明は到底思いつきません。
以下の証明はイヴァン・ニーベン先生による証明です。
(論文URL https://www.ams.org/journals/bull/1947-53-06/S0002-9904-1947-08821-2/)
証明の方針
を有理数であると仮定する
無理数であることの証明であるから鉄則通り背理法で証明します。
が有理数であるという仮定より、自然数を用いて
とします。
が整数であることから矛盾を導く
すると、は整数になりますがこれは直感に反します。このことから矛盾を示せないかと考えます。
整数の性質として挙げられるのは、各整数は1ずつ飛び飛びの値をとるということです。
例えば、1,2は整数ですが、当然1と2の間には整数は存在しません。
故に、が有理数であると仮定して、の定数倍が連続する2つの整数の間に存在することを示せれば矛盾を示せます。実際の証明ではが整数であることから矛盾を示します。
いい感じの関数を取る
ここで、関数と置くといい感じになります。ここまで方針を説明してきましたが、関数の置き方が天才的なので私にはこれ以上は方針を説明できません。
このをうまく操作するとの整数倍がとの間にあることが導かれて、矛盾を示せます。詳しくは以下の証明を参照してください。
証明
任意の自然数としてを
とおき、
を考える。のとき、、であるから、
任意の実数に対して、
であるので、が十分大きい時、
が成り立つ。
は
ゆえに、
は2n次の関数であるから、。
ゆえに、この部分積分を繰り返すと、
ここで、であるから、
ゆえに、
を二項定理を用いて展開すると、
したがって、
ここで、が有理数であると仮定して、自然数を用いて
と表す。関数で用いられているは任意の自然数であったからの分母のと同じとする。
このとき、
より、は整数となるから、は全て整数。ゆえに、は整数となるが、これはに矛盾。よって**は無理数である。(証明終)