こんにちは! 新歓ブログリレー10日目(3月17日)担当のSaltnです。この記事では2年間traPで活動してきたSaltnが、実際にこれまで携わったゲームを例にtraPにおけるゲーム制作の様子をお伝えします。特にゲーム制作やプログラムの経験が無い新入生にとっては1年目の活動が参考になると思うので、そこを重点的にお伝えします。
Saltnのスペック
traP入会時
- ゲーム制作歴 :0年
- プログラミング歴:高校の授業
- 絵 :絶望的に下手
- 音楽経験 :ほぼ学校の授業の範囲
- シナリオ等 :経験無し
要するにtraP入会時のSaltnはゲーム制作に関してずぶの素人です。その目線からtraPのゲーム制作を見ていきます。
traP入部当時
traPの新歓期から入部してからしばらくの間は様々な体験会や講習会があります。ゲーム音楽に興味があったので、主にDTM(desktop music、PC等で音楽を作ること)の講習会に参加しました。
1年目5/15(第1回ハッカソン)
入部してすぐの,まだ右も左も分からない時期に最初のゲーム制作に関するイベント、ハッカソンがありました。ハッカソンとは、決められた期限の中でテーマに沿ったものを作るイベントです。第一回は4人ほどのチームでゲームを作るということで、テーマは「遊び」でした。
作ったもの:モグラさんがコロんだ!
このときのチームメンバーを紹介します。
- E氏
- プログラム、企画
- Excelで簡単なゲームを作ったことがある
- 当日欠席
- h氏
- プログラム(初心者)
- traPのプログラム体験会だか講習会を受けた
- w氏
- プログラム、イラスト(共に初心者)
- traPのプログラム体験会だか講習会を受けた
- Saltn
- サウンド、イラスト、(プログラム)(全部初心者)
- traPのプログラム体験会だか講習会を受けた
- サウンド講習会を受け始めた
このチーム、初心者しかいねぇ
制作の流れ
ハッカソン前にモグラ叩き+だるまさんが転んだというゲームの方向性が決まり、早速作ることに。事前にゲームの枠の表示の部分等(通称おまじない)を講習会のプログラムから引っ張ってきて制作スタート。
・・・・・・
絵を描ける人いなくね?
ということでw氏が自機(テックちゃん)の直線と楕円でできた画像を担当。ネットから某モグラの画像を入手、監視官(バックベアード)と背景を絵心のないSaltnが担当しどうにか形に。結果上の画像のような†味のある†ゲーム画面が完成しました。
次の問題はサウンドです。SEはw氏がフリー素材を鳴るようにし、SaltnもBGMを完成させました。が、当時の環境ではmidiファイル(楽譜のようなもの)をwavファイル(音そのもの)に変換できないことが発覚。結局W氏に変換してもらい、苦労の末なんとかBGMを鳴らせるようになりました。
w氏がリソース関係で頑張っている間に、複雑な実装のために発生したバグを取り除くため、h氏が元の状態に戻す作業に取り組み、なんとか形になりました。
この時点ではまだ得意分野が決まっておらず、各人ができることをやった結果役割分担ができていませんでした。(例:Saltnがプログラムの一部を担当するなど)また、Git(後述)も知らず、USBでデータをやり取りしていました。それでも1日で一応遊べるものが完成。初心者チームでもゲームが作れたのでした。
第2回ハッカソンもありましたがそのときはゲームを作らなかったので省略
1年目6月(HackU)
traPの活動になれてきた6月、3日間に渡ってHackUというイベントにtraPで参加しました。これは2日間制作をして最終日に発表するという大規模なハッカソンで、再びかっかのんでゲームを作ることになりました。
作ったもの:Sushitatoon
- E氏
- プログラム(メイン)、企画
- Excelで簡単なゲームを作ったことがある
- h氏
- プログラム(サブ)
- traPのプログラム体験会だか講習会を受けた
- w氏
- プログラム(音再生)、イラスト
- traPのプログラム体験会だか講習会を受けた
- イラストに目覚めつつある
- Saltn
- サウンド
- traPのプログラム体験会だか講習会を受けた
- サウンド講習会を受けた
制作の流れ
1日目
全員遅刻
寝坊したわけではありません。1年生はこの日テストがあったので、全員1年生のかっかのんはチームで遅刻です。
1日目はまずGitという、共同で作業する際にデータのバージョンを管理するシステムの導入と練習を始めました。これは並行して作業したデータをそれぞれ管理できるので使いこなすと非常に便利、というかチーム制作においては必須のツールです。また、バグが発生する前の状態に戻したい、といったときにも役に立ちます。前回は小規模なプロジェクトだったのでUSBでなんとかなりましたが、今回は2日間の制作なので、まずこれを使えるようになることを目標にしました。
そしてなんと1日目はほぼこれで終わりました。しかも結局上手くいかず、USBで作業することに。基本部分(あいかわらず体験会のおまじないベース)はできましたが、ほとんど1日でつくることとなってしまいました。更に、プログラムの並行作業が難しくなり、h氏はデータの打ち込み(地味だけどめっちゃ大変)が主な仕事になってしまいました。
2日目
2日目の集合する前に、BGMの一部を予め作っておいて、会場で制作再スタート! 今回は前回と異なり、(USBでできる範囲で)役割分担したおかげで、バグに見舞われながらもゲームを完成させることができました。
このときの役割分担はほとんど今のtraPにおける活動にそのまま繋がっています。traPの活動に参加していると、初心者でもこの時期に活動の方向性がだいたい決まります。そしていよいよ制作プロジェクトが始まります。
後、traPに入部してくださる方はGitの講習会は参加した方が良いです。まじで。
1年目6月~1年目最後(16制作プロジェクト)
traPの一番メインの活動は、半期(大体半年)を一単位としたチーム制作プロジェクトです。これはゲームに限らず、作りたいものがある人がプレゼンをして、そのプロジェクトに興味がある人と一緒に何かを制作する活動で、半期で終わるものもあれば3期以上にまたがって行われる大規模なものもあります。制作メンバーは希望調査を元に配属され、第2志望までのチームに配属されることが多いです。制作が開始すると、そのチームごとの集会が開かれ、traPの全体集会ごとにそれまでの進捗報告を行います。
作ったもの:titeQuest
テックちゃんが主人公の2Dアクションゲーム
チームメンバー(抜粋)
- E氏
- 発案者かつチームリーダー
- 全体のまとめの他、プログラム(主に自機)、ステージ制作,案出しなど
- かっかのんのE氏と同一人物
- s氏
- プログラム班のリーダー
- 土台となるプログラムの作成と仕事の割り振り
- c氏
- サウンド班リーダー
- 一部BGMとほぼ全てのSE
- t氏
- 主にステージ周りのプログラム担当
- ステージエディタ制作
- Saltn
- サウンド班で主にBGM担当
- 後期は企画班(後述)のリーダーとして仕様決めやステージ制作も担当
他のメンバーを含め16人(全員1年)
制作の流れ
全体の流れ
E氏の、東工大をテーマにしたアクションゲームを作りたいという目標からスタート。制作プロジェクトの開始前におおざっぱな方向性をプレゼンして、結果14人が集まる大プロジェクトとなりました。初めは1期(半年)のみの予定でしたが、結局2期制作となり、バグの処理も含めると2年目の1期制作が始まる前の期間まで延びてしまいました。
制作の流れとして、プログラム、デザイン、サウンドの各班にリーダーを決め、仕事の割り振りをリーダーが行い、割り振られた仕事をそれぞれがやるという形をとりました。また、毎週集会を行い、そこで各班の進捗報告や次の作業をどうするかを決める他、初めのうちは仕様の決定もここで行っていました。
1年生のみのチームということで、最初の頃は進捗も速くなく、集会の時間にみんなで仕様を考える余裕がありました。しかし作業が進んでくると、進捗報告や作業の割り振り、仕様の決定に時間がかかるようになってしまいました。また、プログラム班がゲームの基幹部分や個々のオブジェクトを作るので手一杯で、なかなかステージを作る所まで手が回りません。
そこで、後期制作に入ってから、企画班というものを作りました。仕様の決定やステージ制作を企画班の仕事とすることで、大規模プロジェクトでありながら企画進行をある程度スムーズに行えるようになりました。
企画班
- それまでE氏をトップとして全体で決めていた仕様を、各班から1人以上参加した企画班で決めることで効率化を図る
- ばらばらになりがちなステージ制作を少人数にまとめる
ことを目的とした班で、E氏に仕事が集中しないようにSaltnをリーダーとして、titeQuest内の他の班と掛け持ちで、5人のメンバーで活動が開始しました。企画会議という集まりを集会とは別に設け、そこで仕様の提案や決定を行い、それを集会で発表し、そこからフィードバックを得て次の仕様を考えることがメインの活動です。企画会議は企画班だけで無く、参加したい他のメンバーが加わることもありました。時には仕様案のコンペを行ったりして、企画班以外の意見も取り入れるようにしていました。今ではメンバーの多い他のプロジェクトでも似た仕組みが採用されています。
また、ステージ制作も企画班で行うことで、ステージと仕様をうまくマッチングさせるようにしました。これはt氏がステージエディタを作ってくれたおかげで、プログラムができない人でもステージを作れるようになったため実現しました。
プログラム班
プログラム班はs氏、E氏、t氏などがゲームの基幹部分を作り、他のメンバーが個々のオブジェクトを作るという形をとりました。大規模なプロジェクトだったため、それぞれのプログラムのレベルや忙しさにあわせた分担を行ったため、基本的に一年を通して仕事がないということは、人数の割にありませんでした。
デザイン班
デザイン班は最終的に3人でしたが、その中には元々プログラム志望の人もいました。しかしプログラマーの人数に対してデザイン班が少なすぎたので、移籍してもらうことに。traPではこのような経緯で新しい分野に手を出したり、それまでサブだった分野がメインになる人も一定数います。
titeQuestは一部文字を除きドット絵だったので、アルファベットや背景などもドットを打っていました。デザイン班の負担軽減のためにゲームの仕様が変更になることも何度かありました。
サウンド班
SEはサウンド班リーダーのc氏がほぼ担当することになりましたが、BGMに関しては他の班と異なり明確な仕事の分担というのはありませんでした。これはBGMが他の作業の進捗にあまり影響しないこと、ステージ数が多いためBGMが多くなってもそれほど問題無いためです。ただ、オプション画面のような仕様と密接に関わる部分のBGMは、企画班と兼任するSaltnが多く担当しました。
完成への道
このような体制で開発を進めてきましたが、2016年度も終わりに近づくとかなり大変なことになってしまいました。これは主に、エンディングと難易度調整の遅れが原因です。
エンディングに関しては、ゲームの本筋ではないと後回しにしていたため、プログラム、デザイン、サウンド共に春休みに入ってしばらく手を付けていなかったためで、慌ててつくることになってしまいました。
難易度調整に関しては、春休みに入ってしまいメンバーと連絡が取りにくくなってしまったことが一番の原因でした。長期休みに入って進捗が生まれなくなることは他のプロジェクトでも良くあることで、これを見据えて計画を立てなくてはなりません。
もう一つは、元々立てていた「中学生が頑張ってクリアできるかどうか」という難易度の目標の受ける印象が人によって違ったことです。大体、ステージを作る人のアクションゲームの得意不得意が異なるため、作った人によって難易度が大きく異なる結果となってしまいました。結局、そのステージの制作者以外にクリアできる人がいないという状況だけは避けるようにして、一応の難易度修正となりました。
これらが終わった後デバッグを行い、2017年度に入ってようやく完成させることができました。メンバーは全員1年生で、初心者の人も多いチームでしたが、traPの活動を通して力をつけ、それまでのtraPのゲームと比べても大規模なプロジェクトを実現することができました。
2年目6月~2年目1月(17制作プロジェクト)
2年目の初めにハッカソンがありましたが、2年生のみのチームだったのでここでは省略。最後に2年目の制作プロジェクトを例に1,2年生混合チームでの制作の様子を簡単にお伝えします。
作ったもの:Inverse
シューティングゲーム
チームメンバー
1年生 | 2年生 | |
---|---|---|
プログラム班 | 4人 | 1人 |
デザイン班 | 1人(サウンドと兼任) | 2人 |
サウンド班 | 1人(デザインと兼任) | 1人 |
各班のリーダーは2年生が担当、Saltnは全体とサウンドのリーダー及びPV制作
制作の流れ
2年の1期制作開始前に、今出ている案とは違うことをやりたいという人が集まったのが始まりで、隔週(2期に入ってからは毎週)の集会で進捗の確認と今後の仕様を話し合い、班のリーダーが仕事を割り振るという流れで進んでいきました。今回はtiteQuestほどの大規模プロジェクトではなかったため、企画班に相当するものはありませんでした。
プログラム班は主に2年生がゲームの基幹部分を作って、1年生が目に見える部分の実装を行うという流れで、初めはプログラムに慣れない様子の人も居ましたが、最終的に全員がそれぞれの担当部分を作れるようになりました。デザインとサウンドに関しては1年生の人がプロジェクトの開始までにある程度作れるようになっていたので、担当を決めて1,2年関係なく仕事を割り振りました。1年生も2年生も自分の案を出して、2期の初めに立てた目標までにゲームを完成させることができました。
まとめ
traPの活動ではゲーム制作に限らず、初めての人もそうでない人も自分の実力に合った仕事で貢献することができます。活動の中で力を付けることは大切ですが、積極敵に活動していれば自然に最低限必要な力が付くはずです。また、上級生にサポートされながら制作することも、1年生だけの力で助け合い作品を完成させることもできます。
やったことがないから、自信が無いからとためらうことはありません。初めは皆できないものです。得意な分野も人それぞれ違いますし、一見関係なさそうな分野の知識、能力が制作に役立つこともあります。(ここでは出てきませんでしたが、場合によってはシナリオを作る仕事やデバッグをメインにやる仕事もあります。)もちろん力がある方なら他の1年生や、場合によっては上級生を引っ張っていくことも可能です。それぞれの力を発揮して活動できるサークル、traPであなたもデジタル創作の世界に足を踏み入れてみませんか?
明日はsakuさんの記事です。そちらも是非お読みください!