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2024年12月24日 | ブログ記事

AMDでBlenderを使ってみた

このブログで使用しているAMD製CPUやGPUはAMDの広報よりパーツの貸し出しをを受けたものですが、パーツの貸し出し以外の金銭的なやりとりはありません

皆さんお久しぶりです。22Bのkaitoyamaです。
最後にブログを書いたのはなんと今年の5月ということで半年もブログを書いていなかったことにびっくりしました。

今回はグラフィック班の3DCGの人として、AMD製のCPUであるRyzenとGPU、Radeonを借りられる機会を得たので、Blenderで使ってみた感想をお伝えしようと思います。特にRadeonは、ゲームの記事は見つかるのですが、Blenderでの使用についてはモンスタースペックのものが少しあるだけだったので、気になっている人もいるのではと思います。

今回のパーツ

今回使用したパーツは

としました。理由としては、自分が普段使用しているPCがcorei7-13700F+RTX4070tiのため、GPUとして同価格帯のものを選択したうえで、CPUについてはGPUに対してボトルネックにならないようにという形で選びました。

私は基本intel+NVIDIAしか使ったことがなかったのですが、対応のマザーボードとCPUクーラーさえあれば、基本的なくみ上げ方は同じなのでそれほど困ることはないと思います。特にGPUだけ交換の場合はケースに入って電源容量が足りればNVIDIAでもAMDでも差し替えるだけですぐに動きました。

そもそも使えるの?

機械学習やゲーム系などの話題でもよく聞く話ですが、GPUはメーカーによって使える機能に大きな差があります。機械学習だとCUDAが~とか、ゲームだとDLSSといったものがNVIDIAのGPU限定の機能ですね。

では、Blender標準のレンダラーやそれ以外のレンダラーではどうなのでしょうか?

結論から言うと、BlenderのデフォルトのEEVEEやCyclesでは問題なく使用ができます。一方、Windows上でのOctaneや先日Blender向けのβ版が公開された、V-RayはNVIDIA製のものにしか対応していません。

BlenderのCyclesではHIPというNVIDIAのCUDAみたいなGPUをうまく使ってくれる的な技術をオンにしたり、さらにこれのレイトレーシング用の機能であるHIP RTをオンにすることができます。この辺はBlender財団のコーポレートメンバーなだけあってきちんとサポートされていますね。

ちなみに手元のkoboldcppではVRAMを使ってちゃんとLLMが起動したので、機械学習周りもある程度対応は進んでいるのかもです。

前評判はどう?

公開されている、Blender Benchmarkのデータを少し見てみましょう。

Blender - Open Data
Blender Open Data is a platform to collect, display and query the results of hardware and software performance tests - provided by the public.

Radeon 7900 XTの中央値は3612.37、RTX 4070 tiの中央値は6200.47でした。なんと大きな差なことでしょう。実際、その他のサイトを見ても大体4070tiの方が高性能という書かれ方でした。なので、実際に触ってみるまでは少し不安が大きかったです。

実際に使ってみた

今回はCPU処理もある程度試しつつレンダリングにある程度負荷がかかるように、ということで次の要素を組み込んだテストシーンを作成して両方でシミュレーションの実行とレンダリングを行いました。

左がRyzen+Radeon、右がintel+NVIDIAでシミュレーション→レンダリングしたものです。物理シミュレーション部分で若干の差はありますが、変に見た目が違うみたいなことももちろんありません。

物理シミュレーション(Hair particleや流体シミュレーション)部分はほとんどCPUでしか処理されないため、処理にかかる時間にほぼ差はありませんでした。(差がないのは良いこと)

レンダリング時間の違いですが、なんと、RX7900XTの方が早く6分44秒、4070tiは8分12秒でした。結構大きな差でびっくりですね。事前にもう少し簡単なファイルでも試してみたのですが、やっぱりRX7900XTの方が早かったので、Cyclesのレンダリングという観点だけから見るとHIP RTを有効にした場合はRX7900XTの方が早いようです。

ちなみにRTでない、HIPでレンダリングすると差はほとんどなくなるので、これはHIP RTによるものと考えられます。

また、レンダリング中の処理を見ていると、Radeonの処理は主にGPUだけが使われているのに対して、NVIDIAの処理は結構CPUも使われていました。レンダリング待ち中、ふとネットサーフィンしちゃってもあんまり干渉しないみたいなメリットもありそうです。

最後に

ここまで、簡単にですがAMD系のCPU、GPUでBlenderでの3DCG作成をやってみた結果を紹介しました。

感想としては、Blender単体ではほとんど差があるようには感じられず、少しレンダリングも早くなっていいことしかないという感じでした。特にお値段も若干4070tiよりRX7900XTの方が安いので、コスパもよいなと感じました。

一方で、自分が表現を結構気に入っている、Octaneなどの一部のレンダラーでは使えないというのは少し残念なところです。また、LLMなども現在はある程度普及してきたので、AMDのGPUでもある程度効率動くようになってきてはいますが、やはり最先端はNVIDIAのCUDA前提の部分があったり、ゲームでDLSSにしか対応しておらずAMDのGPUだと活かしきれないものがあるなど、Blender標準のレンダラー以外の観点ではマイナスの面もあります。

ただ、3DCGやりたくて、コスパがいいGPU買っておきたい!みたいな人にはRadeonはおすすめできるので、選択肢に入れてみてはどうでしょうか?

自分もサブPCのGPUが1660tiでそろそろ変え時かな~と思っていたので、ちょっとRadeonへの交換もありだなと思っています。

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この記事を書いた人
kaitoyama

グラフィック班、CTF班所属。3DCGで静物のシーンを作ってます。

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