こんにちは、サウンド藩のリキッドです。普段はこんなものを作っています。
まえがき
毎年恒例、本年度のベスト・アルバム5選ですが、今年はちょっと選びきれなかったので10本紹介します(2022年度にリリースされたものに限りません)。
昨年度までの記事は以下の通り。
おしながき
- 原神-真珠の歌2 (Original Game Soundtrack) / HOYO-MiX(2022, 中)
- Swamp Kingdom / Tales Under the Oak(2022, 独)
- Valley of Shadow / Pogo(2020, 豪)
- На эаре / Альянс(1987, ソビエト)
- Babacar (Remasterisé en 2004) / France Gall(1987, 仏)
- Semillero / Dengue Dengue Dengue(2018, ペルー)
- Eternally Yours / Alphaville(2022, 独)
- Midvintersagor / Örnatorpet(2018, スウェーデン)
- 锦衣之下 (影视配乐专辑) / 林海(2020, 中)
- Dune (Original Motion Picture Soundtrack) / Hans Zimmer(2021, 米)
原神-真珠の歌2 (Original Game Soundtrack) / HOYO-MiX(2022)
大人気ゲーム「原神」の、イベントムービーなどで使用されたBGM集です。アツいシーンで使われた楽曲ばかりなので、全体的にアツいです。
時期的には稲妻リリースから層岩巨淵あたりまでなので、和風EDMから中華風、デジロックや小編成オケなど盛りだくさんです。
お気に入りは「縞鶴懐霜」「烈火轟雷」「羽を広げる白鷺」です。
Swamp Kingdom / Tales Under the Oak(2022)
Dungeon Synthというジャンルとの出会いを生んでくれた、運命の1枚です。Black MetalとDark Ambientを祖に持つ異端のジャンルですが、もともとはファンタジー要素を押し出したものではなく、ジャンル名がついたのもここ10年くらいの話らしいです。
さてこのTales Under the Oak、その名の通りのコンセプトアルバムしか作っていない尖ったアーティストです。FMシンセ系のベルとパッドを多用しており、常に統一感を維持しつつ、作曲の妙で個性も担保する実力派。聴くべし。
Valley of Shadow / Pogo(2020)
躁鬱的なグリッチや映画からのサンプリングが印象的な一枚。スタンリー・キューブリックの「シャイニング」とか、結構有名な映画からガッツリサンプリングしてて笑っちゃいました。
聴いてて楽しい曲ばかりなのですが、常に薄暗く、どこか恐怖心を煽るようなサウンドが癖になります。どこか涼し気な感じがして、夏の夜のランニングにピッタリでした。
На эаре / Альянс(1987)
旧ソビエトのニューウェーブ。まさに!って感じのサウンドですが、とにかく歌がウマすぎて痺れます。以下の動画もみてほしいのですが、無表情・直立不動なところもカッコいい。
実は現役で活動中なんですよ。今は今で味があってカッコいい!
Babacar (Remasterisé en 2004) / France Gall(1987)
これも1987年ですが、こちらはおフランスのニューウェーブ。「夢見るシャンソン人形」で有名なフランス・ギャルですが、80年代末はしっかりニューウェーブサウンドで歌ってたんですね。
フレンチロリータ的な印象が強い彼女ですが、このアルバムはかなりオトナなかっこよさがあります。そしてこの人も歌がウマいですね。
Semillero / Dengue Dengue Dengue(2018)
あまりにも怪しい、絶対に踊らせる気のない民族風テクノです。ペルー出身とのことで、南米古代文明的なコンセプトなんでしょうか。
何言ってるのか全くわかりませんが、そこが異世界の音楽を聞いているかのような感覚になれるポイントですね。
Eternally Yours / Alphaville(2022)
1984年、「Big in Japan」で一躍有名になったAlphavilleですが、オーケストラを大々的にフィーチャーしたセルフアレンジアルバムが出ていたようです(記事執筆直前に気づきました)。平沢進でいうところの還弦主義的なやつですね。
バベルスベルグ・ドイツ・フィルムオーケストラを招聘しての本格的なオケアレンジに仕上がっており、全曲新鮮な印象を受けました。あとマリアン・ゴールドは相変わらず歌がウマいです。
Midvintersagor / Örnatorpet(2018)
もういっちょDungeon Synthです。いわゆるヘタウマ部門なのですが、これぞクラシカルなDungeon Synthだぜ!という風合いです。
Örnatorpetはスウェーデンのアーティストらしく、どうりで陰鬱な雰囲気づくりがウマいわけだと得心しました(褒めています)。タイトルの「Midvintersagor」は英語に直すと「Midwinter Tales」。楽曲のタイトルも戦争にまつわるもののようですが、詳しいことはよく分からんとです。
锦衣之下 (影视配乐专辑) / 林海(2020)
マジで全く知らないんですが、中国のドラマのサントラらしいです。YouTubeで突然サジェストされたので聴いてみたら、思ったよりも良かったので紹介します。
いわゆる中華風のオーケストラ作品なので、原神の璃月的な雰囲気です。HeavyocityのDamageがマンマ使われてたり、レコーディングがやや雑だったりするのですが、こういうのは雰囲気ですよ、雰囲気。
ちなみにこのドラマ、日本でもdTV使えば見られるらしいです。あらすじ読んだだけなんですが普通に面白そう。
Dune (Original Motion Picture Soundtrack) / Hans Zimmer(2021)
もう言うまでもない大傑作なんですが、ほんとうの意味で良さがわかったのは割と最近です。芸術的な価値が高いのはもちろんなんですが、ポストプロダクションも大変うまく行ってる、教科書に載せたいくらい音がいいアルバムだと思います。
日本の映像音楽ではありえないくらい前に出てくる低域の処理とか、広大な空間を演出するフラットなミドル、スッキリ抜けきるハイエンド。どれをとっても完璧すぎる。
人間を自認する存在なら絶対聴いてください。
おわりに
今年は色んなジャンルを聴くように意識していたのですが、結局印象に残ったのは劇伴とニューウェーブばっかりになってしまいました。でも今年はキワモノが少なくて、昔高い評価を受けていたアーティストの再評価路線みたいなのに乗っかってるような、そんなラインナップなんじゃないでしょうか。しらんけど。
明日は@kitajuの記事です。お楽しみに。