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2021年4月2日 | ブログ記事

2020年度ベストアルバム5選【新歓ブログリレー25日目】

この記事は新歓ブログリレー2021、25日目の記事です。

まえがき

19のリキッドです。普段はサウンド藩で曲作ってます。
昨年も同じような記事を書いたのですが、そのときはまだいわゆる聴き放題サービスは使っていませんでした。アーティストのアルバムを買うのが一番安心感があって好きだったんですね。
そんな私も昨年度ついにApple Musicに加入しました。Apple Musicでいい音楽を見つけたら、そのアルバムを別途購入すればいいじゃない、という方向に考え方が変わったわけです。
その結果digりが捗りまくっている私が2020年度に出会ったアルバムから5枚を厳選して紹介したいと思います。
あくまで私が昨年出会ったアルバムであって、昨年度リリースされた作品では必ずしもありません。

おしながき

Matki Wandalki / Felix Kubin (2004)

ドイツのベテランFelix Kubinの無機質エレクトロニカ。
ヒラサワのライブの曲入れで流れていたアルバムを昨年紹介しましたが、それ以来Felix Kubinを聴き漁ってきました。その中でもどストライクだったのがこの1枚。
ミニマルで不遜なシンセフレーズと奇妙な進行が独特の世界観を醸し出すこのアルバム。チープな音色と単純なアレンジで一見すると真似できそうなサウンドなんですが、やってみるとこれが全く出来ないんですよね。劇伴のような大規模な音楽とは真逆に位置する作家ですが、ベテランの風格を感じます。
このアルバムはどの曲もド性癖なのですが、あえて選ぶとすればtr3「Too Technical」、tr5「Lumiere Belge」、tr7「Ferwaerme Wien」、tr11「Psyko Billy」あたりが良かったですね。後から知ったんですけどtr7は別のヒラサワのライブで客入れに使われてたらしいですよ。

Deus Et Diabolus / Al Andaluz Project (2007)

8世紀始めごろから南部スペイン・アル=アンダルスの音楽を蘇らせるプロジェクト。この時代のスペイン南部ではイスラム教に基づく支配が行われていましたが、税金を余分に払いさえすれば信仰の自由が担保されていたらしく、3大宗教が共存した独自の文化が築かれていたようです。
そんな理想郷のようなアル=アンダルスでは、それぞれの宗教文化が融合しあった、一聴すると無国籍風な音楽が生まれました。バグパイプやハーディーガーディーなどといったいかにも中世ヨーロッパ的な楽器のアンサンブルに、イスラミックな旋律と複雑なリズムが絡み合う、他に類を見ない宗教音楽です。
当時の楽曲を再現すべく、ドイツからはネオ・フォークミュージックバンドのEstampieが、スペインからはワールドミュージックグループのL'HAM DE FOCが、モロッコからはボーカリストのイマン・アル・カンドゥーシが参加。中世ヨーロッパとイスラム世界の楽器群と3人のボーカリストの競い合うかの如き共演はまさに圧巻です。

The Hidden Tapes / V.A. (2011)

古き良きelectroやCold Waveを専門とするレーベルMinimal Waveからリリースされたレア物音源コンピレーション。
ポップス的なノリの良さを伴う楽曲から、実験的なプロジェクトまで幅広く収録されており、非常に楽しい1枚です。
これも全曲甲乙つけがたいのですが、tr2「Beli Dekolte」やtr8「Destination Pour L'Inconnu」、tr9「You Don't Know My Name」、tr11「Oops It's An Accident (Extended Mix)」は特にお気に入りです。
あとtr4「Polaroid」のSympathy Nervousは日本のユニットで、最近になって再び新規リリースを始めたようです。かなり実験的なユニットですが、日本人ならではの感性も感じ取れて面白いです。

Tomb for Two / Lebanon Hanover (2013)

コレはMVでヤラれて買っちゃった1枚です。
Lebanon HanoverはドイツのDark Waveデュオ。重たく暗いドラムとシンセの単調な繰り返しの中に、浮かぶような女性ボーカルやつぶやきのような男性ボーカルが入り込んできます。
ドイツ語わからないので歌詞は理解できないのですが、とにかくサウンドに引き込まれます。「飽きさせない」ことが至上命題のメインストリームからは大きく外れつつも、何故か魅力的な1枚です。

PROTO / Holly Herndon (2019)

わからん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

スタンフォード大学の博士課程に在籍するHolly Herndonが、自身が制作したAI「Spawn」との交流の中で生み出された超実験的なエレクトロです。
幼い頃の合唱の経験、ベルリンのクラブで得た音楽知識、そして自身の研究成果が見事に融合した、非常に高度で意欲的な作品です。
正直言葉にできん!聴いてくれ!スゲーから。

おまけ

ギターアルバム、方向転換の表明と不適合曲の廃棄 / 平沢進

かねてより制作が報告されていたギターアルバムの方針を転換するために、すでに制作済みの3曲を無料で公開してしまうという、なんとも乱暴なミニアルバムです。上の埋め込みから全曲聴くことが出来ます。
ファンクラブ会員向けには高音質版が公開されており、私はそちらで楽しんでいます。いいだろ。
1曲目の「牛人」は2019年のフジロックで披露された楽曲です。サーフロック的なギターリフに、いかにもなシンセサウンドが合わさった、聴きやすい一曲です。
2曲目「屑人」は打って変わって重々しい仕上がりです。変態的でかつ流れるようなギターメロディをブラスが受け、クワイアで締めるという頭のおかしい流れが主軸に座り、そこにヒラサワのコーラスが纏わりつきます。どうしたらこんな曲が思いつくのかさっぱりわかりません。
3曲目の「麒人」はまたしてもノリの良いアップテンポな曲ですが、ヒラサワのボーカルのカットアップと、脈絡のないリスナー置いてけぼりの展開が凄まじいキワモノです。ストレートなかっこよさも感じますが、個別の雰囲気の異様のほうが際立っており、一筋縄では行かないなぁと感じます。

おわり

おわりです。traPは割とポピュラー音楽を聴いたり作ったりする人が多いですが、こういう変な曲ばっか聞いてる人間もたまにいるので、新入生でそういう方がもしいれば、ぜひお越しくださいね。

明日はmazreanとanninの記事です。

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この記事を書いた人
liquid1224

traPサウンド藩の浪士です。はやく老師になりたい。

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