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2019年12月15日 | ブログ記事

卒業論文を倒したい!【AdC2019 46日目】

この記事はtraP アドベントカレンダー 46日目の記事です。
こんにちは。masutech16です。traPではゲームを作ったり競技プログラミングをしたりしています。

さて、12月といえばアレの季節ですね。そう、卒論です。

ぼくたち学部4年生にとっては完全にシーズン真っただ中です。周辺からも阿鼻叫喚の声が聞こえています。

一方で卒論を書いたことのない人からすると、何が辛いんだろう? とか本当に自由な時間は無くなるの? といった疑問がわいてくると思います。

今回の記事は卒論の辛さについて紹介しつつ、じゃあ卒論で辛くならないためにはどのように準備していけばいいんだろう、ということについて考えていきます。

卒論のつらみポイント

まずは卒論の何が辛いのか? という部分を紹介します。ここでは、いろんな人が辛いといっている点を3つ取り上げます。

でかい

卒論は何と言っても量が多いです。分野にもよりますが、少なくとも30Pくらいに自分の研究成果をまとめなければいけません。しかもアカデミックな文体が求められているので、字数稼ぎなどといった姑息な手段は通用しません。

しかも卒論にはわかりやすさが求められるので、表やグラフを作成したり、レイアウトを調整したりという風に、ライティングスキル以外の能力も結構求められます。

これらを揃えるのには単純に時間が必要です。この量の多さが卒論の辛さの一角を占めているでしょう。

先が見えない

これは論文を書いたことがない方に起因する辛さです。卒論の完成図の予想がつかないので、現状が終わりに対してどこまで近づいているのかを簡単に判別できません。そのため、必要以上に消耗したり、逆に余裕だと思っていたら全然まだやることがあった、みたいなことが発生しえます。

それに加え、そもそも論文のテーマを自分で探してくる研究室の場合、研究テーマが決まるまでは卒論については何も動けません。このときの焦燥感はなかなかくるものがあります。

出来なかったら卒業できない

これが一番辛くなる原因だと思います。他の単位などの場合はレポートなどが提出できなくても、最悪再履修などをすることで取り返すことができますが、卒論の場合は無理です。一発勝負になります。

卒論の時期には大体の人はもう進学先/就職先が決まっているはずですが、当然卒業できなかったら全部パーになります。この精神的プレッシャーを卒論ができていない間は常に抱えることになり、滅茶苦茶しんどくなります。

これら3つの点が卒論を辛くするポイントです。精神的にすごいプレッシャーがかかり、さっと終わらせようと思っても結構作業量があるしそもそも動けない場合もある、ということは理解してもらえたかと思います。

次節からはこの辛さにどうやって立ち向かっていくかについて述べていきます。

卒論の「でかさ」に対抗する

作業を小分けにする

これは卒論以外でも役に立つテクニックですが、大きなタスクは小さなタスクに分割していきましょう。

卒論のタスクは、ざっくりと「執筆」、「調査」、「実験・考察」に分けられると思います。実験・考察の部分は分野によって違うと思いますが、つまりは自分で新しく積み上げる部分だと思っていただければ十分です。

このうち執筆なら、本文の構成を考えたり、図の作成をしたり、本文を実際に書いたり、といったタスクに更に切り分けていくことができます。このサイズまで持ってくることができれば少しはできそうな気がしませんか?

もちろん、最初からこんな全体が見えているわけではありません、タスクを消化していくうちに、最初に分割したタスクの切り方が雑であったことに気づくはずです。毎週一回くらいタスクの分割を見直す時間を作るとより精度が上がっていくと思います。

弊研究室では毎週進捗報告の時間があるので、ぼくはそのタイミングでタスクの見直しをするようにしています。

雑務を減らす

雑務、減らしたいですよね?

例えばPC上で毎日実行するコマンドがあればスクリプトを書いて自動化しましょう。研究についてのメモを探すのに時間が取られるようになったら電子化してアーカイブするなり、ノート一冊に全部まとめるなりをして検索にかかる時間を削減しましょう。論文も一か所にまとめて管理しましょう。

こういう非本質な作業というのは大抵、頭を使わずに手を動かすタイプの作業であることが多いです。こういう時間はなんか仕事をしている気分になってしまうのがいけないところです。

こういう雑務を減らさないと、「自分はめっちゃ手を動かしているのになんで卒論進まないんだ……」と勝手にイライラするみたいなことも発生します。

先ほど述べた通り、卒論を書いているときというのは非常に心理的にプレッシャーがかかっているので、心をざわつかせる要素はなるべく削ったほうがいいと思います。

時間を確保する

タスクは時間をかけなければ消化できません。従って、卒論に向かう時間を確保するというのは非常に重要です。さらに言えば、その時間はしっかり集中していきたいですよね。

時間の捻出の仕方は人それぞれだと思うのであまり書くことはありません。

集中するテクニックとして有名なのは25分めっちゃ頑張って5分休むみたいなポモドーロテクニックですが、これは研究とは少し相性が悪いという話を聞きました。ぼくもそう思います。理論を考えているときや、先行研究を追っているときは25分で区切らずにキリのいいところまで考えたほうが良いです。

逆に、書く内容が決まっている執筆みたいな比較的機械的な作業はこのテクニックが有効だと思います。タスクによって柔軟に切り替えていけると良いですね。

卒論の「不確定さ」に対抗する

先行研究を眺める

不確定さを倒すためには、まず大枠を知る必要があります。そのために重要なのが自分のテーマに近い論文です。

実は、論文というのは結構型のきまった文章形式です。ここに何を書く、ここには何を載せるといったことがほぼルールとして決められています。これはアカデミックライティングなどの講義で聞いたことがある人もいるかと思います

更に分野を絞ると、章の組み方もかなり似通ってきます。自分のテーマに関連する論文を何個か読み、この型を知ると自分の論文の全体像がおぼろげながらにも見えてくると思います。

これで卒論の完成形について何も知らない、という状態からどうやらこんな風に章を分ければいいらしい、くらいまでにはなれると思います。ついでに周辺知識が身につくのでそれもアドです。

細部から書かない

さて、みなさんは文章を書くときどんな順番で書きますか? 短い文章であれば、多くの人は頭から順に書いていくと思います。

しかし、先ほど言った通り卒論というのは型がある程度決まっています。そのため、細部を書くよりも先に全体的に何をどこに配置するかを考えるのが先です。

そうして全体像ができれば、これをもって教授のところに相談に行くこともできます。この時点でやばい構成になっていれば指摘が入るでしょう。中身が全く書けていない状況ならリテイクを食らってもそんなにダメージにはなりませんが、ほとんど書き上げてから構成についての指摘をもらうと文章の大部分に変更が必要になったりして非常に大変です。

構成が不確定なときに細部を詰めるのは、不安定な土台の上にものを積み上げていくようなものです。下から順に詰めていきましょう。

冗長なスケジュールを組む

スケジュールを立てたとき、それ通りに完璧に動けたことはありますか? ぼくはほとんどありません。大抵の場合スケジュールは自分の能力を過信した構成になっていて、遅れていきます。

自分の能力が適切に見積もれていたとしても、実験が全く想定外の動きをした、バグが取れない、風邪を引いた、などの想定外のアクシデントはいつでも起こり得ます。

そのときにタイトなスケジュールを組んでいると、一回遅れた時点で遅れを取り戻すのはまず不可能です。元から間に合うはずもないスケジュールなんですから、そこにアクシデントが混入した時点でこの結果は明らかです。

そんな風に、未来のことは不確定なので、なるべく余裕を持ったスケジューリングをするといいです。これは作業を減らせということではなく、むしろ増やせということです。最終的にやらなきゃいけないタスクの量は変わらないので、恒常的にタスクをこなしていく生活をしていきましょう。

卒論の「プレッシャー」に対抗する

終わりを見る

終わりが見えると、少なくともプレッシャーは軽減します。半減くらいはするかもしれません。

終わりというのは、論文の構成が決まり、必要な結果があらかた揃って、あとは書くと卒論になるみたいな状況を想像しています。従って、プレッシャーを減らしたい人は前半のうちにめっちゃ頑張ってしまうといいと思います。

息抜きの場を持つ

なんか相反するようですが、卒論だけに意識を持っていかれると不眠になったりストレスでおかしくなったりします。そのため、逃げられる場所をいくつか持っておくといいと思います。

もちろんずっと逃げていると終わらないのでアレなんですが、ストレスまみれの状態で分かりやすいものが書けるかというと否なので、適度な息抜きが重要だと思います。

ぼくは競プロとサークルのチームによるゲーム制作を息抜きにしています。

最近traPでは夜ランニングするみたいな習慣が一部で発生しているんですが、これもよい息抜きだなあと思います(ぼくは寒いので外出たくないです……)

終わりに

初稿の段階では卒論をどう書くかみたいな方にフォーカスしていたんですが、どうもしっくりこなかったのでAdC担当当日になって文章をほとんど書き直しました。こういうのを卒論でやろうとすると爆発するわけですね。

また、上では触れられませんでしたが、研究室に所属する前にその分野に対する学部レベルの知識と、英語のリーディング能力はある程度上げておいた方がよりスムーズに研究ができるようになると思います。

英語に関しては現在は機械翻訳が優秀なのでいらないと思う人も多いかもしれませんが、個人的にはすらすらと読めたほうが捗るなあと思います。論文の英語は平易なので慣れれば大丈夫だと思います。

本日の内容は以上となります。明日の担当はxxpoxxくんとGrakuくんです。お楽しみに!

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この記事を書いた人
masutech16

16の数理・計算科学系です。ゲームプログラム、サーバーサイド、競プロなどに手を出しています。

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