オレスタです。
3日目になりました。日刊企画だとそろそろ閲覧数が落ちてくる頃合ですね。まあ、Chapt.1からここまで全部初日に書いているのでどうなのか分かりませんが。
今回は「楽器について」ということで、ギターやベース、キーボード、ドラムなどについてお話します。また、シンセサイザーの紹介もちょっとだけしようと思います。
「アルペジオ」とか「グリッサンド」とか「ハイパスフィルター」とか、なんかかっこよさげな単語が多く登場するので、
Chapter.3 楽器について
3-0 音楽の三要素から見た楽器
ここでは、一番分かりやすい例(だと個人的に思うもの)として、ロックバンドの楽器について考えてみることにする。以下の5つを取り上げる。
- ギター
- ベース
- キーボード
- ドラム
- ボーカル(コーラス)
そのほか、DTM特有の楽器としてシンセサイザーについても少し説明する。
さて、これらの楽器を音楽の3要素という観点から見てみると、大まかに次のような役割分担がなされている。
- リズム:ドラム、ベースなど
- メロディー:ボーカル、キーボード、ギターなど
- ハーモニー:キーボード、ギター、ベース、コーラスなど
2-1節でも述べた通り、これら3つの要素がそろうと音楽としてそれらしく聞こえてくる。初めてDTMをする上で、このポイントは押さえておこう。なお、メロディを担当する楽器のことをリード(Lead)と呼ぶ。
もちろん、これら以外の楽器も何らかの役割を持って曲に登場する。音楽の3要素のいずれにも当てはまらない場合もある(飾りとして登場する波の音など)。また、いずれの楽器を使用する際にも、"現実にどのような演奏法をしているのか"を意識するとより自然が作曲が出来るはずだ、というのが講師の持論である。ブラスバンドの曲を作るならクラリネット・ホルン・サキソフォン等の楽器の知識は要るだろうし、弦楽器にしてもヴァイオリンやチェロがどのような演奏法なのかを知っているとより弦楽器らしい曲を作れるはずだ。
3-1 ギター
3-1-1 ギターの分類
- アコースティック・ギター
- 電気が要らない普通のギター。
- エレキ・ギター
- 弦の振動を電気信号に変えてアンプから音を鳴らすという仕組みのギター。
- 音は電気信号なので、様々な音の加工(音作り)が出来ることが特徴。
- 例えば音を意図的にゆがませる(ディストーションという)ことがある。
3-1-2 ギターの奏法
ギターはピックや指で弦をはじくことで音を出す楽器であり、指かピックかで音色が大きく変わる。とはいえ、このあたりは音源の選択による問題なのでここでは解説しない。
- ストローク奏法
- 腕を上下に振って複数の弦を同時に鳴らすという奏法。
- 「ジャラーン」という感じの音が出る。
- 厳密には音が鳴るタイミングは微妙に違う。
- ので、DAW上でほんのちょっと開始点をずらすとより本物のギターっぽくなる。
- ミュート奏法
- 弦の振動を意図的に抑えて、詰まったような音を出す奏法。
- 「ガッ」という感じの音が出る。
- あまり音の高さは出てこない。
- 2つの奏法を組み合わせることでギターらしいリズム感を生むことが出来る。
- 実際にはもっといろんな奏法がある。
- 参考:YouTube - ギター奏法あれこれ
- 気になったら自分で調べてみよう。
- とはいえ、ギターの役割は主にハーモニー
- 複数の弦を同時に奏でることで、様々なコードを演奏可能。
- コードを構成する音を全て同時にジャーンと弾くこともできるが、1音ずつ順番に奏でることもできる。
- この奏法をアルペジオと言う。
- "主に"というだけであり、メロディを弾いたり副旋律(メロディに重ねる裏メロディ的なモノ)を弾いたりもする。
3-2 ベース
ベースの分類はギターと同じようにアコースティック・ベースとエレキ・ベース。大体説明は同じなので省略。
- 役割は「縁の下の力持ち」
- ベースは低音層を担当する楽器なのであまり目立たない。
- が、低音層が鳴っていることでギターやボーカルが生きてくるのだ。
- ハーモニーの下支え
- ギターが奏でるコードの根音を奏でることが多い。
3-3 キーボード・ピアノ
バンドではよくキーボードが使われているが、ここではより広げてピアノについて考えてみよう。
3-3-1 ピアノの種類
- アコースティック・ピアノ
- 鍵盤を押すと、弦をハンマーが叩くことによって音が鳴る。
- ピアノの足元にはペダルがついている。
- 一番使われるのはダンパーペダル。踏んでいる間、すべての音が延ばされる。PC上でも再現可能。
- マフラーペダルは、音量を小さくする。表現のためというより、深夜に練習する時に近所迷惑にならないために使う。
- シフトペダル(ソフトペダル)は、音色を少し変える。これは実際のピアノでしか再現できない機能な気がする。
- エレキ・ピアノ
- お察しの通り音作りが可能。
- キーボードはエレキ・ピアノの一種と言うことができる。
- お察しの通り音作りが可能。
3-3-2 ピアノの奏法
- グリッサンド
- 高音から低音にかけて、鍵盤の上をジャラララー…と滑らせる奏法。逆もまたしかり。
- 打ち込みちょっと面倒だけどかなり豪華絢爛に聞こえるのでここぞという場面で使っても良いかも
- トリル
- 隣り合った音を交互に連打する奏法。
- 装飾音
- メロディを弾くときに、半音下の音を一瞬だけ鳴らして弾いてみる。
- 例)ドを弾くときに、シの音を一瞬だけ鳴らして「シド♪」という感じにする
- メロディアスな感じになります。
- メロディを弾くときに、半音下の音を一瞬だけ鳴らして弾いてみる。
- 右手と左手
- ピアノは右手(高音~中音部)と左手(低音部)とで分かれている。それぞれにパン(音を左右から鳴らす設定)を付けるとそれっぽく聞こえるかも。
3-4 ドラム
ドラムは、以下のような楽器から構成されるドラムセットとして用いることが多い。
参考: YouTube - ドラムセット各部名称&音
下の楽器が実際に鳴ってるところを聴けるのでおすすめ
- バスドラム
- 大きな太鼓。ドラムセットだと足で操作する。
- 低音の基本リズムを作る、リズムの生みの親と言っても過言ではない存在。
- スネアドラム
- バスドラムよりは小さめの太鼓。
- スネアドラムの裏側には響き線と呼ばれる金属のバネのようなものが張ってあり,ざらついたはっきりとした音が出る。
- バスドラムと組み合わせて基本のリズムを作り出す。
- 細かく振動させて連打するドラムロールという演奏法もある。
- トムトム(タムタム,タム)
- いろんな大きさの太鼓を3~4個ぐらい並べたモノ。音程も違う。
- リズムを変化させたり、音が高い順に叩いていったりといろんな使い方をする。
- ハイハットシンバル
- 同じ大きさの小さなシンバルを上下逆にして組み合わせたモノ。
- 2つのシンバルが開いた状態が「オープン・ハイハット」、閉じた状態が「クローズ・ハイハット」。
- この2つ、全然音が違う。使い分けが大事。
- オープンは「シャーン」、クローズは「チッチッ」というような感じ…?
- クラッシュシンバル
- 大きなシンバル。
- 曲に強烈なアクセントを加える存在。曲調の変わるところやキメの場面など,ここぞというタイミングで鳴らしてあげよう。
- それだけに、パンパン鳴らしまくると印象が薄れちゃう。オープンハイハットやライドシンバルを使おう。
- サビの始まりとか曲のラストとかで鳴らすことが多い。
他にもいろいろな楽器がドラムセットに含まれることがある。ひとまずこれくらい知ってればOK。
★練習5
(1) 1小節の簡単なドラムパターンを打ち込んでみよう。楽器の名前・音色はDAWごとに違うので、調べてみてください。
- 1拍目と3拍目に「バスドラム」を打ち込む。
- 2拍目と4拍目に「スネアドラム」を打ち込む。
- 半拍ごとに「クローズ・ハイハット」を打ち込む。
1~3が出来たら、それらを合わせて聞いてみよう。コピー&ペーストして、数小節にわたって聞く方が分かりやすいかもしれない。また、BPMを少し上げてみる(BPM150程度?)と聞こえ方が変わってくる。
(2) 上のドラムパターンをアレンジしてみよう。
(例)
- 3拍目と4拍目の間にバスドラムを追加する
- 一番最後にクラッシュシンバルを追加する
- 強弱を付ける
この練習課題以外にも、たくさんドラムパターンはあるので色々試してみよう。
3-5 ボーカル・コーラス
- ロックバンドなどでは、人の声が担当するので普通の手段では入力出来ない。
- 録音したものを持ってくるか、VOCALOIDなどの人工音声合成ソフトを使うかする必要がある。
- とはいえ、当然ボーカルが無い曲も存在する。というより、ゲーム音楽では大半がボーカルの無い曲である。
- こういった曲では、シンセサイザーやピアノなど、他の楽器がメロディーを担当している。
- これまでにいろいろと楽器の紹介をしてきたが、メロディーは曲の印象を大きく左右する要素だと言うことに変わりはない。
3-6 シンセサイザー
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シンセサイザー(Synthesizer)とは、電子回路を用いてさまざまな音やリズムを合成・加工する装置のことで、電子楽器として用いる。
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"合成するもの"という意味で、その名の通り、様々な音色を合成によって作り出せることが最大の特徴。
- 元となる波形(音色)に対し、フィルターやエンベロープの調整などの制御を加えることで音色を作り出す
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フィルター
- 音作りのために使用する、特定の周波数の音を増幅・減衰させたり、一定以上(あるいは一定以下)の周波数をカットする装置。
- 特に、一定以上の周波数をカットするフィルターをローパスフィルター、一定以下の周波数をカットするフィルターをハイパスフィルターと呼ぶ。
- 高周波数をカットして低周波数を通す(pass)から、ローパス。
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エンベロープ
- 言葉の意味は"封筒"とか"包む"という意味。音の波形が時間と共にどのように移り変わるのかを表している曲線のこと。
- 一言で言えば、音の大きさの時間遷移。
- 実際のシンセサイザーやDAWでは、以下のようなADSRで示されている。シンセサイザーを扱う場合には特に重要な考え方。
- Attack
- 音を鳴らす操作をした瞬間から、音の大きさが最大になるまでの時間。
- Decay
- 音を鳴らし続けているときに、音量が減衰しきるまでにかかる時間。
- Sustain
- Decayで音が減衰した場合の音量。音を無限に鳴らし続けた時に収束する音量。
- Release
- 音を鳴らすのをやめたとき、完全に音が止むまでにかかる時間。
- 言葉の意味は"封筒"とか"包む"という意味。音の波形が時間と共にどのように移り変わるのかを表している曲線のこと。
例:ピアノの音
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鍵盤を押した瞬間に音が鳴るので、Attackはほぼ0。
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鍵盤を押し続けている間でも音は減衰し続けているため、Decayは長い。
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鍵盤を無限に押し続けていても音はいつか無くなるので、Sustainは0。
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鍵盤を離すと音はすぐになくなるので、Releaseもほぼ0。
- というより、Sustainが0なのでReleaseがいくつだろうとシンセ的には関係ない。
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フィルターやエンベロープの調整の他にも、様々なエフェクトや音源の活用によって、文字通り無限に音源を作り出すことが出来る。
- 一方で、慣れないとかなり操作が難しい。そのため、今回のテキストでは触れないことにする。というか誰か俺に教えてください。
参考:DTMハイパー初心者講座(シンセサイザーの基礎知識)
この講義ノートよりもかなり詳細にシンセサイザーについて説明している。中級編と銘打っているだけあり、多少DTMに慣れていることが前提ではある。
終わりに
飽きずに読めるようにするにはどうしたらいいんでしょうか。難しい。
次回は、おそらく多くの初心者DTMerを泣かせる「和音」についてお話します。
このあたりから、本格的に"音楽"! って感じ、あるよね。おたのしみに。