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2017年12月10日 | ブログ記事

将棋とTCGとそれから…

traP アドベントカレンダー2017 12 月 10 日の記事です。

はじめに

こんにちは、17のbudoutouです。技術的な話が何もできないので何を書こうか困っていたのですが、とてもタイミング良く羽生二冠が永世七冠の資格保持者になられたのでお祝いを兼ねて将棋の記事を書こうと思います。

将棋の戦法2017

将棋には戦法というものがあります。主に「序盤、中盤、終盤、隙がないと思うよ。」の序盤の部分です。戦法は流行り廃りがあり、今年もたくさんの戦法や新手が生まれました。あと一か月で今年も終わるので今年とくに流行った戦法(私的独断)について話していきたいと思います。

雁木戦法

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今年は何といっても雁木の年でした。タイトル戦など大事な対局をはじめ、数多くの対局で採用されました。元々雁木は昭和からある戦法なのですが、最近までプロでは殆ど指されていませんでした。主な理由としては矢倉囲いに対して雁木囲いが弱い囲いとされていたからです。しかし、今年評価が一変しました。きっかけは今年5月のコンピュータ将棋選手権のponanza(コンピュータ将棋のソフトの一つ)の対局です。上の図から後手のponanzaが快勝したことで注目され、プロ棋界でも指されるようになり一気に流行しました。なぜ、ここまで雁木が流行したのか理由を考えると、角道を止めるのでゆっくりした展開にしやすいというのが理由ではないかなと思います。
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上の図は角換わり戦法を拒否し、雁木を目指した手です。ここでは本来角交換する手が定跡だったのですが、この場合下の図のように桂をはねて速攻する手が流行っているため、ゆっくりした展開にはなりにくいです。
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またゆっくりした居飛車戦法といえば王道の矢倉戦法があるのですが、(下の図は矢倉▲4六銀、3七桂戦法)
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これも去年ごろから流行している居角左美濃と呼ばれる戦法によって苦戦を強いられています
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(居角左美濃についてはこちらのサイトが詳しいです
本田未央の『居角左美濃』考察)
以上の理由で相居飛車でゆっくりとした戦法を指すのは難しく、そんな中で生まれゆっくりとした将棋になりやすい雁木戦法に多くの居飛車党の棋士が飛びついたという理由が考えられます。

菅井流振り飛車

はじめに言うと流行ったわけではないです。というかほぼ菅井竜也王位しか指してないです。ですが、この戦法を連採して菅井先生は王位戦を勝ち上がり最終的にタイトルを奪取し菅井王位となりました。そしてなにより発想が非常に面白いので紹介しようと思います。

  1. 後手番菅井流うっかり三間飛車
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    一つ目は「後手番菅井流うっかり三間飛車」または「菅井流ゴキゲン三間飛車」といいます。なぜそのような名前で呼ばれるかというと
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    普通はこう指すからです。この戦法は「ゴキゲン中飛車」と呼ばれ、振り飛車の人気戦法です。しかし菅井先生は真ん中を通り過ぎて飛車を3筋に振ってしまいました。うっかりまちがえてしまったんですね~、という経緯からうっかり三間飛車と呼ばれるようになりました。もちろん実際にうっかりしたわけではありません。狙いは数手後にわかります。
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    このように向かい飛車にするのが目的でした。さらに進めて
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    銀を中央に使うのが目的でした。
  2. 先手番菅井流うっかり三間飛車
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    後手番があるという事はもちろん先手番もあります。これがこの「先手番菅井流うっかり三間飛車」です。明らかに何かがおかしくみえます。普通はこうです。
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    これは「先手中飛車」呼ばれる戦法でゴキゲン中飛車と同じく人気戦法です。しかし菅井先生はまた真ん中を通り過ぎて飛車を振ってしまいました。今度こそうっかりでしょう。なにしろ角頭の危険が危なく見えます。しかし数手たって次の図
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    角頭が受かりました。そしてこの図はどこかで見たことがありますね。先ほどの後手番とほぼ同じです。同じように進めてもいいのですが、先手番で一手早くなるのでこんな手があります
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    角を打って先手ペースです。相手はまだ囲いが完成していないので強く出れず、先手は飛車先の逆襲を狙います。
  3. 阪田流三間飛車
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    「菅井流じゃないじゃん」と思うかもしれないですがこの名前はとある戦法が理由です
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    この戦法は阪田三吉という明治から昭和初期に活躍した棋士が指した戦法で「阪田流向かい飛車」といいます。菅井先生が指したのはこの戦法の三間飛車版なので「阪田流三間飛車」というわけですね。さて、名前の理由はわかりましたがやはりこれも変な形です。何せ飛車の上に金がいる形は相当変ですし、狙いもわかりません。しかしこれも手数を進めて
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    やはり銀を中央に使うのが狙いなんですね。しかしまだ飛車と金の形は変わりません。ここからどうするのか?というところで次の図
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    なんと相手の飛車先の歩を取りに行くのが狙いだったんですね。ちなみにこの対局は王位戦七番勝負の第五局で菅井先生この対局で羽生先生を倒し王位を獲得しました。(当時は羽生さんが不調だと言われていたのですが、その後竜王戦で勝ち進み竜王を獲得して永世七冠の資格を得たのでさすが羽生先生だなと思いました。)

こう話していくと優秀な戦法に見えます。しかし、最初に述べた通りこれらの戦法は菅井先生以外にはほとんど流行りませんでした。理由は簡単でとにかくな戦法だからだと思います。でもうっかり三間飛車という名前はしっかり流行したのでこれも流行戦法とさせていただきます。

他にもたくさんの戦法がありましたが話すと長くなりそうなのでこれで終わりになります。皆さんも気になる戦法がありましたら是非調べてみてください。

幕間

私は「やった~これでアドベントカレンダーの記事を書き終わったぞ」と思ってたんです、この記事を見直す前までは。「これ将棋知らない人には興味持てない内容じゃん」と見直して気づきました。将棋部の部誌に書くべき内容すぎてこのままではまずいと思い、急遽書き足すことにしました。将棋の別の記事を書こうとも思ったのですが、自分が将棋の記事を書いてもまた同じような内容になるのは確定的に明らかなので別の内容を考えることにしました。

TCG

はい、というわけでTCGの登場です。TCGとはトレーディングカードゲームの略称で販売されている専用のカードを使って対戦するカードゲームのことです。遊戯王、マジック・ザ・ギャザリング(MtG)、デュエル・マスターズなどたくさんの種類があります。

最も高いカードは何か

ではTCGについて何を話すのかというと、高額カードについてです。カードゲームのカードは一般的にはパックと呼ばれるカードが入っている袋を買うのですが、カードごとにレアリティが違うので(レア、sレア、ssレアのように)カードごとに価値の差が生まれます。カードショップに行けば一枚10円で買えるカードもあれば一枚で信じられないような価格がするカードもあります。ここで最も高いカードはどのくらいの価値があるのだろうと気になったので調べてみることにしました。(ここでのカードは実際に公式で使用できるカードに限定します。)

自分が持っている高額カード

手始めに自分が持っているカードについてです。
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このカードは劇場版遊戯王の前売特典でついてくる「青眼の亜白龍」というカードで、自分が持っているカードの中では一番高く現在価値で一枚当たり平均2817円でした。これは映画特典で希少価値が高いことと青眼テーマのデッキで3枚フルで入れる必要があることからこの値段になりました。さて高く感じるしょうか?安く感じるでしょうか?少なくともこの後出てくるカードたちと比べたら非常に安いと思うはずです。

遊戯王の高額カード

ではまず先ほどと同じ遊戯王で高額カード見ていきます。まずはこのカード
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さっきと同じじゃないかって?それがこちらのお値段なんと一枚当たり111,600円になります。なんでこんな名に違うのかというとレアリティが違うからです。どれくらい違うかというとレアと限定ssレアぐらい違います。先ほどと違いこちらは世界大会の来場者限定で配られたカードなので、さらに数が少なく希少価値が高いのでこのような価格になりました。ちなみに先ほどと同じように三枚集めると334,800円、合計約35万円のデッキは使うのが怖すぎますね。次はこのカード
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「光の創造神 ホルアクティ」これはプレゼントキャンペーンで抽選で配布されたもので、いままでに10,000枚配られています。お値段は約67,013円です。性能的強いわけではないためコレクター的要素が強いです。最後はこのカード
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これは、ジャンプフェスタ1999限定の「青眼の白竜」。青眼の白竜は遊戯王屈指の人気カードなので様々なレアリティがあります。安いものは100円程度なのですが、なんとこのカードは一枚35万円以上します。正確な金額は時価なのでわかりません。実際に使える遊戯王カードの中では1,2を争う高額カードです。ちなみに先ほどの青眼の亜白龍と一緒にデッキを組むと140万円以上の価値がある青眼デッキが組めます。…車が買えますね。

世界の高額カード

しかし世界にはもっとすごいカードが存在した。それがこのカード
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マジック・ザ・ギャザリング(MtG)のカード「Black Lotus」です。お値段は200万~300万、美品だった場合は300万を超えます。この価格は最も数が少ないα版の価格で世界に1100枚しか存在しません。より数のあるβ版、unlimited版でもそれぞれ100~200万、50~100万ほどはします。このカードはマジックの最初期に刷られたあまりに強大な力をもった9枚のカード「パワー9」の一つで、パワー9はいずれも相当な高額カードなのだが、その中でも群を抜いて強く価値も高いカードです。これが公式使用カードの中で一番高いと思います。1デッキどころか1枚で車が買えますね。

使用ができないカードを含めたら

これまでは実際にゲームで使用できるカードのみで考えていましたが、この制限を取り外すとどうなるでしょうか?こんなカードがあります
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カオスソルジャー(ステンレス製)、これは遊戯王の第一回全国大会の優勝商品で何と9億9800万円で売りに出されています。売りに出されているだけで実際に買い手がいるわけではないので実際の価値はわかりませんが。他にも世界大会の優勝賞品は軒並み数百万の価格がつけられています。

実際には

今述べたのはほぼコレクターアイテムなので、実際に遊ぶ分にはもちろんこんなに高いお金はかかりません(Black lotusを除く)。確かにカードをそろえるときにそれなりにお金はかかりますが、それでも上のような法外な金額は取られませんし、何しろ丁寧に使えば売ったときに元の6~8割方は帰ってきます。もし希少価値がついていればむしろ得できることもあります。そして何より楽しいです。TCGにはいろいろな種類があるので気になるものがあればぜひ始めてみてください。私は最近MtGをはじめました。

幕間2

「これで今度こそ終わったぞ。さっきの将棋の記事と違って知らなくてもそれなりに読める内容だ」私はそう思いました。しかし気づいてしまったのです、traPは東京工業大学デジタル創作同好会だという事に。将棋もTCGもアナログゲームじゃん、そんなことでいいのか、何とかしてデジタル感を出さないと。と思ったのでもう少しだけ続きます。

おまけ

(という名の個人的本編)
将棋とTCGをつなげつつデジタル感出す方法…そんな方法あるわけ…ありました。それはアイドルマスターです。は?と思うかもしれないですが、まずはこちらをご覧ください。
盤上のシンデレラ
次にこちらをご覧ください。
しんでれら・まじっく 1・2期
将棋とTCG(MtG)をアイマスを使ってデジタル感(動画)を出すことができました。
この二つの動画は本当におすすめなのでぜひ見てください(これが言いたかっただけ)
盤上のシンデレラはアイドル=将棋棋士の世界観のアイマス架空戦記で話の内容も非常に面白いし、そして何より将棋の内容が非常に濃いです。どれくらいすごいかというと動画内で指摘された手が実際にその後のプロ棋戦で新手として指されるレベルです。ただ残念なことに現在は更新停止中です。
しんでれら・まじっくは架空デュエルもののアイマス架空戦記です。そして、アイドルの仕事=MtG をすることな世界観です。デュエルの内容が面白いし、先ほどのBlack Lotusのような超高額カードが飛び交う、実際にはなかなか見れないようなデュエルが見れるのが面白いです。こちらは、現在も続編が更新中です。
ちなみにデレマス×将棋の組み合わせはかなり多く、とくに有名なのはこちら
神崎蘭子さんの将棋グリモワール
神崎蘭子さんの将棋グリモワール(動画版)
ブログでは全編熊本弁の観戦記が見れます(先ほどの「本田未央の『居角左美濃』考察」もこのサイト)。個人的に特に好きな記事はこちら
鷺沢文香『将棋界の一番長い日』
こちらは将棋界の一番長い日と呼ばれるA級順位戦最終節について、小説形式で5つの対局を同時並行で見ていくというかなり挑戦的な観戦記で非常に読みごたえがあります。
このように色々なコンテンツと絡めることができるのがアイマス架空戦記の魅力だと思います。他にもアイマス×ぷよぷよ、アイマス×TRPGなど有名どころもたくさんありますね。もっとアイマス架空戦記シリーズの動画が増えてほしいなと思います(これが一番言いたかった)。

まとめ

最後に

最後のほうはかなり深夜テンションで書いてしまっているので変かもしれないです、ごめんなさい。次回はもっとデジタル感ある内容を書けるようになりたいと思います。最後まで読んでくださってありがとうございました。

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この記事を書いた人
budoutou

趣味はゲーム(pc、カードなど)と将棋です 最近MtG始めました

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