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2025年12月26日 | ブログ記事

Vue Fes Japan 2025 参加記

初めまして!情報理工学院 情報工学系 学士2年のフタだるまです!
本記事は2025年10月25日に大手町プレイスホール&カンファレンスで開催された、Vue Fes Japan 2025 の参加レポートです

今回私は学生支援制度を利用して参加させていただきました
学生支援スポンサーの企業様にはこの場を借りて心より御礼を申し上げます。

学生支援スポンサーの企業様は以下の通りです(敬称略)
LINEヤフー株式会社
株式会社プレイド
Studio株式会社

私は普段SysAd班でVue.jsを使用していますが、外部の技術カンファレンスに参加するのは今回が初めてでした。

キーノート

Vue 開発者のEvan You さんのお話の中で一貫して感じたことは、Vue そのもののアップデートだけでなくエコシステム全体としての改良・改善を強く考えているということでした。テストツールのVitest やバンドラーのRolldown 、リンター・フォーマッターのOxc の開発によってVue エコシステムを発展させることを通して開発体験の向上やユーザーの体験の向上の両面を向上させようとする姿勢に感銘を受けました。
私が最も頻繁にVue を扱っているプロジェクトは、先輩から受け継いだプロジェクトの保守や機能改善であることから、テスト環境やリンター・フォーマッターにあまり意識を向けることなく、Vue そのものを使っているという印象でした。このような状況だったこともあり、void(0) 社でバンドラーやリンター・フォーマッターが開発されていることすら知りませんでしたが、高速化の話の中で数十倍ものによっては100倍といったオーダーでの高速化を見込めると聞いて非常に驚きました!今はまだベータ版の物もありますが、今後も動向を確認したり個人開発などの自由な環境で積極的に導入し、動向を追っていきたいです!

セッションの感想

VueはAIに弱い?そんなの都市伝説です

生成AIを用いてVue にコードを書かせるためのtips から始まりましたが、最終的にはどんな言語においても気をつけるべき3つの観点に集約されていきました。
これからのAI共存時代の開発において、非常に役立つ指針を得られました。

alien-signalsと自作OSSで実現するフレームワーク非依存なロジック共通化の探求

サービスごとに使用されている異なるフレームワーク上で動作する類似処理を共通化するためのOSSを作成したという話でした。呼び出し方をVue のcomposition API に寄せていることもあり、扱いやすそうで非常に興味深く感じました。しかし、それぞれのフレームワークに特有の動作があり意図通りに動作させるには工夫が必要な箇所があるとのことで、動作の検証などに難しい部分がありそうであり、自作ライブラリ制作の難しさと奥深さを垣間見ることができました。

LINE公式アカウントの技術スタックと開発の裏側

サービスの規模が非常に大きいことや、会社の統合に伴うフレームワークの不一致などの障壁をどのように軽くして共通箇所の実装を行うかという問題に対してWeb Components を用いているとのことでした。LINEの公式アカウントは日常にもとても馴染み深いものであり、日常的に利用しているLINEの裏側がこうした緻密な工夫の上に成り立っていることを知り、背筋が伸びる思いでした。

プレイドのユニークな技術とインターンのリアル

プレイドの主要プロダクトであるKARTEについてのお話でした。秒間10万件を超えるトラッキングデータをリアルタイムで処理・分析しているというその圧倒的なスケールとスピード感に驚愕しました。本カンファレンスではフロントエンドの技術が主役でしたが、その膨大なリクエストを確実にかつ安定して捌き切るバックエンドの実装設計についても強い興味を惹かれました。

Vue.jsを8年間使ってきた会社が今考えていること

長年の運用経験から得られたVue.jsをプロダクトで使い続ける上での難しさに焦点が当てられたセッションでした。特に状態管理(Store)については、「初期段階でメンテナンス性をどこまで考慮できるか」が後の命運を分けるというお話が印象的でした。具体的なアンチパターンと改善例の比較が非常に分かりやすく、今後自分が一から設計を行う際には、「運用の未来」を見越した設計に注力したいと強く感じました。

kazuponが見つけた才能たち ─ Vue.jsそしてOSSエコシステムを変える開発者発掘術

OSS活動やVueコミュニティへの貢献について、パネルディスカッション形式で伺いました。特にkazuponさんの「カンファレンス参加やブログ執筆も立派なコントリビューションの第一歩である」という言葉には救われる思いがしました。これまでOSSへの貢献は自分にはまだ遠い世界の出来事だと思い込んでいましたが、まずは「Vueを使っている」と発信することから始め、次は技術ブログでのアウトプット、そしてLTでの事例紹介へと自分なりのステップアップを積み重ねていこうと決意しました。

最高の DX - Nuxt Typed Router と Pinia Colada で実現する次世代 Vue/Nuxt 開発

このセッションでは、最高のDXを「開発者の認知負荷を下げ、本質的な問題解決に集中できる状態」と定義し、それを実現する「Nuxt Typed Router」と「Pinia Colada」が紹介されました。ルーティングや状態管理における型安全性の向上やボイラープレートの削減は開発スピードだけでなくコードの品質に直結します。Pinia Coladaはまだ開発段階とのことですが、すでに公開されているNuxt Typed Router v4などを活用し「いかに楽をして正確に書くか」という視点も大切にしていきたいです。

Vue.jsでつくる実験映像

映像作家のBakuさんによる、Vue.jsを「映像制作ツール」として活用する独創的な事例でした。Vueを「完成したWebサイトを構築するためのもの」と考えていた私にとって、「制作過程における中間ツール」として利用する視点は非常に新鮮でした。Vueを手軽に使える点やコンポーネントベースの柔軟性がクリエイティブな試行錯誤を支えているという話を聞き、Webの枠に囚われないフレームワークの可能性を再認識することができました。

ライトニングトーク

なんでRustの環境構築してないのにRust製のツールが動くの?
普段は環境構築の手間を意識せずにRust製の高速なツールの恩恵を享受していましたが、その仕組みについて疑問すら抱いていない状態でした。このLTを通じてNode.jsとRustの連携メカニズムや、日常的に使用しているツールの内部仕様について興味を深める貴重なきっかけとなりました。

Nuxt4のSingleton Data Fetching Layerで何が変わるのか
従来の挙動でも致命的な問題はないものの、開発者・利用者の双方が「より心地よく」使えるような細やかな改善にアンテナを張ることの大切さを学びました。機能を満たすだけでなくこうしたユーザー体験の向上に繋がる変更をキャッチアップし、より質の高いプロダクト開発を目指していきたいです。

アウトプットから始めるOSSコントリビューション 〜eslint-plugin-vueの場合〜
自身の学習や社内勉強会のために作成した資料を公開したことが、結果としてOSSへのコントリビューションに繋がったという事例でした。「OSS貢献=非常に高いハードル」という先入観がありましたが、個人のアウトプットが誰かの役に立ちそれが貢献の第一歩になり得るという気づきを得られました。

知覚とデザイン short version
人間が視覚的にモノを認識する仕組みをUIデザインに活用するという認知科学的なアプローチのお話でした。デザインは経験則に基づいた「帰納的」なものというイメージを抱いていましたが、脳の構造という「演繹的」な視点からデザインを体系化する考え方が非常に斬新で興味深かったです。

Nuxt 認証基盤作成における Cookie 状態管理のポイント
ユーザー認証における Cookie 状態管理の勘所についてのセッションでした。`useCookie` 単体ではなく `useState` と併用することで、SSR時や複数タブ間での状態不整合を防ぎ、安全に運用する手法が紹介されました。認証基盤はシステムの信頼性に直結する部分なので、自身が設計に関わる際もこうしたエッジケースまで考慮した慎重な設計を心がけたいです。

個人でデジタル庁のデザインシステムをVue.jsで作っている話
デジタル庁が公開しているデザインシステムを Vue.js で再構築する過程で再発見したフレームワークの魅力についてのお話でした。自らライブラリやシステムを実装し直すことで、普段「当たり前」に使っている Vue の機能がいかに強力かを再認識できたということは新鮮で驚きがありました。

React Nativeならぬ"Vue Native"が実現するかも? 新世代マルチプラットフォーム開発フレームワークのLynxとLynxのVue.js対応を追ってみよう
モバイル向けクロスプラットフォーム開発フレームワークLynxの Vue.js 対応状況についての解説でした。React Native の存在もあり「ネイティブアプリ開発といえば React」という印象が強い分野ですが、Vue も Lynx を通じてその領域を広げようとしています。開発エコシステムが今後どのように進化していくのかアンテナを高く張って最新動向を追いかけたいと感じました。

chocoZAPサービス予約システムをNuxtで内製化した話
自社サービスの予約システムを Nuxt で内製化した際の知見についての LT でした。特に印象的だったのはアプリ内ブラウザ特有の挙動によるトラブル事例です。PCやスマホの標準ブラウザでの検証だけでは予見できない、アプリ内ブラウザならではのリアルな苦労と、それを乗り越えた経験談には、実務における開発の難しさと面白さを感じました。


アフターパーティー

Vue関連ライブラリのロゴ入りストローが刺さった色とりどりのオリジナルカクテル

学生支援制度の支援内容にはアフターパーティーの参加権も含まれていたのでこちらにも参加させていただきました!

とても美しくて美味しい料理や、Vue エコシステムに関連するライブラリなどのカラー、ストローが刺さったカクテルもいただきました!
料理やドリンクを片手に、当日のセッションに関する話や普段のVue の使用目的・tipsなどを共有することができ、ユーザーコミュニティの存在を肌で感じることができました。
Vue以外の一般のWeb開発に関する話をすることもでき、Vueユーザーコミュニティとの繋がりだけでなく、そこからさらに広いコミュニティへつながっていく実感もあり非常に良いきっかけになりました。

最後に

今回のVue Fes Japan 2025 への参加が初めての外部カンファレンスでしたが、今後も興味のあるカンファレンスに参加したいと思いました。
また、今後の活動の役に立ちそうな知見が多く得られたことはもちろん、今後のWeb開発への大きな刺激となる、極めて有意義な時間でした!

改めて、学生支援スポンサーの皆様をはじめ全てのスポンサーの皆様、スタッフ・登壇者の皆様そしてVue.js に関わる全ての方々に感謝申し上げます。今回の経験を糧に、これからも開発を楽しんでいきたいと思います!

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この記事を書いた人
Futadaruma

24Bのフタだるまです webフロントエンドを頑張っています

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