このブログで使用しているAMD製GPUはAMDの広報よりパーツの貸し出しをを受けたものですが、パーツの貸し出し以外の金銭的なやりとりや内容の指示はありません
皆さんこんにちは。22Bのkaitoyamaです。
最近は夏以降の様々なイベントの企画を進めながら、大学院入試の準備に追われています。
今回も前回、前々回に引き続き、グラフィック班の3DCGの人として、AMD製のGPU、Radeonを借りられる機会を得たので、Blenderで使ってみた感想をお伝えしようと思います。特に今回は今年発売されたRX 9070をお借りしたので、これまでの7000番台との比較にぜひ注目いただければと思います!
(ハイスペック相当やミドルスペックのGPUの性能についてはこれまでの記事をぜひ!)


今回のパーツ
今回使用したパーツは
- CPU: core i7-8700F
- GPU: Radeon RX 7900 GRE, 9070
としました。
今回の選定は今年発売の9070とちょっと聞きなじみのない7900 GREという二つとなりました。
簡単に7900 GREの立ち位置を説明しますと、中国本土向けに販売され、その後昨年頭にグローバル展開されたGPUでおおよそ7900XTと7800XTの中間のものになります。現在新品を購入することは少し難しいかもしれません。
今回の二つはともに長さが30cmを超える製品だったため、普段使っているPCケースに入らなかったためCPUがいつもと違うものになっています。ただ、基本AMDのレンダリングではGPUしか使用されないため、結果に影響はないと考えられます(実際の検証でもGPUの計算性能がボトルネックになっていることを確認しました)
このようなハイスペックなGPUを購入するときにはケースにはいるGPUの長さにも十分注意しましょう。
そもそも使えるの?
これまでの記事と同様の解説ですが、改めてこの話題を最初に説明します。機械学習やゲーム系などの話題でもよく聞く話ですが、GPUはメーカーによって使える機能に大きな差があり、機械学習だとCUDAが~とか、ゲームだとDLSSといったものがNVIDIAのGPU限定の機能です。
では、Blender標準のレンダラーやそれ以外のレンダラーではどうなのでしょうか?
結論から言うと、BlenderのデフォルトのEEVEEやCyclesでは問題なく使用ができます。一方、Windows上でのOctaneやV-RayはNVIDIA製のものにしか対応していません。
BlenderのCyclesではHIPというNVIDIAのCUDAみたいなGPUをうまく使ってくれる的な技術をオンにしたり、さらにこれのレイトレーシング用の機能であるHIP RTをオンにすることができます。これまでの検証ではこのRTを有効にすることで大きく性能が向上することがわかりました。
前評判を調べる
これまで同様Blender Benchmarkを見てみましょう。
すでにRX 9070についても50件以上のデータが集まっていました。


この結果を見るとやや、9070の方が性能が低いようです。これまでに実験したことのあるモデルと比較すると次の通りです。
中央値 | |
NVIDIA RTX 4070 ti | 6200.47 |
AMD Radeon RX 7900 XT | 3612.37 |
AMD Radeon RX 7900 GRE | 2786.99 |
AMD Radeon RX 9070 | 2734.79 |
AMD Radeon RX 7700 XT | 2162.96 |
AMD Radeon RX 7600 XT | 1294.83 |
AMD Radeon RX 7600 | 1274.81 |
この指標での差がどの程度レンダリング時間に現れてくるのかが気になるところです。特に、7900 XTと 9070については現在の販売価格がほぼ同じということもあり、新世代の力でこのベンチマークの差を乗り越えてくれるかどうかというのは気になるところだと思います。
実際に使ってみた
レンダリングに使用したシーンは前回と同様の二つです。


さて、今回のレンダリング時間は次の通りでした。(RadeonはすべてHIP RTを有効にし、すべてGPUのみでレンダリングしています)
01 | 02 | |
---|---|---|
RTX 4070 ti | 5'00 | 2'08 |
RX 9070 | 10'30 | 6'28 |
RX 7900 GRE | 9'17 | 6'10 |
このようにみると、結構ベンチマークの序列通りの結果になったように見受けられます。(今回4070tiの設定を一部見直したためこれまでよりも性能が向上しています)
過去の事例も組み合わせると
01 | 02 | |
---|---|---|
RTX 4070 ti | 5'00 | 2'08 |
RX 7900XT | 6'44 | 未計測 |
RX 7900 GRE | 9'17 | 6'10 |
RX 9070 | 10'30 | 6'28 |
RX 7700 XT | 12'37 | 8'12 |
RX 7600 XT | 19'54 | 14'15 |
RX 7600 | 19'43 | 14'07 |
という結果になります。
こう見ると、Radeon内の差については完全に比例ではないもののベンチマークスコアが役立つことがわかります。そうすると、RX 9070 XTのスコアが3106.55 なのでこちらよりも7900 XTの方が現時点では性能が高いのではと推測できます。
最後に
今回は同価格帯の9070よりも7900XTの方が優れているという結果となりました。しかし、巷の話題を見るとゲームなどのベンチマークでは9070の方が性能が良いという話も見るので、今後9070に積まれた新しい技術などを使った性能向上などがBlenderにおいて提供されることなどがあるとこのような部分も変わるかもしれないと思っています。また、国内ではとても一瞬の流通だったようですが、7900 GREはだいぶコスパの良い選択だったようです。
ここまで三回にわたってBlenderのレンダリング時間についてという切り口でAMDのRadeonについてまとめてきました。今流通しているGPUに関してはこのデータからもある位程度類推ができるのではと思うので、ぜひ、最近AMDのGPUもコスパがいいとかって聞くよな~というときの参考になればうれしいです!