皆さん、初めまして or お久しぶりです。
traP Advent Calender 2017、10月26日担当のKato_Kaoruと申します。
……いやまあ、クリスマスまで二か月弱あるのにAdvent Calenderというのもおかしな話ですが。
昨年度のAdvent Calenderでは、RPGのお約束的な事柄(壺をぶっ壊し続けたり、少数精鋭どころの騒ぎじゃない人数で魔王城に乗り込んだりといったような感じのアレコレ)についてさまざま論じさせていただいたのですが……
……ええまあそうです。今年もそんな感じです。
そんなわけで、昨年度の私のAdvent Calenderを見ていただければわかりますが(宣伝)、この記事は技術的な事柄について一切話をしません。
さらに言えば昨年度同様、全体的に駄文になります。
ですから、そういった若干のグダグダ感の否めない文字の集合が嫌いな方は、他の方々のもっとためになる記事を読むことをおすすめします。
……まだ「戻る」ボタンを押すつもりの方はいますか? いませんね?
では次から記事本文です。
0、そもそも何について話すの?
本文に入る前にあれやこれややっていたせいで書き忘れていましたが……
今回のテーマは**「ステータス」**です。
昨年度の記事では主人公やその他登場人物の行動についてあれやこれや書いていたわけですが、そもそも、「RPG」と聞いて大半の人が思い浮かべるのはゲームでの戦闘でしょう。
「ロールプレイングゲーム」である以上、何らかの役割(ロール)を用いて遊ぶものであれば一応このジャンルに入るといえば入りますが……現在、ほぼすべてのRPGにおいて、戦闘の要素は切り離せないものでしょう。
ですからまあ、最初は戦闘、特に色々と議論や考察の対象になりそうな魔法について考えようか、とも思ったのですが……
ゲームをはじめとするデジタルコンテンツの制作サークルの記事作成に、物理や化学の教科書をひっぱり出す羽目になりそうなのでやめました。
そもそも魔法って別にRPG特有の要素でもありませんし、流石にレポートを書くような勢いでAdvent Calenderの記事を書きたくなかったので……。
そこで、何かRPGの戦闘に関わる要素がないかと考えた結果、ステータスについて考察することになったのです。
元々のゲームブック時代のRPGが、キャラクターのステータスを元に計算式とダイスロールで戦闘を行っていた(らしい)ことを考えれば、ある意味当然の帰結とも言えましょう。
長々と書きましたが、要するに**「RPGのステータスと戦闘」**について、今回は考察しよう、ということなのです。
近年、異世界転生だの異世界召喚だので出てくることもあるステータス。
今までは大して疑問に思うこともなく受け入れてきたことですが、一般常識から考えてみれば疑問に思うことも出てくると思います。
今回はともに、それについてきちんと考えてみることにしましょう。
1、考察するRPGの「設定」について
さて今回も、もろもろ考える前に、考察するRPGの「設定」を決めなくてはなりません。
特に今回はシステム面に関わることなのである程度きちんと考えなくてはならないのです。
今回は、ステータスについて考えるときに、最も考えやすく、またなじみやすい**「ターン制コマンド式」**の戦闘を考えることにします。
今回使用する**「ターン制コマンド式」**の戦闘の流れ
1、ターンのはじめに、主人公たちの行動を各人一つずつ決める。
2、(スキル等で何らかの変化がない限り)敵味方合わせた中で「はやさ」「すばやさ」「速度」等が高い方から順に行動していく。
3、戦闘によってダメージを与える際には、「攻撃者の攻撃力」「攻撃対象の防御力」「(スキル等を使用する場合には)スキルに設定されたダメージ倍率」などをもととしてダメージを計算し、相手のHPを減らす。
4、HPが0になったキャラは「戦闘不能」扱いになる。
5、全員が行動し終わったらターンを終了。次のターンに入る。
……長々と書きましたが、要するに昔のドラクエとかFFとかを思い浮かべれば大丈夫です。
「主人公のこうげき! スライムに30のダメージ!」
とか、こういうやつを思い浮かべれば問題ありません。
上記に加えて、肝心要の考察対象たるステータスについても仕様を決めておきます。
1、物理攻撃時、魔法攻撃時に攻撃力として扱うステータスを「物理攻撃力」「魔法攻撃力」とする。
2、物理被攻撃時、魔法被攻撃時に防御力として扱うステータスを「物理防御力」「魔法防御力」とする。
3、ターン中での行動順の基準となるステータスを「速度」とする。
4、「HP」を、受けたダメージに応じて増減し、0になったら戦闘不能となるものとする。
5、スキル使用時に消費するものを「MP」とする。
6、戦闘し勝利した際「経験値」を獲得し、規定された量の「経験値」を獲得した場合、ステータスの向上する「レベルアップ」が発生する。
これに関しては、何か規定をするというよりも呼称の仕様設定という部分が大きいです。
では、この設定をもとに考察を進めていきます。
2、「物理攻撃力」「魔法攻撃力」「物理防御力」「魔法防御力」について
ではまず、戦闘においてダメージにかかわる要素である各種攻撃力・防御力について見ていきましょう。
最初にこの部分についてやっておかないと、これより先の部分、主にHPについての議論に差しさわりがありますので。
さて、戦闘においてダメージを発生させる際の基準として「攻撃者の攻撃力」「攻撃対象の防御力」「(スキル等を使用する場合には)スキルに設定されたダメージ倍率」などを使用すると書きましたが、たいていのRPGにおけるダメージ計算式というものは次のようになっています。
(「攻撃者の攻撃力」-「攻撃対象の防御力」)×「ダメージ倍率」
もちろん、攻撃の相性や属性、各種特殊効果による攻撃力・防御力の増減、スキルに設定された特殊効果等、様々な要素がここにさらに追加されますが、基本はこのようになっています。これを踏まえて考えてみましょう。
まず、考えやすい**「物理攻撃力」「物理防御力」**について考えます。
物理攻撃においてダメージが増すということは、(打撃武器が最も考えやすいのですが)おおよそ武器等を振るい対象にあてた際にかかる力の大きさだと考えることができます。
武器をぶつけた際により多くの力をかけることができる、でもより早く武器を振るうことができる、でもいいので、とにかく与える力の大きさが増えればダメージが増加すると考えられます。
このとき、先ほどのダメージの計算式を考慮すれば、この**「武器等をぶつけた際にかかる力の大きさ」こそが「物理攻撃力」**であると言えそうです。
また、この「かかる力」を基準とすれば、**「物理防御力」は「一定のかかる力に対して、どれだけ人にかかる負荷を減衰できるか」**という値であると言えそうです。
次に**「魔法攻撃力」「魔法防御力」**ですが、現実には魔法がない以上、魔法によって各種現象が引き起こされる過程やそれによってダメージを受けるといったことがどういうことなのか不明のため、物理攻撃における規定を基準にするほかありません。
つまり、物理攻撃における「かかる力」を、「炎だの氷だの雷だのといった「魔法によって引き起こされる現象」として考えるということです。
この場合、**「魔法攻撃力」は「同一の魔法を同じように放つとき、どれほど強力な現象を引き起こせるか」**であると言え、
また**「魔法防御力」は「同一の魔法による現象に対し、どれだけ人にかかる負荷を減衰できるか」**であると言えるでしょう。
結論:
「物理攻撃力」=「武器等をぶつけた際にかかる力の大きさ」
「物理防御力」=「一定のかかる力に対して、どれだけ人にかかる負荷を減衰できるか」
「魔法攻撃力」=「同一の魔法を同じように放つとき、どれほど強力な現象を引き起こせるか」
「魔法防御力」=「同一の魔法による現象に対し、どれだけ人にかかる負荷を減衰できるか」
3、「HP」について
さて次は、**「HP」**についてです。
正直、個人的には各ステータスの中で最も人間離れしている部分だと考えています。
もちろん、「HPとは何なのか」と聞かれれば、**「自身の戦闘継続力を、ダメージ計算式によってはじき出されるダメージに基づいて数値化したもの」**と、いうことはできるでしょう。
現に、攻撃に際して発生するダメージによって減少し、また0となったら戦闘不能になる以上、これ以外の表現方法はないでしょう。
問題は、正直いろいろありますが順序立てて言えば、
1、自身の戦闘継続能力を被ダメージ量を基準にして数値化できる。
2、どのような状況であってもダメージ計算式に応じたダメージを受け、HPを減少させる。
3、魔法やアイテムで回復すれば戦闘継続能力が規定量増加する。
4、自身の戦闘継続能力の多寡にかかわらず、一定の攻撃力・防御力を保つことができる。
といったところでしょうか。
正直わかりづらいと思うので、具体例を交えて説明すると、この世界の生物というのは、
たとえどこにどのように傷を受けようとも即死することなく、どんなに死にかけていても回復すれば即座に戦闘を継続することができ、常におおよそ一定量の傷を相手に与え続け、そしてHPが0になった瞬間倒れる。
……主人公含め、まともな生き物とは呼べない気がしますねこれ。
特に、「体の状態に関わらずおおよそ一定のダメージを与えつつ、HPが0になった瞬間倒れる」なんて代物、自分で思いつく範囲でこれができるのは……
……ターミ○ーターくらいでしょうか。
これが生き物と呼べるかどうかはさておき。
結論:
「HP」=「自身の戦闘継続力を、ダメージ計算式によってはじき出されるダメージに基づいて数値化したもの」
備考:
ただし、主人公含めこの世界に住まうものは皆、現実ではおおよそ生き物とは呼べなさそうな何かである。
4、「MP」について
お次は**「MP」**です。
一般には「マジックポイント」や「マナポイント」の略称とされることが多いですが、私はそれでは説明のつかないことがあると思っています。
それは、**「物理攻撃を行うスキルの使用時にもMPを消費すること」**です。
MPがもし「魔法を放つためのポイント」だとするならば、物理攻撃でMPを消費するとは考えられませんし、そもそも武器を振るだけなのに何かを消費するとは考えにくいのです。
しかし実際にMPが消費されている以上、少なくとも物理攻撃を行うスキル使用時に何かを消費しているのは確実です。
ここで一度、「物理攻撃を行うスキル」というのがどのようなものなのか考えてみましょう。
前に挙げた「ダメージ計算式」によれば、スキルには規定された「ダメージ倍率」が存在します。
考えてみれば、多少武器の振るい方や当て方を変えたところで、「物理攻撃力」や「物理防御力」が増減するならともかく、「ダメージ倍率」が変化する、つまり与えるダメージが一定倍増加する、なんてことは起きえません。
つまり、物理攻撃を行うスキルにおいては、MPは「ダメージ倍率」を発生させるために消費されていると考えられるというわけです。
……物理攻撃力も物理防御力も変化させずにどうやって与えるダメージのみを変化させるのか、それこそ「魔法」な感じがしますが。
結論:
「MP」=「魔法を起こしたり、物理攻撃において与えるダメージのみを増加させるといった魔法的な現象を起こす際に消費する」
備考:
「物理攻撃を行うスキル」=「MPを消費して、与えるダメージのみを増加させる技」
5、「速度」について
次は「速度」についてです。……まあ、要するに**「行動速度を数値化したもの」**であるとしか言いようがないのですが。
どちらかというと問題は、**「どんなに行動速度が早くてもきっちり全員が行動終了するまで待っている」**ことでしょう。
敵味方問わず引き起こされる現象ですが……のんきなのか、なんなのか……
結論:
「速度」=「行動速度を数値化したもの」
備考:
この世界の住人は、戦闘時各人が一回ずつ行動するのを待てるくらいにはのんきである。
6、「経験値」と「レベルアップ」について
さて、最後に考察するのは**「経験値」と「レベルアップ」**についてです。
ここで内容を**「レベル」にしなかったのは、ステータスを語るうえで重要なのはどちらかといえばステータスの上昇現象の発生する「レベルアップ」であり、「レベル」自体は「レベルアップの発生した回数+1」だと考えることができる**ためです。
ひとまず、経験値については**「各々の敵との戦闘において、得られる経験を数値化したもの」**としましょう。
一般に「経験値」だとか「EXP(Experienceの略と考えられる)」である以上、戦闘における経験と関わる値であることは明白でしょう。
問題となるのは下記の2つ。
1、なぜ「レベルアップ」時にステータスが上昇するのか?
2、なぜ「レベルアップ」時にのみステータスが上昇し、他のタイミングではステータスが上昇しないのか?
という点です。
先ほど書いた通り、「物理攻撃力」は「武器等をぶつけた際にかかる力の大きさ」を意味しています。
つまり、筋トレでも何でもいいから力を増やせば、それだけで「物理攻撃力」が上昇するはず、なのです。
では、訓練しても上がらないステータスが、「レベルアップ」時に上昇するのか?
「レベルアップ」が「経験値」の蓄積、つまり戦闘経験の積み重ねによるものだと考えれば、一つ、可能性が浮上します。
それは、**「訓練で筋力を増しても、経験を積まないと武器を使ってかける力が大きくならない」**というものです。
戦いにおいては、百回訓練を積むよりも、一回実戦を行った方がためになる、という考え方があるそうです。
いかに訓練を積んだところで、実戦においてその力を発揮できるとは限らない。きちんとステータスを上昇させるためには、実戦経験が何よりも重要、ということでしょうか。
結論:
「経験値」:「各々の敵との戦闘において、得られる経験を数値化したもの」
「レベルアップ」:「積み重ねた訓練の成果を、実戦経験を重ねることによってステータスの上昇という形で出したもの」
7、総評
ひとまず、ここまで出た結論をまとめてみましょう。
「物理攻撃力」=「武器等をぶつけた際にかかる力の大きさ」
「物理防御力」=「一定のかかる力に対して、どれだけ人にかかる負荷を減衰できるか」
「魔法攻撃力」=「同一の魔法を同じように放つとき、どれほど強力な現象を引き起こせるか」
「魔法防御力」=「同一の魔法による現象に対し、どれだけ人にかかる負荷を減衰できるか」
「HP」=「自身の戦闘継続力を、ダメージ計算式によってはじき出されるダメージに基づいて数値化したもの」
(備考:ただし、主人公含めこの世界に住まうものは皆、現実ではおおよそ生き物とは呼べなさそうな何かである。)
「MP」=「魔法を起こしたり、物理攻撃において与えるダメージのみを増加させるといった魔法的な現象を起こす際に消費する」
(備考:「物理攻撃を行うスキル」=「MPを消費して、与えるダメージのみを増加させる技」)
「速度」=「行動速度を数値化したもの」
(備考:この世界の住人は、戦闘時各人が一回ずつ行動するのを待てるくらいにはのんきである。)
「経験値」:「各々の敵との戦闘において、得られる経験を数値化したもの」
「レベルアップ」:「積み重ねた訓練の成果を、実戦経験を重ねることによってステータスの上昇という形で出したもの」
こうして書き連ねてみると、案外まともに見えますね。
……もはや生き物とは呼べなくしてしまう「HP」と、よくわからない魔法的な現象を引き起こす「MP」以外はですが。
もっとも、去年の記事で書いた通り、主人公一行に関しては軍を組めそうなくらいの数の魔物を相手できるくらい各種ステータスが高いのですが。
でもまあ、主人公たちがそこまで人間――生き物離れしていなくて若干安心しました。
……未来の戦闘ロボットか何かのごとく、倒れるまで戦い続けはしますが。
最終的な結論:
RPGの主人公たちは、(ロボットかといわんばかりの継戦能力と謎の魔法的なナニカをする以外は)生物の域にとどまっているようである。