この記事はアドベントカレンダー2024 8日目の記事です。
はじめに
おそらく初めまして!東京科学大学デジタル創作同好会24BのMPっていいます。
今回は僕も携わらせていただいたプロジェクト、Senirenol Restartについての記事を書かせていただこうと思います。
Senirenolとは?
そもそもSenirenolってなに?という方も多いと思うので参考記事を張っておきます。
【Senirenol開発秘話】①高校の文化祭で音ゲーを作って出して失敗した話 -ボタン音ゲーの問題点-
【Senirenol開発秘話】②直感的でとっつきやすいボタン音ゲーが作りたかった話
2023年工大祭traP Expoにて音ゲー「Senirenol Chronicle」を制作・展示しました
2024年工大祭Creators' Arenaにて音ゲー「Senirenol Restart」を制作・展示しました
つまりざっくりというなら、Snirenolは音ゲーです。僕はプロジェクト内で楽曲提供(3曲)および譜面の制作を担当しました。
Senirenolの遊び方
以下の内容を理解するために1分でわかるSenirenolの遊び方のコーナーです
Senirenolは8個のボタンで遊ぶ音ゲーです。上からノーツが降ってくるのでタイミングよくボタンを押していきます。複数レーンに跨っているノーツはどこか一つのボタンを押せば大丈夫です。ノーツには3種類あります。
1.タップノーツ
判定ラインに重なったタイミングでボタンを押します。
2.ホールドノーツ
ノーツが終わるまでボタンを長押しし続けます。
3.EXタップノーツ
ボタンをタイミングよく押す、ボタンを押しっぱなしにしておく、のどちらの方法でも取ることができるノーツです。判定はかならずPerfectになります。
問題点
さて、Senirenolを制作する上で一つ気を付けなければならないことがあります。
それは制作陣に根っからの音ゲーマーが多いため、自然と譜面が難しいものになってしまうということです。
実際昨年度は難易度が高めに設定されてしまい音ゲー初心者が苦しんだということもあり、今年はそこを改善するのが一つの目標とされていました。
なぜかみんな難しい譜面作りたがるんですよ。なんでなんでしょうね。
理由はともかく、彼らのようなバーサーカーに低難易度を任せてしまったが最後再び悲劇が巻き起こってしまうのはいうまでもありません。なので(他の人たちと比べると音ゲーが下手な)僕はなるべく低難易度の物を制作しようと考えました。
皆さんも普段生きてきて譜面を作らなければいけない場面に遭遇したことがあると思います。低難易度の作り方わからないよ~という方は是非参考にしてみてください。
難易度帯について
ここでSenirenolの難易度について説明します。
Senirenolでは1曲あたり、Past,Present,Future,Lycolysの4段階の難易度の譜面が設定されています。(一部の曲にはお遊び譜面であるPallarel譜面が存在します)それぞれの想定客層は以下の通りです。
- Past 小学生くらいの小さな子/ゲーム自体全然触らないような人/音ゲー苦手な人たち
- Present ある程度ゲーム触れる人/スマホ音ゲーエンジョイ勢
- Future 世間的に「音ゲーがうまい」と言われる人たち
- Lycolys 化け物たち
譜面制作チーム、みんなLycolys作りたがってました、なんででしょうね。みんな化け物なのでしょうか(僕も1つLycolys譜面作りました)
譜面の作り方について
以下譜面の作り方について話していきますが、企画段階では次のように設定されていました
Future以下
- Future以下は長押し前提のEXシングルノーツを置いてはいけない
- 去年音ゲー初心者の方々が困惑していた
- Future以下は小粒を置いてはいけない
Present以下
- Present以下は早いトリルを置いてはいけない
- 190の8分はダメそうだった
- Present以下は交互で取れるようにすること
正直これらのレギュレーションは開発が進むにつれてだんだん消えていった印象がありますが悪しからず。
Present譜面の作り方
まずはPresent譜面についてです。以下基本的に意識したことです。
①プレイヤーが次を予測しやすくする
音ゲー初心者にありがちなこととして、流れてくるノーツではなく判定ラインの近くを見てしまうということが考えられます。なので判定ラインの近くを見ていたとしても雰囲気で何となく叩ける、というような譜面構成がいいです。
②ノーツを大きく
Senirenolの場合、ノーツが大きいと叩いてもよいボタンの数が増えるのでノーツは大きい方がいいです。一応例外はあり、大小のノーツを織り交ぜてしまったり4鍵の階段を大きくしてしまったりすると認識が難しくなってしまうので気を付けましょう。1ボタン分の小粒ノーツなどもってのほかです。
③ホールドノーツの終点を空ける
音ゲーになれてくるとホールドノーツを押しながら他のノーツを叩くというのはかなり簡単になってくると思いますが、初心者はホールドノーツを押さえ続けるということにかなり脳のリソースを割いてしまいます。なので次のノーツが来る前にホールドを離させてあげると優しいです。
④両手で取るを意識
まずそもそも、指押しは難しいです。今の時代スマホ音ゲーなどで指押しに慣れてきているひとたちも多いと思いますが、ボタン型の音ゲーで指押しをすることに慣れているにんげんはそれこそ「音ゲーマー」と呼ばれているような人たちしかいないのではないでしょうか。指が必須になってしまう配置はなるべく避け、手のひらで押せるようにしましょう。
⑤最後はちょっとだけ難しく
甘やかしているだけではよくありません。難所も入れてあげましょう。
入れるタイミングはプレイヤーが曲のリズムに適応してきた終盤がいいです。感覚としてはレベルが2あがったイメージで作っていました。
上の4つが基本的に意識したことですが、Levelが9以上の曲については少しだけ違いがあります。
①小粒入れちゃいました
てへ
流石にふんだんに盛り込んだわけではなく、①の「次の予測」がしやすい場面でちょっとだけ入れました。許してください、なんでも許s
②指押し入れちゃいました
制作時は両手で取ることを想定していたものの、いざ実機でテストプレイしてみたときに本能的に指押ししてしまう配置がいくつかありました。
(まぁ指押しの練習ってことで...)
Past譜面の作り方
次にPast譜面についてです。
工大祭前日に限界進捗をして疲れ果てていた僕たちはPast譜面のことを「赤ちゃん用譜面」と揶揄していました。音ゲー初心者を馬鹿にする意図は本当にありません。許してください。
Present譜面で意識したことをより極端にしていくイメージです。具体的には、
①プレイヤーが次を予測しやすくする
→小節頭にノーツを置く
通称もぐらたたきです。音源がなにかの間違いでメトロノームに置き換わってしまったとしても遊んで違和感のないようにすることが大事です。
②ノーツを大きく
→横幅は画面の半分
どーーーんとでっかく置いてしまいましょう。配置もシンプルに、左、真ん中、右の三択です
③ホールドノーツの終点を空ける
→ ホールドノーツを単体で置く
先ほど初心者はホールドノーツに脳のリソースが割かれてしまうと書きましたが、ならば単体で置いてあげましょう。もちろん横幅は大きく、配置もシンプルに。
④両手で取るを意識
→ 手が一つでも取れるように
これは当日の様子を見て気づいたことですが、一つのノーツを両手をつかって取っているプレイヤーも見られました。両手を同時に使う配置も控えめにしましょう。
⑤最後はちょっとだけ難しく
→ そんなことするな
難しくしたら初心者、泣いちゃいます。泣いちゃったら初心者、音ゲー辞めちゃいます。
優しくしてあげましょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。みなさんも譜面を制作する際は参考にしてみてください!
明日の記事は@YHz_ikiri さんと @Slime さんです、お楽しみに!