東京工業大学
デジタル創作同好会

2017年4月11日 | メンバーブログ

できるかなってDistortion

clk

(この記事は新歓ブログリレー2017 8日目の記事です。)

初めての方ははじめまして、初めてでない方はおはようございます。
デジタル創作同好会traPで主にBGMやSEといった音系のリソースを作っているCLKと申します。
本日は、DTMにおけるエフェクトの一種である「ディストーション(Distortion)」について簡単に紹介したいと思います。


ディストーション is 何

distort : ゆがめる、ねじる、曲げる、曲解する、ひずませる
(出典 : Weblio辞書 英和辞典)

「歪ませる、曲げる」という意味を持つ動詞"distort"の名詞系。
特に音楽界隈では音を歪ませるエフェクトの一般名称として使われます。[1]
音を歪ませるというのは、別の言い方をすると「人為的に音割れさせる」とだいたい同義です。よくわかりませんね。後ほど詳しく解説します。
余談ですが、ディストーションの起源はエレキギターの「あの」アグレッシブなサウンドの誕生と深く関係しています。ここでは省略しますが、なかなか面白いので気になる方は調べてみてください。[2]


ゆるふわ入門編

このブログ記事を読んでいる皆さんは高校物理の波動なんでラクのショウだと思いますが、一応復習です。

一般に、ある地点で観測する音というのは「時間」に関する「変位」の関数として表すことができます。主に正弦波の場合、変位の絶対値の最大値を「振幅」と呼びます。

さて、本題に入ります。
ここでは簡単のため音速や振動運動の減衰を一旦無視し、音を出す人と聴く人で同時刻に全く同じ音が聴こえる状況を仮定します。更に抽象化するなら、空間内において音源と観測者の位置が一致している状況とも言い換えられます。

図は先程の使い回しですが、とりあえずこのような音を考えます。
これは音源の近傍での空気の単振動運動でもありますが、その元はスピーカー内部のコイルの運動です。さらに元を辿れば、その内部の電気進行の運動でもあります。[3]

その点を踏まえた上で、まずスピーカーから音を出してみましょう。当然、スピーカーのコイルの振動運動と空気の振動は一致しています。
そのまま音量をどんどん大きくしていきます。すると、スピーカーのコイルの振動も大きくなっていきます。

しかし、ある付近を境に様子がおかしくなります。そもそもコイルはスピーカー本体に内蔵されている以上、無限の振れ幅で振動できるわけではありません。一定範囲以上にコイルが動こうとすれば、必然的にブレーキがかかってしまいます。それでも無理やり音量を上げると……

さっきまではy方向に引き伸ばしてただけなのが、波形そのものが変わってしまいました。波形の山のてっぺんが潰れたような波形に変化しています。
これが「音割れ」の状態です。なんだか元の音より音質が悪い感じがします。


スペクトル編

※ごめんなさい、工事中です。可及的速やかに加筆します。


実際に音を破壊してみよう

ディストーションの仕組みを"完全に理解"できましたか?
まぁぶっちゃけ理論なんてどうでもいいのです。とりあえずかけてみましょう。

ディストーションが効果的なのは例えば以下のような場合・トラックです。

逆に、以下のようにディストーションをかけない方がいい場合もあります。

また、ディレイやリバーブをディストーションより前にかけるとモゴモゴになってしまうので、
ディストーション → (ディレイ or リバーブ)
の順にかけた方が良い感じになる場合が多いです。

実用例1: SuperSaw系リード

before:

[audio mp3="/content/images/2017/04/supersaw.mp3"][/audio]
after:

[audio mp3="/content/images/2017/04/supersaw_d.mp3"][/audio]

バリッバリでブリッブリな強い音になります。

実用例2: ガバキック

before:

[audio mp3="/content/images/2017/04/kick.mp3"][/audio]

after:

[audio mp3="/content/images/2017/04/kick_d.mp3"][/audio]

より頭が悪い感じの音になります。
ガバというジャンルについては、詳細な記事を別途書く予定です。(ほんまか)

実用例3: ピアノ

before:

[audio mp3="/content/images/2017/04/piano.mp3"][/audio]

after:

[audio mp3="/content/images/2017/04/piano_d.mp3"][/audio]

擬似的な音割れによって「劣化」「退廃」「破滅」を感じるような印象深い音になりました。曲の全体でピアノを使いつつ、曲の一部だけディストーションをかける(強くする)とより効果的かもしれません。


さいごに

ディストーション講座、いかがだったでしょうか。
是非、色々試してみて「これだ!」というディストーションサウンドを見つけてみてください。

音圧で差をつけろ。

明日はsusugi,Double_oxygeNの2名です。
ではでは。


  1. 「歪む」はあくまで「ゆがむ」ではなく「ひずむ」と読むそうです。「ゆがむ」と読むとやたら馬鹿にしたりめちゃくちゃ怒る人もいるようなので気をつけましょう。かく言うも私もよくゆがませてしまいますが。
  2. おおよそ作る曲が四つ打ちばかりで、バンドサウンドにあまり興味のない私でもなかなか楽しめました。
  3. 電気的な変位は交流電流の強弱(正負を含む)で表します。正弦波で言えば、最も正方向の電流が最も強くなった瞬間が1、正負の切り替わりの瞬間が0、負方向の電流が最も強くなった瞬間が-1です。
  4. ディストーションほど露骨ではないけど似たような作用を持つ「ソフトクリッパー」や「サチュレーター」も効果的です。
この記事を書いた人
clk

音しか作れない割に音が弱い人。 Twitter : @CLK_rhythm

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