こんにちは、東工大数学科3年のhihumiと言います。
今回はTwitter等で大学の微分積分でつまづいてしまう人を結構見るので、その原因の99.9999999999%と言っても過言ではないε-δ論法について書きたいと思います。新入生の皆さんにはぜひε-δ論法の「気持ち」を理解していただいて、今後の大学生活の役に立てば幸いと考えています。お付き合いのほど、よろしくお願いします。
さて、本題は下の方に貼ってあるPDFに書きましたのでそれを見てください。このPDFはTeXという文章作成ソフトを用いています。見てみればわかると思いますが、TeXは数式を綺麗に書くには最高すぎるので皆さんもぜひいじってみましょう!(硬い文章で書いてしまったのは許してください)
……しかし、さすがにこれだけでは味気なさすぎるので、ここでも「気持ち」について書きたいなと思います。
皆さんは高校では極限をどのように習ったでしょうか? おそらく「限りなく」や「無限」と言った言葉を用いて習ったかと思いますが、それは数学的には一体どのように記述されるのでしょうか? 高校までではそのようなことは深く考えず「正しい直感」を元に極限を考えていたわけですが、これでは直感ではわかりそうにないような事実や定理を示すのには無力です。なぜなら定義が曖昧で、それゆえに証明の道具というものがないからです。
そこで昔の人は考えに考えてε-δ論法に到達しました。これは「限りなく」や「無限」といったものを我々がよく知っている有限の世界の言葉のみで記述することに成功していて、このような定式化を経て我々は証明するための手段を得たわけです。習いたては「なんでこんな当たり前のことをめんどくさく考えなきゃいけないのか……」と思うかもしれませんが、当たり前を正当化するのは思ったよりも難しいことで、ここではその直感はε-δ論法を以って正当化されるのです。言ってしまえば、そういう手段が与えられてるだけマシってことですね。中々理解まで苦労するかもしれませんが、論理の要点はPDFにまとめたのでぜひご覧ください。
他の記事に比べて圧倒的に寂しいものになってしまいましたが、ここで終わりにしたいと思います。読んでくださりありがとうございました。明日はtsukatomoさんとdermasさんです。