2019 年度 traP Advent Calendar 54 日目の記事です。
こんにちは!19のカシワデです。ブログに何か書くのは『曲が...曲ができていくぞ!!』ぶりですね。まだ読んでいない人は是非読んでみてください!
(注意:この記事はWindowsのみ対応の記事です。Mac使いの人はすみません...)
目標
生音系編のページで紹介した音源、プラグインだけで作ったデモソングはこちらです!
こんな曲が作れるような環境を作ります。
とても長い前置き
世の中には大別して『お金のかかる趣味』と『お金のあまりかからない趣味』の2つがあります。DTM(Desktop Music(和製英語):PC上で音楽を作ること)は間違いなく『お金のかかる趣味』です。もう、あり得ないくらいお金がかかります。
例えばあなたが『曲がつくりたーい、DTMしてみたーい』と思ったとしましょう。まずPC上で音楽を作るためにエディタ(DAW)が必要になります。十分な操作性と拡張性を兼ね備えたDAWはどうしても有料になりがちで、これを買うだけで1万~5万円は消えてしまいます。
実はDAWだけでは音楽を作ることができません、音源(PC上で音を鳴らすことのできる楽器)も必要です。
が、幸いなことに昨今のDAWには音源が付属していて(付属音源と呼びます)DAWを買えばすぐに音楽づくりを始めることができます。
DAWを買ったあなたは試しにDAWの付属音源で『ギター』を選んで演奏させてみるでしょう。
そうするとあなたは気付いてしまうのです...
「あれ、これ本当にギター?音しょぼくない?」
そう!付属音源は!往々にして音がそんなにリアルじゃないのである!!!!!!!!!!!!
もちろん探せば付属音源でもリアルな音はありますし、実戦で使える音もあります。しかし私たちが普段聞く音とは似ても似つかないものの方が多いんですね。
「困った。どうすれば聞き覚えのある音になるんだろうか...技術が足りないのかな...?」
困ったあなたはGoogle先生に聞きます。そうして調べていくうちにある"存在"に気付きます
そう、有料音源 の存在です!
試しに各有料音源のページのデモソングを聞いてみてください
ギター音源だったら
とか有名ですかね。音はどうでしょうか?『あー良いギターだなー』って思える音でしょう?
お値段はセール価格でも3万5千円は超えてきます。高いですね。石油王じゃないとポンっと買えない値段です。
実はDAWと音源だけでは曲を作るのには不十分です。まるでホールで演奏しているような音にしたりラジオっぽい音にしたり音を整理したり...そういうことをできるようにするのが『エフェクトプラグイン(以下プラグインと略記)』というもので、これも曲作りには必須の道具です。プラグインも音源と同じくDAWに付属しているものがあります。付属プラグインも音源とはちょっと違い、まぁまぁ使えるものが多いですが、特徴的な音を出すプラグイン、音の良いプラグイン、時短プラグインなどはそれなりのお金を出さないと厳しいです。
こうして音源、プラグインを買ってしまい、凄まじい額を投資することになり、沼にはまり、人生を狂わせ、まっとうな人生を歩めなくなってしまうのです。怖いですね、DTM。
さて本題
せっかくDTMに興味を持ってくれたのにいきなり初心者をこんな沼にはまらせるのは流石に忍びない。もちろんDTM中~上級者だってできるならお金は使いたくない。
そこで、今日明日で『生音系編』『電子音系編』に分けて無料で使える音源、プラグイン、ソフトを紹介していこうと思います(パチパチパチ)
無料の定義
しっかり定義しましょう。本記事で紹介する無料DAW、音源、プラグインは
恒常的に無料で入手でき、KONTAKTフルバージョンが必要でないもの
です。DTM界隈では期間限定無料配布としてハイクォリティな音源やプラグインを無料配布するということが定期的に行われます。本記事ではそのような音源やプラグインは紹介しませんがTwitterなどで情報をチェックしておくとよいと思います!
無料のDAW
素晴らしい時代です。今なら操作性と拡張性を十分に備えたDAWを無料で手に入れることができます!
Cakewalk by BandLab
↑わかりにくいけどリンク張ってます。現状最強の無料DAWです。実はこのDAW、昔は無料ではなく『SONAR』という名前でそれなりのお値段で販売されてた有名ソフトだったんですね。詳しい説明は他のサイトに譲りますが、SONARを開発していたCakewalkの親会社が経営上でごちゃごちゃになり、Cakewalk社を切り捨てて危うくSONARがこの世から消えそうなところをBandLab社がCakewalk社を拾い、せっかくだから無料で配布しよう!となったのがCakewalk by BandLabというDAWの始まりです。
流石、もともと有料でかなり人気のあったDAWなだけあり、機能や拡張性は他の有料DAWに劣らないものとなっています。
欠点として、前述の経緯があるため、このDAWがいつまで無料配布およびサポートが継続されるかが不透明なところが上げられます。
今回は時間の都合上筆者が使い慣れているCubaseを使って曲を作りましたが機能的にはCakewalk by BandLabも同等なので安心してください。
他の無料DAWは
- Studio one Prime
Cakewalk by BandLabが出てくるまで無料で最強のDAWだった。音源やプラグインを拡張できないのが最大の欠点 - Zenbeats
日本のRoland社が最近出したDAW。無料ですが課金制らしい。詳しくは知らないです...
などがあります
無料の音源
生音系を中心に使える無料音源を紹介していこうと思います。
☆がついてるものが今回の曲で用いたものです
と、その前に生音系無料音源を使う or 探すにあたって知っておくべきことがあります。
普通音源は音源別にVST(.dllや.vst3)で配布されることが多いのですが生音系についてはサウンドフォント(.sfzや.sf2)で配布されることが多いです。そのため生音系の無料音源を探したいときは『〇〇(楽器名)␣音源␣無料』で探すより『〇〇(楽器名)␣サウンドフォント』とか『〇〇(楽器名)␣sfz』として検索した方が良いものが見つかると思います(当社調べ)。どのようにサウンドフォントを音源として読み込むか下の折り畳みを参考にしてください
Sforzand(サウンドフォントプレイヤー/サンプラー)に.sfzを読み込む方法
- Sforzandをダウンロードしますこのページの下の方の『sforzando for Windows』をクリック
- 使いたいサウンドフォントの.sfz .sf2のようなファイルをダウンロードします
- わかりやすいところにサウンドフォントを入れるフォルダを作り、その中にダウンロードしたサウンドフォントデータを展開します
- 展開したフォルダ内から拡張子が『.sfz』であるものをsforzandにドラッグ&ドロップします
- 完成!
総合音源その他
- Native Instruments Komplete Start
- 音源の大御所『Native Instruments』が出してる無料総合音源。音源だけでなくエフェクトプラグインも入ってる(ギターアンプのGuiter Rigについては後述)。とりあえず入れておこう
- Spitfire LABS
- オーケストラ・シネマティック音源を数多く手掛ける巨人Spitfireが出すいろんな音の詰め合わせ。ものすごく音が良く、またかなり個性的な音も入っているためいじっているだけでインスピレーションも湧く...かもしれない素晴らしい音源。こちらもとりあえず入れておこう。
ギター/ベース
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Unreal Instruments Standard Guitar☆
- 無料だとはとても思えないクォリティの音源。これさえあれば有料音源とかいらないんじゃないか?とも思わせる秀逸な音源。様々な奏法を用意してあり、キースイッチで奏法をコントロールすることができる。説明書も非常に詳しく書かれており、それをもとにより生っぽいギター演奏を追求するのも楽しい。
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Unreal Instruments Standard Bass V2☆
- 上のエレキギターと同じ製作者が作ったハイクォリティの音源。こちらも同様に多くの奏法を収録してありキースイッチで切り替えることができる。これら以外にもハイクォリティの音源がたくさん作られているのでありがたく使わせてもらおう!
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- 無料のアコースティックギターの王。指弾きもピック弾きもできる。もちろん音もいいしすごく使える。有料版の機能制限無料版なので運指に制限があり柔軟に演奏はできないですがフリーの中では最も音が良く使いやすい。
ピアノ/ストリングス
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- リンク先に飛べば3つピアノ音源があることがわかると思う。どれもハイクォリティなので全部ありがたくいただいておこう。曲調によって使い分けるといいかもしれない。
- これは筆者の環境だけのバグなのかも知れないが、Salamander Grand PianoのCC64を用いたSustainのコントロールができなかった。
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- 無料の弦楽器のアンサンブルもなかなかいいのが見つからなかった。でもこの音源はそこそこ使える。レガート、ピチカート、スタッカートの双方を収録しているのがうれしい。スタッカートの音は使い勝手よさそうだった。刻ませても良いと思う。
ドラム
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- 無料で使うことのできるドラム音源で現状最強の音源。それもそのはず、有料のドラム音源と同じ機能、同じキット(1つ)を収録している。少々UIがとっつきにくい見た目をしているが、キットの初期設定が優秀なのでそれをそのまま読み込めば素晴らしいロックで力強い音で鳴らしてくれる。ただハイハットやクラッシュシンバルなどの金物系の音量がデフォルトでは少々小さいように感じるので、『Mixer』画面から少し音量を上げるといいだろう。
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- STEVEN SLATE DRUMS 5(SSD5)が出るまでは無料で最強の音源の名をほしいままにしていた。もちろん今でも前線で使うことができるほどに音がパワフルでガッツがあり強い。SSD5とは音の方向性が微妙に違うため差別化も容易。SSD5とMT PowerDrumKit2をレイヤーするのも良さ。起動時に寄付をお願いする画面が出るが右下の『skip』を押すと音が出るようになる。応援する気持ちも込めて是非寄付しよう。
シンセサイザー
- ToneZ☆
- お手軽シンセ。筆者はシンセのことが何もわからないのでプリセットを選んだ鳴らす、という使い方しかできていない...電子音系の記事は明日の記事で詳しく書かれるのでそちらを参考にしてください!
無料のプラグイン
無料のプラグインも結構いいものがあります。ただ最近のDAWは、プラグインに関してかなり充実しているのでわざわざ無料のプラグインを探してダウンロードするくらいなら付属のプラグインを使った方が楽なような気がします。
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- アカウントを作るとおまけとしてもらえるプラグインバンドル。おまけとは言えども流石にPlugin Alliance。しっかり使えるプラグイン達です。特にbx_subfilterは低音補強のプラグインの中では有料含めて一番好きです。
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Native Instruments Guiter Rig Player☆
- 『付属プラグインでも結構いける』みたいなことを言ってたけどすまん。ギターアンプだけは厳しい場合がある。ほかの無料のものを探そう。でも無料で良いギターアンプはほとんど存在しないといってもいいと思う。結局気に入るやつがなかった。Guiter Rig Playerは無料のギターアンプの中では定番の奴。音は...そんなに良くはないなぁ...使えなくはないんだけど。前述のPlugin Alliance Freeのなかに入ってるbx_rockrack V3 Playerも音はいいんだけどプリセットしか選べないので自由度が皆無だし次に紹介するAmpliTube Custom Shopは音はいいんだけど種類が少ないし課金制で...ほかにもいろいろあるけどどれも一長一短でむずかしい。Cakewalk by BandLabに付属してるTH3 Cakewalk Editionはかなり強いのでは?と思ってます(まだじっくり触れてない...)
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- 音は良い。逆に良すぎてミックスが大変な印象(単に筆者のミックスの技術が雑魚いだけ...)。ただ最初から入ってるアンプの数が少ないような気がするなー(筆者が使いこなせてないだけなのでは?)。はまれば強い。これで課金するよりはAmpliTubeの製品版を買った方がお得だと思う
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- 最強。まごうことなき最強。さすがSoftube。色付けも汚くなく、激しく歪ませても拒絶感の生まれない上品な歪みかたをする。有料プラグインにも十分張れる。さすがにこのまま有料で売るのには機能が少ないように感じるけどちょっと機能を足せば十分販売することができる素晴らしいクォリティだと思う。ありがたくもらっておこう。
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- 最近勢いが凄まじいプラグイン界の雄iZotopeが提供する最強ステレオイメージャー。さしてWidthを上げると気持ちよくなる。ステレオ感を上げると音が良くなったように聞こえがちなのでやりすぎには注意してください。リンク先にはほかにも大変優秀な無料プラグインがあります(Visual Mixerはちょっと違うような...)。ぜひもらって使いこなしてみましょう。画像はV1のものです。V2が最新版です。
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- ぐって挿してDepthを下げて『気持ちぃ!』ってなって終わり。普段は何となく、このプラグインを使うと『逃げ』なような気がして使ってないです。筆者が普段作ってるオーケストラ系の曲には合わないってのもありますが
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- フリーのアナライザーだとSPANが有名だけど個人的にはこっちの方が見やすくて好きです。LR表示、MS表示が見やすいのも良さ。
終わり!
終わりです!無料音源、プラグインは探すといっぱい出てきます。玉石混合ではありますがぜひ自分のお気に入りの無料音源やプラグインを探してみてください!!
明日は@liquid1224さんによる「無料でDTM環境構築 電子音系編」です!お楽しみに!