自己紹介
こんにちは。18のWhiteFoxです。アドベントカレンダー1日目です。2類に所属しています。
「え?traPといえばパソコンに強い5類じゃないの?」と思っている人もいるかもしれませんが、2類でもちゃんとtraP部員になれます。(ただ、独学が出来ないと厳しいですが...)
ゲーム制作と古典
さて、僕は技術についてはあまり詳しくないので、ひとつゲームのシナリオのことについて話そうと思います。
ゲームのシナリオを作るとき、皆さんは何を参考にしていますか?シナリオに関する本を参考にするのもいいですが、僕は、古典を参考にしたほうがいいと思います。
「は?古典?」「理系の大学なんだから古典なんて必要ねーよ。」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、古典には、シナリオの基礎がたくさん詰まっています。
今回は、「古事記」の一場面を例にとって、古典がどのようにゲームのシナリオに生かされるのかを個人的に考察してみようと思います。
なお、僕は文系でも古文の専門家でもないので、以下に書かれた要約は、あくまでも参考文献を個人的にまとめたものになります。詳しく知りたい方は、正式な資料やサイトを利用することを勧めます。
例:古事記上巻(別天神五柱~伊邪那岐神と伊邪那美神より)のあらすじ
天地が分かれてから間もないころ、天上界の高天の原で、天上界の最高神、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、天上界の創造神、高御産巣日神(たかみむすひのかみ)、地上界の創造神、神産巣日神(かみむすひのかみ)の3体の神が誕生しました。その後国の原型ができたころに、宇摩志阿斯詞備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)、天之常立神(あめのとこたちのかみ)の2体の神が誕生します。この5つの神は別天神(ことあまつかみ)と呼ばれ、特別な神です。
その後、12体の神が現れるのですが、そのなかに、伊邪那岐神(いざなきのかみ)、伊邪那美神(いざなみのかみ)がいます。
2体の神は天上の神々から国土を整備するよう命じられ、天の沼矛(あめのぬぼこ)を用いて地上の海をかきまわし、オノゴロ島という島を作ります。
二人はオノゴロ島に広い寝殿を建て、結婚をし、国の島々にあたる神を産みます。その後も自然界をつかさどる神を次々と産みますが、火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)を産んだ時に伊邪那美神は病気になり、亡くなってしまいます。怒った伊邪那岐神は火之迦具土神を殺してしまいます。
その後、伊邪那岐神は、伊邪那美神に会いに黄泉の国に行きます。
伊邪那岐神は国に戻るように言いますが、伊邪那美神は「黄泉の国の神と相談するので、その間、私の姿を決して見てはいけませんよ。」と言います。それでも伊邪那美神を待ち切れない伊邪那岐神は、伊邪那美神の様子を見てしまいます。すると、そこに見たものは、無数の蛆がたかり、八匹の魔物がたかる伊邪那美神の姿でした。
驚いた伊邪那岐神は、黄泉の国から逃げ出そうとしますが、恥をさらしたと知った伊邪那美神と、黄泉の国の魔物が追いかけてきます。それでも伊邪那岐神は黄泉の国と国の境界までたどり着き、黄泉の国の入り口を巨大な岩石でふさぎます。
その岩石と間にはさみ、伊邪那美神は、「あなたがこんな仕打ちをするなら、あなたの国の人々を1日1000人殺してやる。」と言い、それに対して伊邪那岐神は、「それならば、わたしはこの国に1日1500の産屋を作ってあげよう。」と言います。
その後、伊邪那岐神が黄泉の国の穢れを清めているときに、天照大御神(あまてらすおおみかみ)、月読命(つくよみのみこと)、建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)が生まれ、伊邪那岐神は大いに喜びます。
考察
さて、この話がどのようにゲームのシナリオに関わっているのかを考えてみました。
・この「古事記」をはじめとする神話系統の話では、必ず初めに「世界自体を作り出す神」が登場します。この「古事記」では、5体の別天神や、のちに生まれた国土の島々にあたる神々がそれにあたります。「ファイナルファンタジー」など、世界観が壮大な作品などではこの要素がよく使われています。
・後半の、伊邪那美神に待つように言われた伊邪那岐神が見てしまう場面について、何か見覚えのある人もいるのではないでしょうか?この展開、実は「鶴の恩返し」と同じシナリオ展開になっているのです。「見るなと言われたものを見てしまう」展開は、古典には広く使われており、シナリオの展開として参考にすることができます。
まとめ
今回、ブログが初投稿ということもあり、とても拙く短い文章になってしまいましたが、ゲームのシナリオを作る上で古典も役に立つということが伝わってくれれば幸いです。
東工大では、リベラルアーツの風潮から、図書館に古典が沢山おいてあります。一度手にとって読んでみるのもいいですね。
参考文献
・「古事記」 倉野憲司校注 岩波文庫 1963年
・「ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 古事記」 角川書店編 2002年
明日はstomoの記事です。お楽しみに!