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2017年12月7日 | ブログ記事

world.execute(me);

こんにちは。この記事はtraP Advent Calendar 2017 12月6日の記事です。担当のAchatです。

はじめに

とりあえずこちらのコードをご覧ください。

GodDrinksJava.javapackage goddrinksjava;
/**
 * The program GodDrinksJava implements an application that
 * creates an empty simulated world with no meaning and purpose.
 *
 * @author momocashew
 */

 public class GodDrinksJava{
    public static void main(String args[]){
        Thing me = new Loveable("Me", 0, true, -1, false);
        Thing you = new Loveable("You", 0, false, -1, false);
        World world = new World(5);
        world.addThing(me);
        world.addThing(you);
        world.startSimulation();
        
        /* 省略 */
        
        if(me.getNumStimulationsAvailable() >= you.getNumStimulationsNeeded()){
            you.setSatisfaction(me.toSatisfaction());
        }
        if(you.getFeelingIndex("happy") != -1){
            me.requestExecution(world);
        }
        world.lockThing(me);
        world.lockThing(you);
        
        /* 省略 */
        
    }
}

これは何か

とりあえずコードを見てもらいましたが、何をやっているかわからないと思います。大丈夫です。

私にも分からん。

というのもこのコード、実は歌詞なんです。世界基準の音楽制作集団Mili(ミリ―)による2ndアルバム"Miracle Milk"に収録された"world.execute(me);"の歌詞の一部で、イントロと1番のサビに当たります。

歌詞の超要約

"私"は"あなた"と二人だけの世界で"あなた"に尽くし続けるが、"あなた"は世界を去ってしまい、"私"は暴走して最終的には自分を"execute"する。

解釈

この楽曲について自分なりに考えたことを書いていきます。

execution とは

"execution"はコンピュータ関連の文脈では「実行」と訳されます(例: foo.exe実行ファイル)。一方で死刑囚に対する「執行」、すなわち「処刑」も意味します。この曲には公式日本語訳があるのでどちらの意味で使われているかは分かります(ただしダブルミーニングであることも否定はできない)。

"私" はだれか

If I can erase all the pointless FRAGMENTS ...

If I'm the only god, then you're the proof of my EXISTENCE
Challenging your god, you have made some ILLEGAL ARGUMENTS

などから"私"はプログラムではないかと解釈できます。同時に"あなた"はプログラマであり、"私"の制作者でもあると解釈できます。つまり、"あなた"は自分に尽くすプログラムを作ろうとしていたのだろうか。

"私"の献身

1番では数学的な事象を挙げて身を捧げる例えとしている(点の集合にとっての次元とはどのぐらいの重要性なのだろうか)。一方2番では"an eggplant"、"a tomato"、"a tabby cat"とナマモノにとって代わります。これはより人間に対する奉仕を意識していると考えられ、"I"が"SIMULATION"のなかで学習しているということなのだろうか。

"あなた"はなぜ去ったのか

結局"あなた"が去ってしまった一番の原因は"私"が"the pointless FRAGMENTS"を消去できなかったからだろうか。プログラムのバグを除去できなかったため開発をやめて未完成の"私"をそのまま放ったのだろうか。

コードと歌詞

前半ではme.requestExecution(world)による"execution"ですが、暴走時はworld.runExecution()による直接的な"execution"になっています。自らが"execute"する意思の表れだと考えられます。また、前半で"be trapped"と歌う箇所はworld.lockThing(me)となっていますが、"私"一人になったのちの"be trapped"はme.escape(world)となっています。これは"escape"しようとしたができなかったということだろうか。

他楽曲との関連

Miliの楽曲は一部世界観を共有していると思われる楽曲群があります。"Utopiosphere"、"Witch's Invitation"、"Ga1ahad and Scientific Witchery"、"Sl0t"は"魔女"関連の楽曲(魔女シリーズ)とされ、時系列などが考察されていました。ところが2017年3月31日に公開された"Rubber Human"が魔女シリーズと"world.execute(me);"の双方に関連がある可能性があり、同時に"world.execute(me);"は魔女シリーズに登場するキャラクター視点の楽曲である可能性も出てきました。また"Rubber Human"も収録されている、2017年5月24日にリリースされたミニアルバム"Hue"には"world.search(you);"という、これまたソースコードが歌詞カードに載っている楽曲もあります。ちなみに、どちらのコードにも"Ga1ahad and Scientific Witchery"の歌詞にある"617"という数が現れています。また、プログラムとプログラマという解釈に立った場合、"RTRT"は作られたモノに対して作った者が固執する(もしくは共依存する)という内容になっています。

おわりに

Miliの楽曲はそれぞれで聞くだけでも名曲ばかりですが、さらにそれらをつなぐストーリーを考察するのも大きな楽しみ方だと思います。だから皆さんもCDを買って、曲を聴いて、一緒に妄想を膨らませましょう!

明日はsigma, yuuの二人の記事です。

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