この記事は アドベントカレンダー2025 13日目の記事です
はじめに
こんにちは、hijoushikiです。今年の夏に部内で1-Monthonというイベントが開催され、私のチームは映像を制作して最優秀賞を獲得しました。

私は主にイントロとCメロ以降の映像を担当しました。3DCGはBlenderを、編集は古き良きAviUtlを使いました。そこで今回は備忘録も兼ねて、私が動画編集をするにあたって使用した小技をいくつか紹介していこうと思います。
Live2Dもどき
髪を風で揺らしたり歌詞に合わせて口を動かしたりなど、Live2Dで行うようなことを動画編集のみで実現しました。
髪揺れ
風揺れTを使用しました。
まず、絵師に頼んでキャラクターのイラストを髪のパーツごとに分けて出力してもらいます。AviUtlの場合、風揺れスクリプトが画像ファイルの上端を揺れの支点にする都合上、画像ファイルの不要な領域をカットして髪が上から下に伸びるように回転させてください。

次に、分割したパーツを元のイラスト通りに配置します。各パーツは不要な領域がカットされているので単に画像を重ね合わせるだけでは正しい位置に配置されません。手作業で配置し直します。(AfterEffectsならもっと簡単にできると思いますがAviUtlなので我慢してください)

最後に髪のパーツに風揺れスクリプトを適用します。周期は振り子の周期の公式
を意識して長い髪ほど周期を大きくとると自然な揺れになります。また、各髪の時間ずれの値を少しずらすのも有効です。

リップシンク
絵師に頼んで「あ~お」の母音と「ん」の口をそれぞれ出力してもらいます。

次に歌詞の発音に合わせて対応する口を配置します。ただし、「『バ行』『パ行』『マ行』は一度口を閉じないと発音することができず、『ワ行』は口を『ウ』の形にしないとはっきりとした発音にならない」ため、単に歌詞の母音をそのまま当てはめるだけではいけません。確実なのは自分で実際に口を動かしてみることです。

最後に口の切り替わり部分の処理をします。各口の最初と最後それぞれ3~4フレームを切り替わりのための時間とし、最初は拡大率50→100、最後は100→50で移動させます。イージングはお好みで。

単に口の大きさを変えているだけですが、短い時間なのでこれでちゃんと口が動いているように見えます。
スクリーン合成
画面全体に上から画像素材や動画素材を合成することでいい感じになります。合成モードはケースバイケースなのでその場に合ったものを探してください。基本的にスクリーンかオーバーレイを使用することが多いです。

使用する素材は自作してもいいですが、ネットで検索したら無料で使える素材が沢山出てくるのでその中から好きなものを選んで使うのが楽です。
ライトリーク
いわゆる「光がブワーwwってやつ」です。お洒落系動画でよく使われている印象です。手軽に雰囲気を良くできるのでオススメです。



スモーク
煙です。動画編集者はみんな困ったときにはとりあえず煙を炊くものです。使っておけばなんかいい感じになるシーンは多いですが、強者感を演出したり神妙な雰囲気を醸し出したりするシーンに合わせられたらよさそう。



また、合成方法を変えて煙の部分に映像を投影すると面白いことができます。この技は眩耀夜行のMVで見つけました。
パーティクル
宙を舞う粒子。これも動画編集者がとりあえずでかけがちなものです。より幻想的な雰囲気になります。



ハーフトーン
ハーフトーンTを使用しました。
ハーフトーンとは色や陰影を小さなドットで表現する技法です。漫画でよく使われているやつです。

ハーフトーンをフレームバッファにかけてオーバーレイで合成することでいい感じになります。漫画風の編集や電光掲示板風の編集をするときに使えますし、単に情報量を増やしたり水玉模様を作るのにも使えます。
ハーフトーンのスクリプトは色々出てるので好きなのを使ってください。



テクスチャ
テクスチャやグランジ素材などをオーバーレイで合成するとその質感が出せていい感じになります。紙やコンクリートのテクスチャは使いやすいです。



ぼかし
画面全体をあえて少しぼかすことで、ふわふわした幻想的な雰囲気を出すことができます。かけすぎると単にぼやけているだけになるので要注意。


曲面変形
OpticsCompensation_sを使用しました。
魚眼レンズの要領で画面全体を少し歪ませることで画面にいい感じに動きをつけることができます。特に今回は屋上のラインが真っ直ぐに引かれていてぎこちなかったところを、曲面変形によって曲げることで改善しています。


今回は魚眼とは反対の凹方向に変形しましたが、もちろんこんな風に凸方向に曲げることもできるので、VHS風スクリプトと合わせればレトロなテレビや監視カメラ風の画も作れます。

減色
簡易減色を使用しました。
減色で意図的に色を潰すといい感じになる場合があります。特に、ハーフトーンと合わせると漫画風の映像を作ることができます。


リリックモーション
全自動リリックモーションを使用しました。
歌詞のテキストが様々な方向から出現するのは全自動リリックモーションで実現しています。パーツ分解と合わせることで文字がパーツに分解されてそれぞれ別方向から出現させることができます。凝ったテキストアニメーションが必要ない場合はこの組み合わせを使えば簡単にリリックモーションが作れて便利です。
カメラワーク
カメラはちょっと傾けると面白くなります。


キャラを映すときはやや下から見上げるように撮るとスタイル良く映ります。インスタ女子がよくやってる方法。


おわりに
今回作った映像はかなり3DCGに偏っているため、AviUtlサイドの知見は案外出てこなかったなとこれを書いていて思いました。しかし書いてない知見はまだまだ持っているのでまたいつか記事にできればいいですね。
明日の担当はharuka1012さん、ikura-hamuさんです。
