初めに
唐突ですが問題です。次の画像はどこで撮られたものでしょう?

これはある昼に @METCH722 から出題された問題です。僕の所属班はCTFではなく、OSINTもよく遊ぶわけではないですが、どうしてか特定できてしまったので記事にします。
解いていく
ということで僕がどう特定していったかを書いていきます。ちなみに、EXIF情報はありませんでした。
写真から得られる情報
まず写真そのものから色々な情報がわかります。
- コンクリートのような壁と比較的小さい窓
- 向かって手前から伸びている影
- 向かって左側の青い看板
- 壁に映る線状の影
- 舗装された道路
まず一つ目の特徴は主に中東地域などの乾燥して気温の高い地域にみられます。これで大まかな地球上の位置の見当がつきます。加えて、旅行中の一枚ということも考慮すると、この写真は北半球のどこかで撮影されたものでしょう。この情報を持って二つ目の特徴と、この時間帯を考えます。すると、この写真が取られた部屋は東西方向に延びる道路に面し、特に窓は北向きであることが推察できます。
三つ目の特徴はかなり重要でしょう。日本で言えばこれは電柱に書かれているざっくりした住所のようなものだと思われます。ということでこれに書かれている文字を何とか読んでみます
- 上側: SAMA??AND→おそらく「SAMARKAND」(サマルカンド)
- 下側: 176
つまり、写真に写っている向かいの建物の住所がサマルカンド通りの176番地であることがわかります。
これらを踏まえて、最後二つの情報は補助的に使うことができます。最後に特定するときに「近くに放射状に電線が伸びている場所があって」「路面が舗装されている」場所であれば確実です。
GoogleMap をうろつく その1
サマルカンドという都市がウズベキスタンにあります。ということでサマルカンド市でサマルカンド通りを探してみます...が、見つかりません。
道路が東西に延びているところの南側に位置するホテルをしらみつぶしに見ても、近くに「サマルカンド通り」などありません。困った。
Google レンズ
色々わからなくなってきました。そこで、かなりの情報量を持つであろう青い看板だけをトリミングした画像をGoogleレンズに投げてみます。もしどこかの観光客が同じ看板が写った画像を映していると嬉しい。
画像を投げてみると色出てきますが、それらしいものはなし。そこで、ここまででわかっている情報である「samarkand」という単語を入れて検索を掛けます。

出てきました。どうやら「サマルカンド門」という門があり、サマルカンド通りはその門を起点とした道路の名前のようです。場所は...なんと「プラハ」でした。サマルカンドは地名としてではなく、単なる道路の名前であって、それ以上でも以下でもなかったようです。とはいえ、今まで画像から得ていた情報と矛盾点はありません。これで通りの特定ができました。あとはGoogleストリートビューで今見つけたサマルカンド通りを通っていけば場所がわかります。
GoogleMap をうろつく その2
とりあえずサマルカンド門からサマルカンド通りを南下していきます。
番号は大体連番であることが予想されるので、これで大体の位置がわかりますね。通っていくと、(1)番号は南から順についていることと、(2)番号は最大でも200くらいであることがわかります。また道路がしっかり舗装されているのは通りでもかなり北の方の一部でした。これらの観察から写真が取られた建物はサマルカンド門に近いところにあることがわかります。
あとは、サマルカンド門の少し南で、最初に見つけている残った情報である、方角と電線の情報を元に詳細な場所を特定します。これは航空写真が一番良いでしょう。というわけで

ありました。サマルカンド通りから南に60mほど進んだ地点です。東西方向に延びる路地に、放射状に延びる電線のようなものが見られます。
この地点をMETCHに報告すると、無事正解であることが確認できました。
感想
このOSINTで僕が行ったことはGoogleマップとGoogle検索を使い倒すことくらいでしたが、かなり詳細な場所を特定することができてしまいました。何気ない写真でも案外かなり重要な情報が写りこんでいるのかもしれません。OSINTのプロだったらどのくらいの時間で特定してしまうのでしょう。気になります。僕はおよそ1時間半かかりました。
明日は @ramdos さんによる記事です。お楽しみに!