はじめに
こんにちは。23Bの冒涜(@botoku_izm)です。今回、アドベントカレンダー2023年の記事として4日目の開催をさせていただきます。
突然ですがみなさん、映画はお好きでしょうか?
近年は動画サイト、特にショート動画や切り抜きの台頭などにより、二言目にはタイパだタイパだと嘯かれ、長尺のものは忌避される傾向が強まっています。
しかし!
映画というのは、存外 「時間対効率」の点では有利なコンテンツなのです。
映画というのは、基本的に1時間~2時間の間に収まるよう作られています。
すごくないですか?「1~2時間でしっかり完結する、しかも名作として評価がある程度固まった作品がゴロゴロある」 んですよ!!
さらに言えば、SNS、特にTiktokやTwitterを見ていたら、いつの間にか休日が終わっていた……なんてことが、まあこのブログを見ている層ならば必ずあると思います。
一方、その時間を映画に費やせば、
- 天才クリエイターが全力で作ったエンタメを楽しめる
- 名作を知っておけるため、教養にもなる(かも)
- 映画のパロディがちょっと分かるようになる(かも)
- 触れているコンテンツが増え、仲間ができる(かも)
と、足し合わせれば一石二鳥くらいにはなるのです。もう見ない理由がありませんね!
そんな映画の沼にハマり、一週間に映画を平均5本見た結果おそらく電磁気学を落単した私、冒涜が2023年時点でのジャンル別映画番付を発表します!(めちゃくちゃ個人の主観です!!!解釈違いだったらごめんなさい!)
これから映画見てみようかな……という方の参考になれば幸いです。
目次
- はじめに
- コメディ部門
- アクション部門
- SF部門
- ホラー部門
- サスペンス・ミステリー部門
- アニメーション部門
- ミュージック部門
- この映画も凄い!
- 終わりに
1.コメディ部門
5位:帰ってきたヒトラー
ヒトラーが現代ドイツに復活しモノマネ芸人として民衆の心を鷲掴み…という、よく出版できたなレベルの原作小説を映画化。だがただの不謹慎コメディと侮るなかれ。さんざん笑っていた観客ごと自然に物語に巻き込み、独裁風刺まで持っていく構成力は見事です!主演俳優のオリヴァー・マスッチのヒトラーとしての振る舞いも完璧で、テレビ局での演説シーンではその熱演に思わず引き込まれそうになります。極右政党の台頭に揺れるヨーロッパへの危惧が存分に詰め込まれたラストシーンは、遠く離れた我々でさえ身につまされるのではないでしょうか。
https://www.youtube.com/watch?v=aNe7vqy7dng
4位:トゥルーマン・ショー
初っ端が政治皮肉みたいだったので不安に思う方もいるんじゃないですか?大丈夫です。純粋なコメディです!
「もし自分の生活が全て作り物だったら…」そんなことを考えたことはないでしょうか。
生まれた時からリアリティショーの主人公として、巨大なセットの街の中で生かされているトゥルーマン。彼は自分のいる世界について疑い始めます。当然、TV局側の俳優やスタッフは世界が作り物であることを知られてはいけないから必死でカバーするのですが、スタッフたちの上を下への大騒ぎに、手に汗を握るやら腹を抱えて笑うやら大忙しです。
しかし子供の頃の冒険家精神を思い出したトゥルーマンはそんなものでは止まりません。製作陣との戦いの果て、あまりにも彼らしいラストに、笑みが溢れると同時に胸が熱くなります。
「マスク」「イエスマン」と並んで、天才俳優ジムキャリーの名演が光る作品です。
「おはよう! …念のため『こんにちは』と『こんばんは』も」
https://www.youtube.com/watch?v=dlnmQbPGuls
3位:MONDAYS
タイムループは少年少女の特権じゃない!
疲れ切った単調な日々、まるで同じ一週間を何度も繰り返しているよう……いいや、本当に繰り返している!!脱出のためには原因になっている上司にこのことを教えないといけないが、信じられないほどに察しが悪く……。
「鳩トリガー」「段階的上司申告」など、社会人ならではのヘンテコなループからの脱出戦略が見ていて面白いです。上司になればなるほど聞く耳を持たないのですが、話のテンポがいい上、キャラクターが魅力的なのでストレスなしに笑える良作です。それでいながら意外なミスリードや伏線を張っており、また、親近感を覚える等身大の人間の苦悩が根本にあり、見終わった後は日本中の社会人を応援したくなります。こぢんまりとした、でも素晴らしく完成度の高い邦画コメディです。
https://www.youtube.com/watch?v=Xd0t_0W18js
2位:ラヂオの時間
「真田丸」「鎌倉殿の13人」で大ヒットを飛ばした、三谷幸喜監督・脚本のコメディです。
準備万端で臨んだかに見えたラジオ恋愛小説の生放送。だがスポンサーの都合、俳優のアドリブ、時間関係等々で物語はどんどん修正されていき……。
トンデモ展開をするドラマと役者の演技がいちいち面白く、また困惑するスタッフたちの変に着飾らない言い回しもかえって笑いを誘います。
ただ、そうやって要所要所でしっかり笑わせにきつつも、全く無駄なシーンはなく、ものづくりに携わる人々のプライドを描き出す監督の構成の妙には唸らされます。他の要素を極力入れずに会話劇だけで魅せる、まさしくコメディ!と胸を張って言える洗練された映画です。
英題が「Welcome Back Mr. McDonald」なところまで、見た人ならニヤけてしまうほど粋です。
「設定を、熱海からニューヨークにしましょう!」
https://www.youtube.com/watch?v=we7G2Uef-B0
三谷幸喜監督は他にも「ザ・マジックアワー」や「記憶にございません!」などの名作を輩出し続けるハズレなしの脚本家です。併せてご覧になってはいかがでしょう?
1位:バック・トゥ・ザ・フューチャー
コメディだけでなく、SFとしても、エンタメ映画としても並ぶもののない、まさに映画界の金字塔です。1部ずつでも単話完結で十分面白いのに、3部作が全て面白いという類を見ない脚本のクオリティには、見るたび感動します。怒涛の伏線回収、(良くも悪くも)超大団円で終わる安心感など、見る人を選ばない傑作のため、金曜ロードショーでも度々放送されていますね。車型タイムマシーン「デロリアン」など、魅力的なガジェットは今なお多くの人々を惹きつけ、インスピレーションの源になっています。
第1作では、自分たちの親が学生だった時代にタイムスリップ。母親が恋するはずだった父親のポジションに自分が入ってしまった結果、パラドックスが起き自分が消えてしまう危機に晒されます。主人公マーティはもちろん、過去と未来の父母、天才博士ドク、悪役のビフでさえ好感を持ってしまうような魅力的なキャラクター造形の完璧さに驚きます。
映画界の巨匠、スティーブン・スピルバーグとロバート・ゼメキス監督が携わった、何度見ても面白い不朽の名作です。
https://www.youtube.com/watch?v=qvsgGtivCgs
https://www.youtube.com/watch?v=MdENmefJRpw
https://www.youtube.com/watch?v=3C8c3EoEfw4
2.アクション部門
5位:タイラー・レイク
こちらはNetflixの作品で、麻薬王の息子を奪還する命を受けた傭兵が主人公です。独占配信故にアクセスが難しいとは思いますが、下の予告を見れば分かる通り映像が異次元です。カーチェイス、立体市街地戦、森の中から橋の上まであらゆる場所を舞台にド迫力の銃撃戦が繰り広げられ、撮影方法が全く理解できないカメラワーク、ドローンなどを使った超長回しワンカットなど、まさに新時代の映像がてんこ盛りです。
息子を失った傭兵と人質の少年という関係はオーソドックスではありますが、激しい戦いを通してお互いが変化していく様子が、煙と血の匂いが漂う戦場と対比されて美しく描かれています。
1,2ともにすごい出来です。3もお願いします……。
https://www.youtube.com/watch?v=-WUIa0eDyDw
https://www.youtube.com/watch?v=XyYLLSzw3YI
4位:エイリアン2
「2かよ!!!」と思う方が大半でしょう。でも一旦聞いてください!
このエイリアン2は、前作で大ヒットを飛ばした傑作「エイリアン」の続編なのですが、
「続編が初代を超えた映画」ランキングでは、必ずトップ5に入る超・傑作なのです!
初代はリドリー・スコット監督で、「圧倒的な生命力を持つ異星生物に襲われる閉空間パニック」でした。一方2では、ジェームズ・キャメロン監督がこの設定を十分に活かした上にオリジナルのエッセンスまで加え、「エイリアンの巣でドンパチする大戦争映画」にしてしまいました。もちろんただのホラーと戦争スペクタクルでは鑑賞層の広さの違いもあるでしょうが、大概が前作の焼き増しや劣化版になってしまう続編でこのような成績を叩き出したのは、ひとえにこの作品の出来の良さに他なりません。
キャラクターも、モンスターパニックものらしからぬ際立ち方で、生き残りの少女ニュート、不気味な人造人間ビショップ、兵隊のゴーマンやバクスエスといった脇役までしっかりドラマがあります。特に主人公リプリーは、バイタリティ溢れる迫真の戦闘シーンと、救出した子供への慈しみという二面性が丁寧に描かれています。
そしてエイリアンの造形。H.R.ギーガーが原案を務めた初代エイリアン「ゼノモーフ」のデザインを踏襲しつつ、要所要所でキャメロン監督がアレンジを主導して作られたと聞きます。個人的に、人間が作り出した架空の生物の中で一番美しいのは本作中に登場する「エイリアンクイーン」だと思っています。初めて見た時、その生々しく恐ろしい骨格と異様な神秘性に言葉を失いました。(当時のお小遣い2万円をクイーン・フィギュアに突っ込んだほどです)
やや残酷描写もある上に続編ですので見る人を選ぶでしょうが、映画史に残る名作であることは間違いありません!
今度は戦争だ!!
https://www.youtube.com/watch?v=L82SI6_NXzE
3位:イコライザー
昼は温厚なホームセンターのおじさん。しかし悪人が現れれば目つきは一変、改心の機会をフイにすればもう手遅れだ!
主人公ロバート・マッコールの「人を殺すところ以外は全て善人」という独特のキャラクターに、デンゼル・ワシントンが唯一無二の演技で命を吹き込んでいます。ストップウォッチで時間を計り、銃すら使わず最短経路で悪人を殺害していくスタイリッシュさに、観客が覚えるのはかっこよさや憧れをも通り越した恐怖!。イコライザーシリーズに共通して言えることですが、悪役の視点からすれば主人公が闇の中から襲ってくる様はほとんどモンスターホラーです。
まさに最強無敵の主人公。故にこの映画は、アクション以外にも彼の精神性に目が向きます。行動だけを見れば自己中心的なシリアルキラーですが、このジャンルらしからぬ繊細な心情描写と細やかな主人公の掘り下げ、綺麗なエンディングにどこかホッとします。
今年、最終章である「イコライザー THE FINAL」が公開されました。相手が悪人であれ、人を殺す業を一身に背負うマッコールさんに心の安寧はあるのか……。ぜひ、併せてご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=4GGjX9r4JUI
2位:ジョン・ウィックシリーズ
半グレが手を出したのは元最強の殺し屋だった!
言わずと知れたキアヌ・リーヴスの代表作です。
1作目で、先立った妻が唯一遺した犬を殺され、生き甲斐だった車まで盗まれた主人公ジョンは、怒りのままに戦いに乗りだします。
現役の殺し屋時代に培った、カンフーと銃を融合させた通称「ガン・フー」を巧みに使いこなし、無慈悲に悪人を叩きのめしていく様は恐ろしくもどこか爽快で、無双ものの王者として映画界に君臨しています。
2からはジョンが殺し屋連盟に復帰を持ちかけられ、必死に逃亡を企てるストーリーが展開されます。回を重ねるごとに世界各国を飛び回りながら戦いの規模を拡大させていき、追手をちぎっては投げちぎっては投げ、しぶとく生き残って連盟すら引っ掻き回します。
そしてつい先日、4部作目である「ジョン・ウィック コンセクエンス」が公開されました。
華麗な伏線回収、前作にも増して惜しげもなく披露される殺し屋の世界観、全編ラスボス戦と評されるほどの圧倒的アクション濃度、続編の製作が疑問視されるほどのストーリーの完成度の高さに、劇場で度肝を抜かれました。公開は既に終わっていますが、配信・レンタルはそう遠くないと思いますので、是非とも4部でジョンに訪れる「報い」がどのようなものであるか、その目でお確かめください!!!
注意:既に言ってますが犬が死にます!
https://www.youtube.com/watch?v=T_jx46y0DEk
1位:RRR
全部ある!!!!!!!!!!!!!!!!!!
イギリス統治下のインド。村から拐われた少女を奪還するためやってきた男ビームと、とある大義のためにイギリス政府の警察として奮闘するラーマ。二人はある事件をきっかけに固い友情を育むのだが、運命のすれ違いから二人は対立することになる。果たして彼らが取る選択とは……。
文句のつけようもない大大大大大傑作です!!
実に3時間の大長編ですが、ラーマとビームの人間性の掘り下げ、そして苦難を描いたのちに怒涛の無双展開をたっぷり披露する、時間に見合うだけの大盤振る舞いにお腹いっぱいになります!どうやって撮ったのかさっぱりわからないボリウッドのハイパーアクションと、尋常ではないマンパワーに後押しされつつも、カオスになりそうな所で手綱を締めてドラマと両立させている圧倒的監督の技量。才能ある人に大量の制作費渡したらどんなものができるのか?という映画界の永遠の夢、それに一番近づいたのがこの映画です!(出来が良すぎて作中でボコボコにされていたイギリス人からも絶賛されています。)
大いに有名になった超高速ダンス「ナートゥ」もこの映画のほんのひと要素にすぎません。是非ともラーマとビームの友情の行く末と、世界最高レベルの圧倒的な映像を見届けてください。
https://www.youtube.com/watch?v=3PuaC0H4Bbc
3.SF部門
5位:ターミネーター、ターミネーター2
メインテーマの認知度の割に、実際に鑑賞した人は意外と少ないのではないでしょうか。
人とロボットが戦争する未来からやってきた殺人機械「ターミネーター」と、主人公サラ・コナーの戦いを描いた作品です。未来と現在、人間とロボットという二つの対立項をこれでもかというほど使い倒し、完璧な伏線回収を披露する一作目、そしてその両者の調和の可能性を鮮やかなビジュアルで表現した二作目。全米興行収入ランキングのトップ10に3つも自分の監督作をねじ込むことになる天才監督、ジェームズキャメロンの手腕が炸裂したSFの金字塔です。アーノルド・シュワルツネッガー演じる感情のない破壊機械のインパクトは強烈で、髑髏のような骨格は今なお恐怖の象徴として映画史に鎮座しています。スピーディーな展開、手に汗握るスペクタクル・アクション、過不足ない構成、完璧な脚本。SFというジャンルに囚われなくとも是非見てほしいハリウッド映画の最高到達点の一つです。
4位:オデッセイ
「プロジェクト・ヘイル・メアリー」で数々の賞を獲ったSF界の巨星、アンディ・ウィアー氏の作品「火星の人」をリドリースコット監督が映像化しました。
基地からの撤退が遅れ火星に取り残されてしまった主人公。当然予備のロケットもなし、通信手段もなし、NASAは自分が死んだと思っているため救援の予定もありません。しかし主人公は絶望せず、残された物資でひたむきにサバイバルを始めます。
あの手この手でしぶとく生を繋ぐ主人公の、悲劇的ながらもどこかユーモラスな姿にいつの間にか前のめりで応援してしまうこと間違いなしです。話を彩るガジェットの科学考証もきっちりしており、理詰めで話を作りながらも破綻せず、なおかつ人を惹きつける世界観にワクワクが止まりません。
一歩間違えれば即死の赤い惑星で、危機一髪を乗り越え続けた先に待っていたものとは……原作を読んでいる人も読んでいない人も楽しめる門戸の広さと、まさしく「SF」チックな作り込みが光る作品です。
https://www.youtube.com/watch?v=3nb1nw8kCj4
3位:パシフィック・リム
画像を見て貰えば分かる通りの映画です。「ハリウッド資本でロボット映画作ったら面白いやろ!」⇨デルトロ監督「作ったぞ!!!!」みたいな感じの、オタク純度100パーセントの巨大ロボットVS怪獣映画です。
二人乗りのロボット「イェーガー」で海底から現れる怪獣を撃退していた主人公は、ある戦いでバディを失って以来パイロットを引退していました。しかし、怪獣の攻撃が日増しに過激になる中、新たなコンビを組んで戦場に復帰することを決意します。
この映画の最も素晴らしいところは、荒涼とした海に佇むイェーガーや、燐光を発する怪獣、そのビジュアルの一つ一つが本当に魅力的に作られているところです。人智を超えた巨大生物との殴り合いを最も際立たせるような撮り方、戦う場所のこだわりによって生み出される、その場にいるかのような臨場感に痺れます。怪獣オタクとしても名高いギレルモ・デル・トロ監督ですが、ロマンと撮影技術の高さの高度な融合が見られます。
一生に一度でもロボットにロマンを感じたことがある方は、満足すること間違いなしです。
2位:NOPE
「『巨大な何か』がいる、だが正体が分からない」……そんなゾワゾワ感を味わいたければ迷わずコレです!
馬の牧場を経営する生真面目な兄とお調子者の妹、そんな彼らの元に、何かが忍び寄る。それは怪死した父とも関わりがあるようで……?
詳しいことは例によって書けませんが、散りばめられた伏線が最後に綺麗に回収されていく王道の構成に、ジョーダン・ピール監督の作り出す独特の怪異と人種問題観が混じり合い、誰も見たことのない映画になっています。溜めて溜めて、最後に一気に全貌をあらわにする「それ」の正体に、劇場で圧倒されました。私は「怪異で釣ってミステリーで引き込み人情で落とす」映画が大好きなのですが、まさにこの映画がドンピシャでした!
全ての種明かしが終わった後の消化不良感も、ちょうどいい余韻に転じるので総じてプラスです。
https://www.youtube.com/watch?v=Yf8BhvUhAaI
1位:シン・ゴジラ
天才監督が一生に一度出せるかどうかのクオリティの作品が、国産最強フランチャイズと手を組み、さらに当時の社会情勢までもが味方をした、文字通りのバケモノ映画です。
「災害」に直面した民衆と政治家、それぞれを軸にゴジラの教習を描き、開幕したかと思えば息つく暇もなく30分がかっ飛んでいきます。モンスター相手に正攻法で挑む政府はやられ役と相場が決まっていますが、ここまで懸命に働く姿を見せられると応援せざるを得ません。
カメラワークやビジュアル、映像のテンポの秀逸さは近年の一般的な邦画とは比べものにならないほどのクオリティで、「大怪獣東京に現る」を、ここまでバリエーション豊かな視点・アイディア(しかもそれが全部キマってる)で描いた映画は他に無いと言っていいでしょう。POV(一人称視点)や非人間の物体から人間を覗き込むような視点など、使い所を間違えるとアクが強くなってしまうような手法を違和感なく盛り込んでいくのが本当にすごい。
謎解き、都市破壊スペクタクル、手に汗握る特殊作戦、内憂外患の政治劇、核への皮肉、そして庵野秀明総監督のゴジラ観など、あらゆる要素が存分に詰まった、永劫語り継がれるべき傑作です。
https://www.youtube.com/watch?v=ysRIwlEBjuw
4.ホラー部門
5位:エスター
英題「orphan」が示す通り、メインキャラクターである家族は、才能あふれる孤児の少女エスターを養子として引き取ります。しかし、徐々に暴力的な行為や卑猥な言動を発し始め、母親は不安に駆られます。しかしエスターは表面上いい子を装っているため、周囲には相手にされません。そこで精神科医を呼ぶ傍ら彼女の出自について調べてみるのですが……。
自分の利益のためなら他の何も鑑みず、しかも他人を利用してアリバイを作る狡猾なエスターの手口に恐怖を通り越して惚れ惚れします。邪悪な狡賢ささだけで言えば、ホラー映画の悪役の中でも一二を争うでしょう。(「悪の教典」のハスミンとかといい勝負しそう)
あまりにも鮮烈なビジュアルとともにエスターの真実が明かされた時、思わずゾクっとしました。絶対に事前に情報を何も入れない状態で見てください!!!!!
https://www.youtube.com/watch?v=wkN_DnqQiRc
4位:ジェーン・ドゥの解剖
怖さ/作中使用床面積(horror/m^2)みたいな値があったとすれば、それが最も高い映画は本作でしょう。ある事件現場の地下で見つかった、外部に全く損傷の見られない女性の死体。死因特定のため解剖を担当することになった親子だが、進めるほどに悍ましい真実が明らかになっていき……。
解剖!グロい!だけで終わらせないのがすごい映画。人体を切り開くという一見残酷な行為が、一種の儀式的な雰囲気を醸し出し、そこに接続される霊的体験の数々に背骨が凍り付きます。目を当てるのも恐ろしい死体の内側の謎に驚愕する前半と、一転して直接的な恐怖が波状にやってくる行き着く暇もない後半のメリハリが見事で、濃厚で不条理な内容ながらもスッキリと短く感じました。
閉空間シチュエーションホラーとしての見応えが高く、逃げ込んだ先の空間によって追い詰められ方や打開方法が逐一変わる細かい作りになっており、狭い空間を最大限に活用して恐怖を盛り立てています。過不足なく、きちんと怖くて面白い良作です。
https://www.youtube.com/watch?v=Hah9pRYCruk
3位:ノロイ
これマジじゃねえの?
モキュメンタリーという技法をご存知でしょうか。疑似ドキュメンタリーとでも言いましょうか、フィクションの内容を現実に起こったこととして作中で扱った作品のことです。この手法は冗長になりがちなリスクがありますが、臨場感が出るためホラーとの相性が非常に良く、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」「クローバーフィールド」「コンジアム」「女神の継承」等々、さまざまな作品が作られてきました。
そんな中、最恐との呼び声が高いのが、日本のホラーモキュメンタリー界の巨匠である白石晃士監督が制作した「ノロイ」です。
制作者が謎の失踪を遂げ、お蔵入りになっていたテープを通して真相を暴いていくという、初っ端から視聴をやめたくなる曰く付き映像を見ながら話は進んでいきます。初めはバラバラだった要素が徐々に繋がっていく気持ち悪さとともに、矢継ぎ早に現れる不気味な映像や写り込み。バタバタと怪死していく関係者たち。全てを語らないが故に強まっていくリアリティに、不安感を煽られること間違いなしです。
唯一の救いは、全身をアルミホイルで覆った霊能者堀さん。奇怪な言動と行動を繰り返す割には妙に頼りになるこの映画のマスコット的存在です。(要するにこのおっさんをマスコットにしないといけないレベルの救いのなさってことです。)おだやかじゃないな〜〜
https://www.youtube.com/watch?v=ecbGeu3eyOo
2位:マリグナント 狂暴な悪夢
こんなホラー、見たことがない!!
家を襲撃した何者かに夫を殺害され、妊娠中だった子も流れてしまい、絶望に沈む主人公マディソン。しばらくして悪夢を見るようになった彼女は、夢の中で起きた殺人が現実で起こっていることに気づき戦慄します。果たして殺人鬼「G」の正体とは?
クラシックな殺人鬼か幽霊ホラーのような佇まいの映画ですが、「アクアマン」や「ワイルドスピード」など手広く映画を作っているジェームズ・ワン監督の持ちネタを全て突っ込んだようなちゃんと怖い、けど異色すぎるホラーです。あまりにも豪快なミスリードを利用してラスト30分に全ての伏線が集約されていく様はもはや見ていて気持ちいいですし、ホラー映画なのにSFやアクションのケレン味もちょうどよく配合されています。
https://www.youtube.com/watch?v=y6cZXW-FN48
1位:ヘレディタリー 継承
ミッドサマーでお馴染みアリ・アスター監督の初長編監督作。
地獄。
地獄の一言。世界中からかき集めたマジで性格悪い人たちが案を出し合って、一番嫌な展開を全部詰め込んだような映画です。
しかし、全てが不快なのになぜか見るのをやめられません。
この映画がただの胸糞になってない理由として、まず、映像の特異さが挙げられます。不安を煽るような闇のオーソドックスな使い方はもちろん、カメラを地面の中に潜らせたり、主人公たちの家をメタファーとしてドールハウスのように見せたり……アリアスター監督は映像表現の引き出しが他の監督と比べても非常に多く、それが映画に独特の質感を生み出しています。
そして後から思い返してみれば案外ちゃんと練られている脚本も、安心して不安になれる(?)土台になってくれています。初めは怪奇現象に見舞われる機能不全の家族を描いた作品という程度ですが、散りばめられた宗教的なシンボル、前半の信用が一気に崩れるミスリード、中だるみしない緊張感にあふれた展開の数々を効果的に使い、最悪の結末へ着実に導く手腕に、心の中が「すごい」と「余計なことすんなよ」で半々になります。
まあなんだかんだ書きましたが、それらの堅実な良さを認識してるどころじゃないレベルでとにかく不安に特化した「おおいに見る価値はあるけど2度と見たくない」映画です。自分は予告編の段階で夜眠れなくなりましたし、怖いとしっかり覚悟した上で見返しても震えが止まりませんでした。
ミッドサマーもそうなんですが、アリアスター監督作は音が一番怖いです。眠たいのに寝たらダメな時はこの映画のサントラ聴いてます。目を閉じたら死ぬ感じがするので。
https://www.youtube.com/watch?v=H0JhliQDc4U
ラストシーンはチェンソーマンでもパロディされてました……読み返したらああ!ってなると思います
5.サスペンス・ミステリー部門
ジャンルがジャンルゆえ、文字数が格段に減ります。ご覧になられる際はネタバレを踏まないようくれぐれもお気をつけください。
5位:ゲット・アウト
「NOPE」に続き、またもやジョーダン・ピール監督の作品です。白人の彼女の家に招待された黒人の青年は、家族に「人種は気にしない」と歓迎されつつも、その家の人々に奇妙な違和感を覚え始めます。
謎を抱えた家族、ホラー、催眠術、秘密の部屋、バイオレンススリラーなど、あらゆる要素が混ざり合って次の展開が全く読めない良質なサスペンスになっています。さらに監督が鮮烈な手法で黒人、白人の思想を盛り込んだことにより、アカデミー賞脚本賞まで受賞しました。
タイトルにもなっている「ゲット・アウト(出ていけ!!)」の真意が理解できた時、そのえげつなさに背中にうすら寒いものが走ります。
https://www.youtube.com/watch?v=Yi9LsYs-N0g
4位:ゴーン・ガール
性格の悪い傑作を次々と生み出し続ける天才、デヴィッド・フィンチャー監督の作品です。
突如失踪してしまった妻。大規模な捜索が行われる中、「自分が妻を殺したのではないか?」との嫌疑がまことしやかに囁かれ、周辺住民の心象が悪化し、追い詰められていきます。ジワジワと締め付けられるような空気感の表現はピカイチです。
とんでもないどんでん返しがあるので何も言わずに見てください。
https://www.youtube.com/watch?v=aq8X4FUMvKo
3位:告白
やや学級崩壊気味のクラスを担任する女性教師、山口。突然彼女が始めた「命」についての授業に、初めは嘲っていた生徒たちも様子がおかしいことに気がつきます。そして彼女は告白します。「このクラスの生徒に、私の娘は殺されました」と…。
という感じで始まる映画ですが、犯人の割り出しも山口の復讐も開始わずか30分も経たずに終わります。
この映画超短編映画だったの?もうここから話広げられないんじゃない?と勘違いするほどの展開の速さです。
しかし、この映画の本質はそこからです。復讐を受けた生徒、そのクラスメイト、その親。因果応報が終わった後、それでも続く鬱屈とした人々の生活、彼らの「告白」を見る体で話は進んでゆきます。その過程では、嫌というほど人間の醜さや諦観や悲しみなどが描かれています。初めは悪役にしか見えなかったキャラが視点を変えると同情できる面があったり、その反対に、最後に勝つだろうと予想したキャラが突然信用を失ったり、何を、誰を信じて良いのか分からなくなります。
邦画は感情を露わにしたような安っぽい演技が批判されがちですが、ここまで完璧に最悪な脚本をぶつけられると、キャラたちの泣き叫ぶ演技こそがリアルに見えてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZsOmp4-f2Tc&t=2s
2位:パラサイト 半地下の家族
カンヌ映画祭で作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞を取った、紛れもない大傑作です。貧困に喘ぐ失業家族が、富裕層の家庭に家庭教師やドライバー、家政婦などとして「寄生」することから始まるドラマです。
韓国で発生している格差を皮肉ったブラックユーモア映画かと思っていたら、とある人間の登場によって家の信じられない事実が明かされます。そこから畳み掛ける最悪の展開によって、崩れ去る安寧の「寄生」の日々と、充満する後ろ暗さからどうしても抜け出せない半地下の人々の重苦しい空気。
全てがぶちまけられるラストは陰惨ですが、一概にバッドエンドとも思えない、見る人に解釈を委ねる懐の深い映画です。
https://www.youtube.com/watch?v=VG9PjxVMd08
1位:search
ただのイロモノかと思ったら超良作でした!!こういう予想を裏切る大当たりがあるから映画を見るのがやめられない……。
全編PC画面内で進行するという、とてつもなく特殊な形態の映画です。娘が失踪し、手掛かりのためにSNSやメールから娘の交友関係を調べる父。すると、今まで知らなかった娘の秘密が明らかになっていく……。
本当にネタバレ厳禁な映画なので詳しくは書けません。是非とも自分の目で見て、画面上だからこそできる視覚表現や、練りに練られた脚本、衝撃的な真実に翻弄されてください。!
https://www.youtube.com/watch?v=75D75RG6csA
6.アニメーション部門
5位:スパイダーマン スパイダーバース
どうやって撮ったんだろう、この映画。圧倒的な映像体験にしばらく何も見る気がなくなる。
遺伝子改造された蜘蛛に噛まれた主人公マイルスはスパイダーマンとしての能力に目覚めるが、「別時空のスパイダーマン」たちがこの世界に来たことによって事態は急変。時空の歪みを作った機械を破壊し、元の時空に帰るため連合を組むというストーリーです。
とにかくアートスタイルが自由で、3DCGと作画のいいところどりの動き、ストリートアートのようなポップさと乱雑さの同居など、アニメの新次元を創出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=Fr3IiUvnUhc
4位:河童のクゥと夏休み
子供というのは、思ったより聡くて、思ったより単純です。その中途半端な成長が生み出す胸が苦しくなるようなドラマが自分は好きなのですが、その点において本作は非常に細やかです。カッパを拾ってきた子供が周りに秘密で友情を育む、といった点はオーソドックスなのですが、普通に親にも見つかるし、なんなら自分からテレビ番組に出ます。主人公の少年と河童クゥの純粋さ、そして世界の厳しさの中でそのままではいられない幼さの、静かな悲しみが辛く心に響くアニメです。
https://www.youtube.com/watch?v=361VP8lgu9w
3位:サマーウォーズ
夏休みといえばこれです。何度噛んでも味がする。
気弱な数学少年、小磯健二が、学校のマドンナ夏希先輩の偽装彼氏として実家に連れられますが、そこは想像を絶する大家族でした。そして同時に、超巨大ネットサービス「OZ」に大規模なハッキングが行われ、健二は夏希先輩の家族と肩を並べて世界の危機に立ち向かうことになります。
仮想世界の誕生をいち早く予見したアニメーション作品として定評があり、ドット絵から3Dまでいい意味で統一性のないアカウントや、身近なものが巨大化したような仮想世界のデザインは公開から10年以上たった今でもワクワクを掻き立てます。
メインストーリーが電子空間内での出来事なのに対して、本筋は家族愛と異質なものが隣り合っているのですが、クライマックスのある言葉でその二つが結びつけられる非常に巧い構造になっています。
家族愛を象徴するような久石譲作曲のメインテーマは優しくも背中を押されるような力強さがあり、クライマックスで流れた時には胸が熱くなりました。なんだかんだで毎年見てしまうのは、それだけの魅力溢れる映画ということでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=2Wi2lb1sVk8
2位:すずめの戸締まり
大好き。
自分には、「もし映像を作れる立場になったら作りたい長編作品の理想像」みたいなのが頭の中にぼんやりとあります。無論それをそのまま出力すれば自己満足の駄作に決まっているのですが、しかし自分の中から湧き上がってきたもののためか、夢でその一部を見ることができたりすると不思議と心が躍る感覚がするのです。この作品は、そんな自分が求めていた作品に一番近い映画です。もうめちゃくちゃ贔屓しています。
九州に住む女子高生の鈴芽はある日、「閉じ師」の青年、草太と出逢います。草太と鈴芽は、誤って開けてしまった異界の扉を二人がかりで閉じます。しかし、それを遠因として呪いで草太は椅子に魂を封じ込められてしまい、人間の体を失ってしまいます。二人は呪いを解くため、また他の扉を閉じるために日本を旅することになります。
くたびれた感じのイケメンと気丈な少女のコンビは最高と相場が決まっています。
それを抜きにしても、話の方向性を決定づける最初の15分間で鍵のメタファー、主要人物の登場、初めの試練を乗り越え、本作のルールのおおよその解説を終わらせ、完璧なタイトルの表示をした時点で、劇場で見ていた私は名作確定と思いました。
オススメできる見所としては、やはり前半のロードムービーパートにて映し出される日本中の景色です。新海誠監督の美しい背景描写や臨場感あふれるカメラワーク、またファンタジーやSFで誤魔化さない等身大の人間の生活の描写は現代アニメ界では日本随一といっていいでしょう。また、シンプルなルールに基づく分かりやすい構成、受け入れやすい気持ちのいいキャラクターというアクの少ない作品なので、妙なところに気が散らずストレスなく話を見られるのも大きいと思います。
しかしながら、前半の明るい印象から一転して、後半で明らかになる鈴芽の過去は、今の日本に本当にある苦しみと繋がっていました。前作の「君の名は。」や「天気の子」と違って、実際に起きた事件を正面から描いているため、これをアニメ映画として世に出すのは批判を受ける相当な覚悟が必要なはずだったはずです。しかし、そこで作り手も受け手も傷つかない、フィクションのラインから一歩踏み出しているからこそ、純粋な人間の日常への祈りが形を結ぶ最後のシーンではボロボロ泣いてしまいました。この作品は、アニメの域を一つ広げたんじゃないかという気がしてなりません。
先日レンタルや配信が開始されました。どうか見てください。
https://www.youtube.com/watch?v=F7nQ0VUAOXg
1位:千年女優
勝てない。
散々すずめの戸締まりを絶賛しておいて一位じゃないのかよ!と思われるかもしれませんが、許してください。「千年女優」はもう神の創造物とかその域なんです。
夭折した天才監督、今敏監督の代表作です。
芸能界を引退した名女優、藤原千代子の半生をインタビューすることになった記者たち。なぜ突然芸能界から逃げ出したのか。記者の一人が持ってきた鍵とは何か。彼女は静かに自分の半生を打ち明け始めます。
ここで特筆すべきなのは、千代子の実際に生きた戦後昭和の時代と、出演作との境界を曖昧にするという、アニメにしかできない独特な構成です。騙し絵のような劇中劇構造が時にコミカルに、時に人生の記憶とシンクロして、映像として語られていき、記者たちも見ている鑑賞者すらも幻想の世界に飲み込んでいくのです。シーンごとに配色やアートスタイルを変えたり、時にはカメラワークすらも変化させたりと変則的な視覚効果を駆使することによって、演じてきた様々な役と、変わっていく時代を見事に表現しています。
藤原千代子という女優の、あまりにも波瀾万丈な人生を写した後、未完の過去作の「旅立ち」のシーンの夢をあのセリフで締めるラストカット……。そして完璧に作られた物語の終幕に、平沢進の「ロタティオン」が雄大に流れ、涙とともにスタッフロールを眺める瞬間、私はアニメーションという芸術の最高到達点を実感しました。
https://www.youtube.com/watch?v=kWujkJbIc9c
7.ミュージック部門
5位:BLUE GIANT
ジャズってなんだ?その答えがここにある!
ミュージック部門、初っ端はド直球にバンドをやる映画です。仙台から上京してきたサックス奏者の大、天才ピアニストの雪祈、大の知り合いで素人のドラマー玉田。全力で演奏するジャズはきっと誰しもに届くはずだ、と信じて疑わないまっすぐな大の情熱のもとで、衝突し合いながらも3人は凄まじい音楽を奏でていきます。
これはまさに劇場で見るべき映画でした。「ジャズって長くない?」「どこで終わるのかよくわかんない」の答えがあのライブシーンにはありました。あれは全部サビだったのです。座席でめちゃくちゃに泣きながら、ただひたすらこの時間が終わってくれるなと思わせるだけのパワーがありました。もしも見る機会があったなら、できるだけ大きい画面と音量で聴くのをお勧めします。
https://www.youtube.com/watch?v=h1I116oS_Lk
4位:ダンサー・イン・ザ・ダーク
視力をだんだん失っていく母親が最後に息子に希望を残すために、どのような不条理に遭おうとも、苦難を味わおうとも耐え抜く、鬱映画の代表作と評される作品です。全編、正直者が馬鹿を見るような不平等で理不尽な状況が続きます。彼女が逃避として選んだ歌とミュージカルの妄想の中ではなんでもものが言えるのは、いっそ痛々しく感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=FABqxOWz5k4
3位:RRR
ダブル受賞!!!!!
アクションのところで楽曲を放り下げなかったのはこのためです。劇中歌が全部名曲というちょっと意味のわからないクオリティになっているので、パートを分けざるを得ませんでした。
まず先述もした、ゴールデングローブ賞受賞の「ナートゥ」は言うまでもないでしょう。
他にも、ラーマとビームの友情を象徴した「Dosti」、ビームの苦悩を歌い上げる「Komram Bheemdo」、そして勝利BGM「raamam raaghavam」。全曲の単体での完成度が高く、映画体験を盛り上げてくれること間違いなしです。
https://www.youtube.com/watch?v=k157GjJHvK4
https://www.youtube.com/watch?v=sAzlWScHTc4
https://www.youtube.com/watch?v=uBDCl5c-9qM
2位:犬王
室町時代を舞台に、型破りな二人の能楽師を描いたアニメーション作品です。「どろろ」「チェンソーマン」「アンデッドアンラック」などの楽曲を手がけた女王蜂のボーカル、アヴちゃんが異形のダンサー犬王を、森山未來が盲目の歌い手友魚を演じています。アヴちゃんのまるで弦楽器のような人間離れした音程と節回し、こぶしの利かせ方などがそのまま映画の迫力に繋がっており、ライブシーンの臨場感を際立てています。
もちろん音楽だけではなく、平家の呪いを宿された犬王が、平家の物語を歌い踊って語り継ぐことによって人の形を取り戻していく設定や、時代や権力者の圧力を乗り越えるという本筋の構成もしっかりしています。自分たちの奏でたいものを奏でるために命すらも懸ける覚悟と、時代を経てもともにあり続けるふたりの友情に心が震えます。
https://www.youtube.com/watch?v=1aWljU6ZDKU
1位:砂の器
泣かずに見れるのか。この映画。
あんまり期待を煽りすぎると実際見た時の感動が薄れるかもしれないので詳細は伏せますが、この映画は本当に人間が作ったとは思えないほど凄いです。
刑事ものとしても見応えのある前半から終盤にかけて一転、濃密な人間の恩讐物語が事件の真相と共に明らかになっていきます。
戦後日本の、まだ国中の人々の心に後ろ暗いものが横たわっていた時代、そしてそれが実感としてつながっていた、あの昭和の時代だからこそ撮れた作品です。そして、ラストシーンのオーケストラの圧倒的表現力。音楽とは、映像とは、ここまで作中テーマに添わすことができるのかと驚愕するとともに、ラストカットの力強いメッセージに涙を流さざるを得ませんでした。
https://www.youtube.com/watch?v=CPCk0LG0xFs
8.この映画も凄い!
ここでは紹介することができませんでしたが、個人的イチ押し、及び超名作です。
20世紀少年
怪獣の子供(映画版)
パプリカ
AKIRA
チャッピー
フォレスト・ガンプ 一期一会
LEON
9.終わりに
いかがだったでしょうか。無計画に記事の規模を大きくしてしまったので、思いの外時間がかかってしまいました……。
この記事を通して、映画というのは想像より身近でバリエーション豊かな楽しいコンテンツだということを知っていただけたらな、と思います!また、もしこれを参考に新たな映画に手を出していただけたら、それ以上に嬉しいことはありません!
ご覧いただきありがとうございました!
明日は、@24takeさん、@cp20さんの記事が掲載されます!楽しみ〜〜