この記事はアドベントカレンダー2021 38日目の記事です。
こんにちは。ダイパリメイクの風潮に逆張りしてハートゴールドを中古で買って楽しんでいるすわんです。
僕は夏に長文で読み手に配慮していないデジ絵の描き方を初心者なりに紹介したのですが、この時は色選びに関してはなんもわからん状態でした。Graphics班員に色彩検定を合格した人がいるので絵のために自分も色彩勉強するか~というお気持ちで色彩検定を受けてみました。ということで、今回は色彩検定ってなんやというのをざっくりと記事にします。
色彩検定ってなんや
色彩検定、名前は聞いたことあるけどなんやねんという人も多いと思います。公式ホームページに説明文があるので読んでみます。
「色彩検定」は1990年の第1回開催より累計150万人以上の方が受検した、文部科学省後援の公的資格です。
「色」は世の中のあらゆるものに使われ、私達は常にその影響を受けています。
にもかかわらず、一般的な学習課程で色について理論的・体系的な知識を得られる機会はあまりありません。専門的な教育を受けない限り、色についての知識や利用は個人の感覚や経験則に頼らざるを得ないのです。
色彩検定では色の基礎から、配色技法(色の組み合わせ方)、専門分野における利用などを幅広く学習します。「色彩検定」の学習によって感性や経験によらない、理論の土台を身に付けることができます。また、ご自身の現在の知識や目指すレベルに合わせて1、2、3級、UC級 のどの級からでもご受検いただけます。色についての知識が無く基礎からしっかり学びたい方や、現在色を扱った仕事をしているが知識を整理したい方、さらなるスキルアップを目指したい方など、様々な方に受検していただけます。
要するに色に関しての文部科学省後援の公的資格です。色彩検定は毎年6月と11月の年2回行われていて、3級から1級,UC(色のユニバーサルデザイン)級があります。3級は初歩的で簡単という話を散見したので僕は初っ端から2級を受けてきました。
色彩検定は色に関係する諸分野ならなんでも題材にした検定です。具体的には、
- ユニバーサルデザイン
- 光と色
- 色の表現方法
- 色彩心理
- 色彩調和
- ビジュアルデザイン
- ファッション
- インテリア
と多岐にわたる分野で色に関する知識が問われます。ひとつひとつざっくりと紹介します。
ユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインとは、身の回りの色の見え方のことです。
たとえば、ノートで強調したいものがある時、赤色のペンで書いたりしますよね。これは白背景に対しては赤の文字が最も注意を引き寄せる効果があるためです。
他にも、私たち人間は目という器官で色を認識していますが、目を構成する水晶体は加齢で濁ってきます。すると、短波長光である青色の光は見えずらくなり、黒との判別が付きにくくなります。このため、青と黒の組み合わせは高齢者のことを考えるとあまりよろしくないので、使わないほうが良い配色になります。
こういった内容の知識がユニバーサルデザインの内容です。個人的には結構面白い内容だと思っています。
光と色
ガチガチの理系東工大生にとっては色の本質が光で、その中でも可視光領域の波長ごとに色が異なって見えるということは言うまでもないと思います。分光光度計とかスペクトルとかです。可視光領域にわたる光の反射率で、ものの色の見え方が変わるとかです。他にも、目の構造や錐体細胞と桿体細胞の知識とか、そういった科学的知識の内容が多いです。あんまり色の勉強という感じではなかった
色の表現方法
この分野と後に紹介する「色彩調和」が一番色の勉強をしている感じがあった内容です。色の表現方法として、色相・明度・彩度という3つの性質がありますが、これらを基にした国際的な色の表現方法が主な内容です。一番色彩について触れているだけあって内容は難しいですが、1つ簡単に紹介すると、色の表現体系のひとつのPCCSという体系では、有彩色をその彩度、明度ごとに名前を付けて、トーンという概念で色を表現したりします。
(図は https://www.sikiken.co.jp/pccs/pccs04.html より引用)
この図で彩度が高く、明度もまあまあ高いと「明るい」印象のブライトトーンになるといった具合です。トーンの概念は重要概念で、以降これを基にした色彩の説明がされたりします。
他にも、これは完全に暗記内容でぶっちゃけ知らなくてもいいだろと思っている慣用色名の知識が問われたりします。
例えばコレ。
(https://www2.fashion-guide.jp/color/canary/ より引用)
これはカナリヤ色という色です。カナリヤはカナリア諸島に生息する、このような色の体毛の小鳥です。よくか弱い存在の代名詞になっています。虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会では三船栞子が翠いカナリアという曲を歌っていますが彼女のメンバーカラーの翡翠色ではなく、黄色っぽい色です。ちなみに翡翠色はコレ。
(https://www2.fashion-guide.jp/color/jade-green/ より引用)
こういう慣用色を知るのは個人的になんか面白くて好きです。試験する内容ではないと思っていますが
ちなみに東工大はロイヤルブルーをスクールカラーとして規定しています。(https://www.titech.ac.jp/public-relations/about/overview/logo/color より)
色彩心理
色彩心理は、色彩に関する心理の内容です。例えば、黒と白だったら黒のほうが"重い"、白のほうが"軽い"という印象を受けると思います。そういうやつです。色ごとに人間が感じる印象が違う、ということを錯視とかを交えて見ていくという内容です。明度が低い(黒に近い)のをボトムスに、明度が高い(白に近い)のをトップスに持ってくる方がファッションの見た目がいいですよね。そういう地味に日常生活に関連していることを取り扱います。
色彩心理効果もひとつ紹介しておきます。
赤と緑は補色関係にありますが、補色関係のなかでも彩度が高くて明度が近いと、色の境界がギラギラして曖昧に見えます。これをハレーション効果と言ったりします。
そういえば、もう冬ですね。Snow halationを聴きましょう。
色彩調和・ファッション
多分一番面白いと感じ、実際に生活のいたるところで活用されている内容です。ここでは配色と色の調和の内容を扱うので、デザインやイラスト作成のときに意識されていると思います。また、配色の話はそのままファッションにも使われています。それなりに難しい内容なので、説明するのも難しいですが例を一つあげてみます。
1つ目はトーンが近い配色で作っていますが、しまりがありません。ここに彩度がやや低めな茶色をセパレーションとして差すことで、2つ目のような引き締まった印象になります。
他にも、同系色相でトーン差をつけてまとまった印象を与えるトーンオントーン配色などがあります。
この二つはその例で、どちらもピンク系統でまとめているので明度の差をつけてまとまった印象になります。どちらもピンクを基調としていますが、歩夢ちゃんのほうは首元の白色で明るい印象を与えており、QU4RTZの4人組の衣装は暗めの茶色で落ち着いた印象を与えています。そしてやはり、明るい白は上に、暗い茶色は下になるように配色されています。色彩心理も意識されていることが分かります。
異なる色彩を複数使った配色にも良く見える配色ルールがあります。毎度おなじみの色相の円環から色を取ってくるとき、補色の2色、または正多角形の頂点から色を選べば調和した配色になるというルールがあります。
補色(ダイアード)
色相環から対照的に2色を取ってくると、補色関係になります。ダイアードとも呼ばれます。
これは補色関係にある濃い青とオレンジ色を例にしていますが、Diver Divaの二人の衣装も補色関係になっていることが分かります。
トライアド
色相環から正三角形の頂点を取って3色を持ってくるとトライアドという配色になります。
厳密には、良く用いられる色相環は24色であるのと、表色系が違うのでかなりガバガバ理論になってしまいますが、原色である12色の色相環でトライアドを選ぶと黄色、赤色、青色を取ることができます。この3色は、A・ZU・NAの3人の衣装の関係になっています。
ペンタード
色相環から正五角形の頂点を取って5色を持ってくるとペンタードという配色になります。正五角形のほかに、正三角形で3色を選んでこれに無彩色の白と黒を合わせた5色でもペンタード配色になります。
色相環から黄色、赤紫色、青緑色を取ってきて、ここに白と黒を加えたペンタード配色を考えてみます。色相環から選ぶ際は明度は考えず、色の彩度を考えるのでピンク色は彩度最大の赤紫色(赤色)として考えます。R3BIRTHの衣装はまさにこのペンタード配色になっています!
このような配色ルールを考えてキャラの衣装や町中の人々の服装を見ていると、なかなか面白い発見があって個人的に楽しいと思います。
ビジュアルデザイン
ビジュアルデザインとは、ポスターやチラシといったグラフィックデザイン、お菓子などのパッケージデザイン、Webページのデザイン、ゲーム画面のデザインやピクトグラムなどの、視覚的な情報によるデザインのことを言います。例えばこのtraPのWebページのデザインも見やすさや認識のしやすさの観点で工夫されています。
デジタル創作同好会らしく、パソコン上の色の表現方法を紹介すると、色空間にはRGB,CMYK,Webセーフカラーといった種類があり、数字の組み合わせによって色が数値化されて表現されています。
何が違うのというと、RGBはPC上で良く用いられる色空間ですが、それを紙に印刷するとなると、RGB空間設定ではやや良くないことになります。印刷機はCMYKインクを使うため、望んだ色を印刷するにはRGB設定からCMYK設定に切り替える必要があります。DTP作業(コンピュータを使った原稿作成などの作業)では、こういったカラーマネジメントが要求されます。色の表現方法をミスると、印刷したらなんか思っていた色と違う…なんてこともあったりします。
別の例としてWebサイトの色空間でよく使用されるwebセーフカラー色空間をあげると、RGBを16進数を使って表現しています。Rが#FF0000,Gが#00FF00,Bが#0000FFと左から2桁ずつ対応させています。
私のアイコンの色もPC上ではこのように取られています。
ちなみにtraPの青色は#005BACだそうです。
インテリア
今まで述べてきた色の概念を、そのまま居住空間まで拡張させた概念のことです。私は環境社会理工学院erではないのでよくわかりませんが、ここら辺の話もやっていたりするのかもしれません。
上で述べたように重い色である黒を床に、軽い色の白を天井に持ってくるといったことや、街の景観に合わせた色使いをするといった内容です。京都のローソンが青色を使用していないのがいい例です。
試験
7割が合格ラインのマーク試験なのでぶっちゃけそんなにむずかしくないです。受かりました。受かると色彩コーディネーターという資格がもらえるそうです。何に使えるのかは知らない
さいごに
今回興味本位で色彩の勉強をしてみたら割と面白かったので興味のある人は試験は受けずとも勉強してみるといいかもしれません。今後は色彩の知識を絵とかデザインに使うことができたらいいなと思っています。
明日はKomichiさんの記事です。楽しみ~