この記事は、夏のブログリレー22日目の記事です。
I'm coming.
こんにちは。21Bのcomingです。普段はひっそりと絵を描いています。
タイトルからしていきなり何を言っているのかわからないと思いますが、それはそれとしてこの夏休み、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
家でゴロゴロですか。そうですか。まあそれも悪くないですが、中には要を急する帰省をなされている方も多いと思います。
自家用車や高速バスで帰られた方は、高確率で高速道路を走ったことでしょう。今日はその高速道路のお話です。
はじめに
高速道路には、一般道と繋がる「インターチェンジ」と、他の高速道路との交点である「ジャンクション」があります。多くは立体交差が活用されていますが、皆さんはどれだけそれらを観察したことがありますか?もしくは、どのくらいカオスなものかを知っていますか?
このまま説明を続けると大半の方にブラウザバックされると思うので、カオスなジャンクションがどんなものか、その画像をチラ見せしちゃいます。
チラッ
チラッ
どうです?どこがどう繋がっているかわけがわからないでしょう?
それこそが、このジャンクション観察の醍醐味なのです。この方向からその方向に行くには、どのようなルートを通ったらいいか。そしてどう左側通行の本線に収束していくのか。それらを一つ一つ紐解いていく楽しさは、パズルに通じるものがあります。支線部分の曲線美も見逃せません。
それと同時に、洗練されたデザインの美しさも垣間見えます。道路の建設にはもちろんお金がかかりますから、建設する地形に合わせてなるべくコストが低くなるような選択肢をとるわけです。なぜこの形なのか。それを考えるのも楽しいのです。
これでも表現を控えめにしたつもりです。この記事を読み終える頃には、あなたもジャンクションへの興味が少なからず湧いていることでしょう。
基礎編
まずはジャンクションの基本的な「型」の解説をしたいと思います。カオスで型破りなジャンクションは言わば発展形。それを紐解くには、まずは基本のシンプルなジャンクションの知識が必要というわけです。
型はたくさんあるのですが、最低限、下の4つさえ知っておけば大体のジャンクションは説明できます。[1]
①トランペット型
日本ではかなり古くから使われている型です。おいこれのどこがトランペットなんだ。わからんでもない??
盛り土や掘割の上に作られることが多く、高架にある例は稀です。地面の上に作れば、立体交差は一つだけで済むのでコスト的にもお得ですからね。用地も狭く済むので、日本の急峻な地形に適しているといえます。
東工大から近い第三京浜玉川ICなんかもこれ。
②Y型
こちらも広く使われています。きついカーブが減るので、運転はしやすいかも。用地面積も比較的少なくすむのでお得。やっぱカネよカネ。
同じY型でも接続方法によって分類を異にしている文献もあるのですが、今回は最初なのでこれだけでいいです。ジャンクション愛好家の皆さまにおかれましては少し物足りないかもしれませんがご容赦下さい。(ジャンクション愛好家って何だ?)
③クローバー型
綺麗な形をしていますね。内側の4つのカーブがさながら四つ葉のクローバーに見えることからそう呼ばれています。ただし広大な用地が必要なので日本向きではなく、国内では鳥栖JCT(佐賀県)や浦安IC(千葉県・一般道)くらいしか例がありません。どちらかといえば海外に多め。
内側のカーブがきついことから本線方向以外の交通量が多い場合はやはり不向きで、前述の鳥栖JCTも福岡→長崎を繋ぐ橋「サガンクロス橋」を架けざるを得ませんでした。これによって純粋なクローバー型ではなくなったという。残念。
④タービン型
これもまた美しい!今度は4つのカーブが螺旋を描くように配置されています。
この形で真っ先に話題にのぼるのは、外環の三郷JCT(千葉県)。あまりにも美しくかつコンパクトにまとまっているので、ジャンクション愛好家の中でも人気が高いのです。(ジャンクション愛好家って何だ?)
ここでは「日本に多く」「完全立体交差であり」「全方向対応である」ものを中心に扱っています。ダイヤモンド型などはJCTでの使用例が少なくそれほど旨味もないので割愛。 ↩︎
発展編
さて今度は、ここまでの知識を応用して、実在するジャンクションがどんな型に分類されるのか分析してみましょう!
Googleマップなどが手元にあると便利なので、用意するといいと思います。
大丈夫、僕も鬼ではないので最初は簡単です。最初は。
山形JCT(山形県)
東北中央自動車道と山形自動車道の交点です。先ほどの型で考えるとどうなるでしょう。
はい、これは①トランペット型を2つ連結させただけですね。易しすぎたかな。
このような形は「ダブルトランペット」なんて言われることもあります。名前がついてしまうくらい採用率も高いのです。
川口JCT(埼玉県)
東京外環自動車道と東北自動車道の交点です。
気づいた方もいらっしゃると思いますが、これは③クローバー型と④タービン型の合いの子になります。向かって左上と右下にクローバー型のようなカーブがありますよね。
実はこれは名前がついていて、「対向ループ型」なんて呼ばれていたりします。
鶴ヶ島JCT(埼玉県)
関越自動車道と圏央道の交点です。さて、これはどうでしょう?
実は②Y型の連結なのですが、連結部分が何やらごちゃごちゃしていますね。
これは「織り込み交通」と呼ばれる現象を回避するためにこうなっています。
さっきの山形JCTのように直接3叉路同士を連結してしまうと、連結部分で「右から来て、左から出る車」と「左から来て、右から出る車」が衝突することになります。これは「織り込み交通」といい、事故や渋滞の原因になってしまうのです。山形のように交通量が少ないとこういう問題も起こりにくく妥協するのですが、交通量があると大きなネックになりかねません。
鶴ヶ島JCTでは、これを独立させ交差させることでこの問題を回避しています。見た目は仰々しく見えますが、こう考えると逆に単純に見えてきたのではないでしょうか??
箕面とどろみIC(大阪府)
東西に走る新名神高速道路と一般道のインターですが、箕面有料道路にも接続します。最近できたばかりのジャンクションです。
なにやらぐるぐるしていますね。ですがこれは渓谷に作ったため用地不足でこうなっているだけで、接続方法自体はただの見掛け倒しです。騙されないで!
こう一見してよくわからないジャンクションの場合は、方向別に細分化して見ていく手法が効果的といえます。見るが易し、早速やってみましょう。
一般道と箕面有料道路の接続はただの交差点みたいなものなので、このジャンクションの肝は新名神側の接続にありそうです。
まずは新名神⇔一般道だけ取り出してみます。
これは②Y型の変形です。ちょっとくるっとしていますが、伸ばして考えるとわかりやすいですね。箕面有料も途中までは全く同じです。
よく見ると、新名神から流出する方と流入する方で一般道と箕面有料の分岐合流の仕方が違います。
流出する方は、新名神の上下線から出た支線が一旦合流した後に分岐があります。
一方、流入する方を見てみましょう。この形は…!?
先述の鶴ヶ島JCTで見た、「織り込み交通を回避する連結方法」と同じなのです!
こうなっているのは恐らく、合流から分岐までの距離に余裕が無かったからだと考えられます。
どうです?案外簡単だったでしょう?
もちろん、このICはかなり高さの高架を走るので、建設自体は全く簡単ではないのですが。地図は上から見るので実感はわきにくいですよね。
豊中IC(大阪府)
冒頭のやつです。名神高速道路と一般道、阪神高速11号池田線に接続しています。さあ、いよいよフクザツになってきたぞ。
東西方向の名神側は簡単な①トランペット型ですね。昔は阪神高速の接続がなく、至って普通のインターチェンジだった名残です。
問題は南北を貫く阪神高速・一般道側。これも細かく見ていきましょう。
まず名神⇔阪神高速。これは普通の①トランペット型です。
そして名神⇔一般道。これも、一般道の本線が外側を大回りしていることを除いては、単純な①トランペット型といえるでしょう。
最後に残った阪神高速⇔一般道ですが、これは南方向にしか出入口がないハーフインターチェンジというやつです。実は北方向の出入口はここから少し北に離れた場所にあり、名神とは一体化していません。まとめてみましょう。
つまり豊中ICとは、これら3つの構造が平行に混ざり、それが名神のトランペットと接続されている、とみなすことができるわけです。どんなフクザツなジャンクションでも、細分化していけば単純なカタチで体系化できる。これがオタク式ジャンクション分類術なのであります。
海老名JCT・厚木IC(神奈川県)
キリがないのでこれをラスボスにしましょう。段々疲れてきた。
なんだこれ。
どちらも東名高速道路の施設ですが、東側の海老名JCTは圏央道との、西側の厚木ICは一般道[1]との接続があります。この2つの施設は相模川を挟んで別々に名前がつけられているにも関わらず、織り込み交通回避のために専用の連絡路を作ったことによって一体化してしまいました。
そういう経緯で巨大化してしまったこのジャンクションですが、ここまでついてきてくれた皆さんならきっと「ああ、そういうことね」と理解して下さることと思います。
ジャンクション分析は細分化が基本。まずは海老名JCTからいってみましょう。
実はこれ、先ほどの鶴ヶ島JCTを崩したものと見ることができます。そこはかとなく既視感を感じませんか?
実際に細分化してみると、どこを切り取っても②Y型を確認することができます。織り込み交通の回避方法が、少しばかりアクロバティックなだけです。
よく見ると東名の西方向では、本線と側道が接続しないまま川を渡っています。この接続は厚木ICに役割を譲ることになるわけです。というわけで厚木ICも見ていきましょう。
この接続にも既視感がありますね。そう、さっきの豊中ICと同じです。
相模川方面のみ、①トランペット型が二重になっているのがわかりますか? もう注釈は不要ですよね。
おまけ程度に厚木ICの一般道との接続も見ておきましょう。
これは半クローバー型といって、文字通り③クローバー型を半分にしたバージョンです。この向こうに別の道路が続くので、下手にトランペットを組むよりも楽に作れていいのかもしれませんね。
まとめると、「海老名JCTは準直結Y型2連結を崩したもので、その名古屋方面分岐が伸びて厚木ICのトランペット部分で重なりあっている。で、厚木ICでの一般道との接続は半クローバー型である」という感じになるのでしょうか。書いててもよくわからなくなってきましたね。
何はともあれ、これでフィニッシュです。お疲れさまでした。
一般道方面に小田原厚木道路もつながっているが、ややこしくなるし小田厚側に出入口がないので省略。 ↩︎
最後に
いかがでしたか?
最後までついて来れた人の方が少ないと思いますが、そういう方にはきっとジャンクション分析の楽しさが伝わったことでしょう。
今回は話がややこしくなるので省略しましたが、実はこの分類にもあてはまらないヘンなジャンクションや、さらにカオスなジャンクションは国内だけでもいくらでもあります。みなさんが今回仕入れた知識をもとに頑張って分析できるものも多いはずですので、暇だ!という人はぜひ地図とこの記事との間でにらめっこしてみてはいかがでしょうか。
続編は、もしかしたら、あるかもしれません。
明日のブログリレーはaya_seさんの担当です。