2021夏のブログリレー14日目の記事です。
どうも。東京都と大学が連携した東京の大学に通う学生向けワクチン接種会場で、8月上旬に1回目の接種を済ませてきたlogicaです。妹含め4人の核家族ですが、うちでは最速でした。3~4日後に再度青学で接種です。1回目は腕が痛む程度で済みましたが2回目の方が副反応が激しいと聞いて少し緊張しています。
さて、そんな1回目の接種直後、いつもインフルの予防接種で接種後「軽く5分ほど抑えていてください」と言われていたのを思い出して、絆創膏の上からサッと手で押さえて担当の看護師さんにお礼を言ったら「強く揉まないで下さいね」と言われました。え?と思って手を離したのですが、驚いたことに押さえないことに関しては何も言われなかったんですね。ちょっと不思議だなぁと思ったんですが、「コロナって筋肉注射って言われたし注射する部分の違いなのかな」と勝手に想像しました。
しかし接種後、家に帰る電車の中で深く調べてみたところ、「軽く押さえる」と「強く揉む」は全く別の概念だということ、そして「揉む」と「注射」にはちょっとした因縁じみた関係があることがわかり非常に驚いたので、ブログリレーでシェアしたいなと思います。
できるだけ政府や医療系にたずわさる企業のWebページを参考にしていますが、ソース不十分なところも少しあることをご容赦ください。
注射の種類について
「筋肉注射」って何なのか、皆さん説明できますか?
注射は薬液を注入する部位によって、様々な種類があります。その種類のことを知らないと今回の話を深く理解できないと思うので、今回調べている中で出てきた3種類の注射を勉強しましょう。
皮膚~筋肉の構造
皮膚は表皮(上皮組織)と真皮(結合組織)に分かれ、その下に皮下脂肪を中心とした皮下組織(結合組織)、次いで筋肉という順に重なっています。表皮はいわゆる身体を一番表面で守る部分で、真皮の部分に血管や汗腺が入っています。この層構造が、注射の種類を知るのに非常に大事な部分になります。
3種類の注射
皮下注射
日本での予防接種の多くがこれです。皮膚と皮下組織をつまみ上げて、皮膚に対して斜めに注射します。皮下組織に注射するため、打った箇所にワクチンがしばらくとどまり、ゆっくりと吸収されます。そのため、体内でおだやかに効果を示すように働いてくれます。
筋肉注射
皮下組織の更に奥、筋肉内に注射を行います。筋肉にはたくさんの血管が通っているため、ワクチンの吸収が速いです。筋肉まで針を届かせるため、皮膚に対して垂直に注射します。
静脈注射
その名の通り、一番表面を流れる血管(静脈)を狙って刺しに行く注射です。主に点滴(実は点滴静脈注射の略語)や、注射かどうかは微妙ですが採血・献血などの針の刺し方がこれに該当します。
優劣はあるの?
それぞれにそれぞれの利点・欠点があります。ほとんどの注射は筋肉注射か皮下注射で行われていますが、現在広く使われている薬液におき、安全性・痛み・効能について優劣があるというデータは無いようです。要は科学的に証明された優劣はないということですね。
なぜコロナのワクチンは筋肉注射なの?
先ほど日本の予防接種はほとんど皮下注射だといいました。1970年代に抗菌薬やスルピリンなどの鎮痛剤の筋肉注射で「大腿四頭筋拘縮症(だいたいしとうきんこうしゅくしょう)」という副作用が社会問題となったことで、筋肉注射が避けられるようになったことが原因のようです。
ですが、海外では皮下注射ではなく筋肉注射が主流です。皮下注射よりも抗体産生が良好で、局所の副反応も小さいためで、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)や諸外国のガイドラインでも推奨されています。最近、日本でも学会による筋肉注射推奨の動きが出ているみたいです。
そして、今回コロナウィルスワクチンを開発したファイザー社、武田/モデルナ社、アストラゼネカ社のワクチンは筋肉注射でのみ臨床試験が進められたため、臨床試験の行われた筋肉注射の方が信頼性があるだろうということで採用されたようです(1次ソースが無かったので定かではない)。
「注射後に強く揉む」という因習
昔(といっても僕の父母が子供のころ)、注射液がよく吸収され、免疫効果が上がり、また硬結(しこり)を作らないと言われていたため、注射後は接種したところを揉むよう勧められていました。ですが、これに科学的な証拠はないんだとか。「なんとなく良さそう」という理由で勧められていたのだとしたらちょっと怖いですね。(国が節電対策として打ち出している「夏はクーラー28度、冬は暖房20度」は科学的根拠に基づいてないと聞いたことがありますが、それと似たようのものかもしれませんね。)
現在の『インフルエンザ予防接種ガイドライン』には,「インフルエンザ予防接種後には注射部位を揉まずに血が止まる程度に押さえるだけでよく,揉む場合でも数回程度にとどめる。あまり強く揉むと皮下出血を来すこともある」とあります。また、Hsu医師らの研究グループの1999年の報告によれば、揉む程度が強いほど副反応が多く、しかも抗体の産生量(有効性が高くなったと推測される)は揉まない場合と比べてほぼ変わらなかったそう。
我々の一世代上、30~40代の人たちが小さいころから「注射後は揉む」と刷り込まれて育ってきたから、今の医師たちがそれを是正しようと「揉まないで下さい」という強い呼びかけをしているということなのではと僕は推察しています。いずれにせよ今の医学界のトレンドは「注射後は揉まない」です。皆さんも気を付けましょう。
じゃあ「軽く押さえる」は何なのか
注射後、「軽く押さえていて下さい」という指示は「揉む」とは全くベクトルが違うものです。上の『インフルエンザ予防接種ガイドライン』に「血が止まる程度に押さえるだけでよく」と書いてあるように、「軽く押さえる」=「止血のため」なのです。
実際のところ、静脈内に注射を打つときは5分以上押さえていなければいけないそうです。また、今回のコロナウイルスワクチン接種でも、血液をサラサラにしている薬を飲んでいて出血が止まりにくい人は接種後に2分間以上、しっかり押さえる必要があるとされているらしく、患部を押さえる行為は止血の観点からみて必要不可欠であることがわかります。
ただ、最近の注射はかなり針が細くなってきていますので、あまり激しい出血もしないで済むことが多いです。実際僕がコロナワクチンを接種した際も、押さえてない状態で絆創膏に直径5mm程度の小さなシミがちょこっとできる程度の出血で終わりました。ですので、「とりあえず基本は何もしない、もし血が止まりにくいようであったら押さえて止血を促す」くらいのスタンスでいいんじゃないか、と僕は思っています。
まとめ
「注射」と「揉む」、「押さえる」という行為に少し興味深い結びつきがあることがわかっていただけたと思います。気になる方は、ぜひソース一覧から元のサイトに飛んで、さらに先の元情報までDigってみては。最終的には自分が持っている情報を増やし、それをもとに判断するのが良いと僕は思います。
明日は JichouP さんの記事です。どんな内容が来るのかな~と僕も今からワクワクしております。ぜひ見てみてね!
ソース一覧
https://www.city.osaka-izumi.lg.jp/material/files/group/108/shingatakoronawakuchinsetumeisho.pdf