この記事は、traP夏のブログリレー2020・7日目の記事です。
はじめに
はじめましての方ははじめまして、Suu__uと申します。
iPadとProcreateでイラスト制作をしています。
過去には謎の自炊人間として新歓ブログリレーに出現していました。
今回は「メイク塗り」と称して、普段自分がやっている「お化粧したっぽい感じの顔周りの塗り方」を布教していきたいと思います。
メイク塗りってどんな感じ?
ここにかわいい女の子のイラストがありますね。
かわいい[1]。
ただ、服がちょっとシンプルすぎたかもしれません。
実在する服を参考に描いているとこういうことはよくあるんですよね。
装飾品をゴリゴリに盛ってもいいのですが、自分はあまりセンスがないので避けたいところ……。
服の構造はそのまま、柄を追加してみました。
あと、ちょびっとハイライトを足したり、線画の色を変えたり、髪を書き足したりしました。
おっ、結構いいんじゃないですか?
ただ、ちょっと顔周りがのっぺりしたままかも……(わざと放置しています)。
ここにメイク塗りを足すとこうなります。
はいかわいい。
えっかわいくないですか?かわいいですよね。
全身が入った構図ですが、いい感じにかわいい女の子のかわいいお顔に目がいきます。
かわいい。
メイク塗りのいいところ
メイク塗りをすると、顔周りに肌とは異なる彩度・トーンの色を置くことになります。
これによって、イラストの中の人物の顔をより目立たせることができます。
また、赤寄りの高彩度の色を置くことで顔周りに華やかな印象を出せます。
今回はイラストに関するお話ですが……そもそもメイクというのは、実在する人間が自分の顔をより魅力的に見せるためにするものです。
特に、自分の顔の欠点を隠す・修正するといった意味合いの工程が多かったりします。
肌全体の色みを整えるファンデーション・コンシーラーだったり、輪郭を小さく見せ凹凸をはっきりさせるシェーディング・ハイライトだったり。
そりゃ、実在人間の顔って後から好き勝手変えられるわけじゃないですからね。整形外科に札束を積むならともかく。
メイクでなんとかして理想に近づくわけです。
ところが。
今みなさんがなんとかしようとしているのはイラストの中の人物です。
輪郭も鼻の高さの目の大きさもみなさんの思い通りに変えられます。
(もちろん画力は要求されますが)イラストの中なら常に人物の顔を理想的な形にできるわけです。なにそれすごい!
じゃあメイク要らなくねとなってしまうわけなんですけど(それはそうなんですよね)。
実在人間が日夜使っているその技術、上手いことイラストに取り込めれば鬼に金棒じゃないですか?
既に素敵なお顔をもっと素敵にできる可能性が残ってませんか……?
ということでみなさんメイク塗りをしましょう。
どこに何を塗りますか
読者のみなさまのうちどれくらいの方が実際にご自身のお顔にメイクを施したことがあるのかは存じ上げませんが……。
イラスト上でメイクを再現する場合、現実のメイクとは工程を変えなければなりません。
具体的には、イラスト上であるゆえに必要のない工程がいくつか発生します。
たとえば先程前項で名前を挙げた、ファンデーション・コンシーラー。
加えて、まぶたを二重にするアイプチや、黒目を大きく見せるためのカラコン。
イラストの中の人物はきっちりムラなくきれいにお肌を塗ってもらえますし、輪郭やパーツのサイズ・形状が†完璧†なわけですから、現実で実在人間の顔のそれらを修正するためのこれらの工程はほぼ必要がないわけです。
また、現実のメイクでは、睫毛を伸ばすマスカラや目の輪郭をなぞって強調するアイラインといった工程があります。
が、イラストの場合、睫毛や目の輪郭は塗りというより線画の工程で描き終えられていることが多いです[2]。
よってこれらは今回メイク塗りとしては扱わず、線画担当さんに任せることにしましょう。
ということで、「肌がムラなく塗られている」かつ「睫毛が既に完成している」前提で、どこにどういう色を置いていくかという解説をしていきます。
説明用に、もう一枚線画を準備しました。
もちもちほっぺ〜。
影(シェーディング)
なんか気味悪いですがしばらく我慢してお付き合いくださいませ[3]。
イラストだと顔の影をあまり描き込まない絵柄も多いですが、今回はメイク塗りなのでしっかり影の位置を考えてみましょう。
といっても描き込みすぎても不自然なので塩梅が難しいところです。
私は枠線の薄い部分、特に鼻の横はよく端折ってしまいます。
文字通り影なので、肌のベースの色より少し明度の低い色を置きます。
彩度は下げすぎると顔色が悪くなってしまうので要注意です。
ハイライト
ハイライトはメイク用語でもハイライトなんですよね。
枠線の薄い部分は、エアブラシ系のペンでほんわり明るい色を置きます。
濃い部分は、がっつり白を置いちゃってもいいと思います。
特にまぶたの真ん中にハイライトいれると立体感が出ていいですよ。
イラストでも現実でもよくやります。
チーク
メイク塗りじゃなくてもほっぺただけ塗ってるイラストはよく見かけますね。
ここ塗るだけでめちゃくちゃ簡単にかわいくなってくれます。便利。
絵柄によっては線や点を描いたりしますが、現実メイクっぽくするなら大きめのエアブラシで薄めに乗せるのがいいと思います。
また、現実なら輪郭の形によって色を置く位置の議論が発生するのですが、イラストなら目の下か斜め下に適当にぽーんとやっちゃっていいんじゃないでしょうか。
次のアイシャドウ・リップとともに、色選びが重要な箇所です。
なにかの意図がない限り、色相環の上に収まる範囲(オレンジ〜ピンクと思うとわかりやすい)から選ぶのがよいです。
赤を基準として黄色寄り(オレンジ)にするのか、青寄り(ピンク)にするのかで好みが分かれますね。
アイシャドウ・リップ
これを塗るかどうかでかなり印象が変わります。
幼い印象を出したいなら逆に塗らないほうがいいパーツかもしれません。
基本はぼかしですが、詳しい塗り方は次項で説明したいと思います。
色は、イラストならチークと揃えるか、肌のベースと同色相のものがいいでしょう。
現実なら配色はもっと悩むところなのですが、イラストだと色がばらばらすると統一感がなくなってしまいかねないので……。
実際にやってみよう
実際にこの線画を塗っていきましょう。
まず、影(シェーディング)とハイライトです。
各画像の上がbefore、下がafterです。
すごくわかりづらいですね。各自画面とにらめっこしてください[4]。
ぶっちゃけ、わかりづらい程度に留めておいたほうがいい気がします。
太めのペンで色を置いて、境界が目立つところはあとからぼかしています。
ハイライトは後で盛りますよ。楽しみ〜。
次に、チークです。
せっかくなので、二人で色に差をつけてみました。
大きめのエアブラシで二、三回、ほっぺたの中央をつつくようにするといい感じに色が乗ります。
アイシャドウです。
これも二人で塗り方を変えてみます。
左上、右上、左下、右下の順です(これまたわかりづらい)。
わかりやすいように、チークには一旦非表示になってもらいました。
現実のメイクに忠実にするなら、まず上まぶた全体にベースになる色をエアブラシで乗せます(二枚目)。
次に、二重線と睫毛の間に一段階さらに濃い色を置きます(三枚目)。
ここからはお好みなんですが、この子は睫毛の際にさらに濃い境界線を引いて、ハイライトの部分に明るめの色を置きました(四枚目)。
ここまで細かくしなくても、二枚目みたいにエアブラシでぽんと色置いて終わりにしたり、三枚目みたいに濃い色引いて終わりにしてもいいと思います。
この子も基本の手順は一緒ですが、目頭から目尻にかけて色が横向きのグラデーションになるようにしてみました。
こうすると目尻が強調されて目が大きくみえるだとかなんとか。
四枚目では、下まぶたに明るい色を入れています。その下にちょびっとだけ濃い色の線を引いています。要するに涙袋メイクとやらです。
涙袋メイクがわからない人はググって見てください。
イラストだと場合によっては元々大きい目がさらに大きく見えて気味悪くなったりするので、加減を見つつどうぞ。
リップです。
上の用にがっつり塗っちゃってもいいんですが、ケバく見えがちなので、下のように下唇のみに色を乗せるといい感じになります。
今まで塗ったレイヤーをすべて表示すると上のようになります。
ノリノリで塗ってると濃くなってしまいがちなので、適度に透明度を調整しましょう。
あとからいくらでも修正がきくのがいいですね。
メイク塗りはいいぞ
この手順をそれっぽく真似していただければ、いい感じのメイク塗りが出来るのではないかと思います。
各自、自分の絵柄との相性を考えつつ研究してみてください。
メイク塗りが広まってくれると嬉しい限りです。
ちなみに、落書きで線だけ描いていてめんどくさくなってもう終わりにしたい〜ってこと、あったりしません?
一色だけでぱぱぱっと影だけつけて落書き完成!ってことにしちゃうことが私はよくあるのですが、このときにメイク塗りの心得があるとこんな感じになります。
まともに色塗ってないですがかわいいのがバチバチに伝わります。すごい。
もうこれで完成でいいや。
え?せっかく説明用に塗っていたのがもったいないって?
そうですね……ということでカラーバージョンも用意しました。
かわいい。
メイク塗りはいいぞ。
明日の担当者は Hmcmch さんです。お楽しみに!
せっかく楽しくお絵描きしているんだから自分の絵はどんどん褒めていこうというスタンスです。かわいい。 ↩︎
これは絵柄によって個人差が出るところです。髪色の薄いキャラの睫毛を外縁のみ線画で描いて、中を髪色で塗る場合もあります。
また、最近はあえて黒目の縁を線画で描かずに塗りでぼかす描き方が流行していたりします(本記事最初のイラストもこの手法を採用しています)。 ↩︎「シェーディング 位置」なんかで検索すると、こんな感じで人間の顔の上に丸が書かれた画像がたくさん出てきます。見慣れましょう(?)。 ↩︎
私は色にとてつもないこだわりがありまして、後からだとにらめっこしないとわからないような色の差で悩み続けるのが日常茶飯事です。 ↩︎