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2018年11月20日 | ブログ記事

いい感じのコード進行の紹介【アドベントカレンダー2018 27日目】

この記事はtraPアドベントカレンダー27日目の記事です。

こんにちは。18のTom-iです。とまいと読んでください。
僕はプログラミングとかゲームの話はできないので代わりにサウンド班っぽい話をしようと思います。
題名の通りいい感じのコード進行の紹介をします。


11/20:誤植を訂正しました。

準備

いい感じのコード進行の紹介をする前に、そもそもコードとかコード進行について何も知らない人のために簡単な説明を入れようと思います。

今回の記事の主旨は音楽理論の難しい話をすることではないので、音楽を何もやっていない人でもわかるような最低限の説明しかしません。
それでもそこそこの分量があるので、既に色々知ってる人やめんどくさい人は飛ばしちゃってもいいと思います。

それではやっていきましょう。

1.コードってなんですか

traPの人にこう言うとほとんどはプログラミングの話か??となりますが、今回取り上げるのはcodeではなくchordの方です。

コードとは、日本語でいう和音のことです。
そして和音というのは、音の高さの異なる音が複数個同時になっている音のことです。極端な話ピアノの鍵盤を手のひらでバーンと押したときに鳴る音も和音です。

ピアノの鍵盤を手のひらでバーンと押したときに鳴る音

でもピアノの鍵盤を適当に叩いて鳴らす音はあまり綺麗には聞こえません。コードには綺麗に聞こえるいい感じの音の組み合わせのものと、そうではないものがあります。

次に紹介するコードはいい感じのコードの一例です。いい感じのコードはいい感じの響きがするためよく使われます、よく使われるので名前がついています。名前のつけ方には規則がありますが、今回説明は必要はないので省きます。興味がある人はこのサイトに飛んだり、「コードネーム 音楽」でググったりしてみてください。

----------2018-11-15-14.44.19

CとかC#m7とかっていうのがコードの名前です(言語ではない)。それぞれこういう音がします。

C

C#m7

いい感じに聞こえますね。

Cっていうのはドのことです。ド/レ/ミ/ファ/ソ/ラ/シがC/D/E/F/G/A/Bに対応しています。
なんでドがAじゃなくてCに対応してるかというとこういうことなんですね。気になる人は読んでみてください。

2.コード進行ってなんですか

コードの説明は終わりました。続いてコード進行の説明をします。

みなさんが普段聞くような曲ではいろんな楽器が様々ないい感じのコードを鳴らしています。
このときの曲中でのコードとその並び順のことをコード進行と言います。

このコード進行ですが、別にいい感じのコードをサイコロを降って適当に並べている訳ではありません。いい感じのコード進行は、いい感じのコードがいい感じの並び順になることで初めて生まれます。下のコード進行はもっとも基本的なコード進行の一つです。

----------2018-11-14-23.29.26

こんな風に聞こえます。

解 決
し た

いい感じに聞こえますね。保育園とかでお辞儀するときのアレです。

「コードのいい感じの並び順」には規則があったりするんですが、ここでは話しません。気になる人はこのサイトに飛んだり「コード進行 規則」でググったりするといいと思います。僕はよくわかりませんでした。

3.調ってなんですか

「ハ長調」「ト短調」だとか「転調する」なんていう言葉を聞いたことがあるかもしれません。

多くの曲は特定の音階上の7つの音を基本の音として用いています。いわゆる「ドレミファソラシ」の7つです。あくまでも基本の音なのでそれ以外の音を使うこともあります。
この7つの音の属する特定の音階のことを調と言って、「この曲の調はハ長調」みたいな言い方をします。

例えばさっきのお辞儀のテーマの調はハ長調、英語でいうとC majorです。
楽譜に書いてある音名を見てみると、ハ長調の音階の構成音であるド/レ/ミ/ファ/ソ/ラ/シの7つの音のうちのいずれかしか使っていないことがわかります。
ちなみにハ長調・ト短調などのイ/ロ/ハ/ニ/ホ/ヘ/トはA/B/C/D/E/F/Gと対応しています。このイロハ表記は調の話のときしか出てきません。ややこしいのでこれ以降は英語表記を用います。

ここで突然ですが、このお辞儀のテーマの調を高くしてみましょう。カラオケでいう「キーを上げる」です。
今回はキーを2上げてみます。キーを上げると当然全部の音が高くなるので、コードも変わります。こんな感じです。

----------2018-11-15-00.41.06

調がD majorとなりました。こんな風に聞こえます。

コードが前と変わったからと言って、いい感じのコード進行であることに変わりはありませんね。これは当たり前で、実際カラオケでキーを上げ下げしても普通に歌えます。
実はコードというのは、コードを構成するそれぞれの音同士の間隔が守られてさえいれば、音が変わってもいい感じのままとなります。だから構成音全てをまとめて高くしたり低くしたりする分には問題ないんですね。

ここまで長々と調の話をしてきたのはなぜかというと、このあとコード進行を紹介していくときに次のような表記をするからです。

I | V7 | I

このローマ数字はそれぞれ任意の長調の音階の1番目〜7番目の音に対応しています。
つまりこのコード進行はC majorだとどうなるかというと、C majorの音階の構成音はC/D/E/F/G/A/Bなので

C | G7 | C

D majorだと、音階の構成音はD/E/F#/G/A/B/C#なので

D | A7 | D

となるわけです。

言い換えると、上の2つのお辞儀のテーマのコード進行は調こそ違うけれどどちらも同じ「I→V7→I」のコード進行をしてるわけですね。
こういう相対表記を使うと調が違う曲同士でも共通のコード進行があるのが浮き彫りになってわかりやすいです。

準備完了!

おさらいすると、

これさえ把握してもらえればこのあと何言ってるかはだいたい分かると思います。

ちなみにオレスタさんが夏のブログリレーでここら辺の話をめちゃくちゃ詳しいところまで説明しているので、もっと踏み込んだ内容が知りたい人はChapter4~7あたりを読むといいと思います。

いい感じのコード進行の紹介

本題です。よくあるコード進行や、個人的に好きなコード進行を実際に使われている楽曲と共に紹介します。
曲の試聴用にいろいろ埋め込んでるんですが、スマホだとたまに再生できないことがあります。すいません。

予めtraPのメンバーに「好きな楽曲を教えてください」とアンケートを出したので、そこで回答頂いた曲のコード進行もいくつか紹介したいと思います。ちなみに86件も回答が来ました。ありがとうございます。
全部紹介は申し訳ないけど無理なんですが全部耳?は通しました。

紹介する楽曲のうち募集したものは斜体にしてあります。


※コードの相対表記に関してですが、「いい感じのコード進行を紹介して、そのコード進行のある曲を紹介する」というのが今回の記事の目的なので、短調の曲でも平行調の長調として扱って表記する場合がありますがそこらへんは上手く察してください。例えばこの曲どう聞いても短調だからマイナースケールでIm VI III VIIなのにメジャースケールでVIm IV I V扱いされてる!みたいなことがあります。
※わかりやすさのためにコードは三和音に限定しています、なのでセブンスとかは出てきません。パワーコードなんかも全部独断で三和音に落とし込んでいます、厳密にいうとそれ〇〇じゃね?みたいことがあると思いますが大目に見て欲しいです。

王道進行「4536」

IV | V | IIIm | VIm

これは本当にめちゃくちゃよくあるやつです。アニソン・JPOPで特に多くて、楽曲例見ればあっこれかぁ!ってなります。
めちゃくちゃよくあるやつだけど僕は好きです。Iが出てこないのがポイントですね。
よくありすぎてマンネリ感があるので一部に採用したりちょこちょこ違うコードを挟んだりすることもあります。

楽曲例

まだいくつかあったんですが、多過ぎたのでこれくらいにします。

671系

VIb | VIIb | Im | ◯

数字の後ろについてるbは♭のことです。一々♭の記号を打ち込むのがめんどくさいのでこういう表記をすることがあります。

かっこいい感じ・切ない感じの曲になります。クラブミュージックなんかでもよくありますね。
これも単純なのでよくあるんですが、Imの後の◯に持ってこられるコードがたくさんあるので4536みたいにがっちり定まっておらず汎用性が高いです。

VIb | VIIb | Im | Im

Imを伸ばしただけですがシンプルにいい感じになります。Im(というかI)はずっと伸ばしてるだけでもいい感じになるコードなので。

VIb | VIIb | Im | Vm

これもシンプルにいい感じですね。

VIb | VIIb | Im | VIIb

VIIbを行ったりきたりするやつです。

VIb | VIIb | Im | III

ちょっと明るくなります。なんで明るくなるかというと、この最後のIIIが別の平行調であるところの長調のIだからなんですが、詳しい話は「平行調」とかでググってください。他のよくわかってる人の説明の方が絶対わかりやすいので。

VIb | VIIb | Im | VIdim

ちょっと不穏な感じになって個人的にめっちゃ好きなんですが、あまり曲を知りません。知ってる人がいたら教えてください。
さっきもチラッと出てきましたがdimは「ディミニッシュ」っていうコードの一種です。

楽曲例

お手軽エモ「3456」

I/III | IV | V | VIm

I/IIIっていうのはIのコードのルートをIIIにしたコードです。Iだと下から順にドミソだったのがミソドになります。

なのでこれはルートが3456と上に上がっていくコード進行です。お手軽にエモいです。イントロとか間奏だけこれ、みたいなのが多いイメージがあります。
ネットの情報によるとRADWIMPSが多用しているらしいです。

楽曲例

小室亜種「6415」

VIm | IV | I | V

アンケートの曲で一番多かったコード進行です。
小室進行っていうさっきの王道進行と同じ定番コード進行をちょっといじったやつです。

小室進行っていうのは VIm | IV | V | I というやつで小室哲也さんが作る曲でよく使われていることからこう呼ばれています。こういうやつです。

Get Wildが聞こえてきますね。千本桜のサビとかもこれです。

VとIを入れ替えるだけで意外と雰囲気が変わります。

楽曲例

クロペン進行

Im | VIm | VIb | VIIb

クロペン進行は僕が勝手に名付けたやつで、このコード進行を初めて認識したChrono Diver -PENDULUMs-が由来です。VImが独特の感じを出していてめっちゃ良い。
使ってる曲を全然知らないんですが音ゲー曲にありがちなのかもしれない。

楽曲例

丸サ進行

IV | III | VIm | ◯

丸サ進行も勝手に命名したやつで、丸ノ内サディスティックが由来です。とてもオシャレです。

これにセブンスとかテンションコードマシマシにしたのをシンセにやらせとけばFuture感が出ます。個人的に大好きなコード進行です。

これも671同様、◯に入るのが色々あります。

楽曲例

おわり

他にも無数のコード進行があるんですが、わかりやすいのはこの辺りだと思います。他にもたくさんあるので、これとこれ一緒だ!みたいなのがあるか普段から探してみると楽しいです。

曲の種類(歌モノ、クラブミュージック、ゲーム音楽)によってコード進行が全然違うのがわかって面白かったです。
歌モノとかクラブミュージックはどちらかというと同じコード進行を繰り返す傾向にあるんですが、ゲームのBGMだと展開がどんどん変わっててその都度新しいコード進行になる、みたいなのが特に最近のものだと多かった気がします。普段ゲーム音楽と縁があまりない(サウンド班のくせに)のでへぇ〜となりました。

反省点ですが、コードの表記でIの音をメジャースケール基準にするかマイナースケール基準にするのかが曖昧だったのでそこらへんを統一すればよかった。曲を聞いてコードをメモしていたんですがそこら辺がごちゃごちゃなので自分で見てもわかりにくかったです。
あとは埋め込みがYoutube/Spotify/iTunes Store/Apple Music/SoundCloudとバラバラになってしまったんですがご容赦ください。

traPのメンバーから募集した曲の一覧もそのうち貼っておきます。


明日の担当はnreopigsさんとAniieさんのお二人です。
お楽しみに!

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この記事を書いた人
Tom-i

DTMをしています

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