この記事はtraP Advent Calendar 2021 28日目の記事です。
はじめに
みなさんは、ドイツと言えば何を思い浮かべるだろうか?
ソーセージと答えたそこのあなた、正解である。ドイツでは、至るところでソーセージを食すことができる。
確かに、どれも旨い。人工的な匂いの一切ない香ばしさは、日本の屋台で食べるそれとは一味違う。ドイツのスーパーのソーセージ売り場の広さは、日本のスーパーの魚売り場を想像してもらうと分かりやすいだろう。
しかし、である。油断していると、週5日ソーセージを食す羽目になるのがこの国だ。学食に行けばソーセージ、クリスマスマーケットに行けばソーセージ、家に帰ればソーセージ......。
そんなとき、一筋の光が現れた。なんと天下の日清、そして味の素が海外向けにカップ麺を売っているではないか!? カップ麺好きの筆者として、これを見逃すわけにはいくまい。
前置きが長くなった。この記事では、ドイツに留学している筆者が現地のカップ麺を実食し、「ドイツのカップ麺王」を決めようと思う。なお、筆者の味覚はそれほど洗練されていないことに注意されたい。その気になれば3回の食事をペヤングで済ませることができる口である。
それでは早速始めよう。一番旨いのは、ドイツだ!?
前編:味の素
エントリーNo.1 クラシック(味の素)
まずは王道、クラシックから食す。クラシックというのは、いわゆるソース焼きそば味である。
なお見て分かる通り、写真の撮り方が雑な点はご容赦いただきたい。
一口目の感想としては、旨い。味としてはペヤングに近いだろうか。なかなかいい感じである。
ただし、日本のものと比べると味がやや濃く感じる。また、具だくさんに思うのも私だけではないだろう。ただ、全体的な完成度は想像を超えてきた。総評としては、まずまずである。
おすすめ度:★★★★★☆☆☆☆☆
エントリーNo.2 テリヤキ(味の素)
二番手はテリヤキ。日本発のテリヤキはアメリカを始め、世界中で人気があるそうだ。ここドイツでも例外ではない。テリヤキとカップ麺の奏でるハーモニーはいかに。
うむ、いいぞ! なかなかに照り焼き感が出ている。疑念を込め、あえてカタカナで表記した無礼を侘びたい。これは文句なしに照り焼きといっていいだろう。
おすすめ度:★★★★★★★☆☆☆
エントリーNo.3 醤油(味の素)
お次は醤油味である。筆者は元々醤油ラーメンがそこまで好きではないのだが、味の素の醤油ラーメンはどうだろうか。クラシックに引き続き、期待の高まるところである。
うーむ......。味、しなくね??? 筆者の鼻が詰まっているだけだろうか。お湯につけた乾麺をすすれば体験できる、そんな味である。
おすすめ度:★★★☆☆☆☆☆☆☆
エントリーNo.4 チキン(味の素)
チキン味である。日本でチキンラーメンというと日清のイメージが強いが、味の素も健闘しているだろうか。
可もなく不可もなく、といったところだろうか。なんというか、味は確かにチキンなのだが、醤油ラーメンと同様にかなり味が薄い。旨味の母、味の素としては少々ガッカリな結果である。ただ、健康には良いだろう。
おすすめ度:★★★☆☆☆☆☆☆☆
エントリーNo.5 豚骨(味の素)
お次はこちら、とんこつラーメン。筆者、そして全国の大学生が愛してやまない国民食である。豚料理・シュニッツェルでも有名なドイツ、結果はいかに。
ダメ! これも味が薄い!! 確かに血圧や体型を気にする人には嬉しいテイストだろう。しかし、違うのである。我々がとんこつラーメンに求めているのは脂質と塩分であり、健康的な食生活と美しいくびれではない。親方の笑顔には申し訳ないが、ここはあえて厳しい評価を下させていただく。
おすすめ度:★★☆☆☆☆☆☆☆☆
エントリーNo.6 カレー(味の素)
どんどん参ろう。次は味の素から出ているカレー味である。カレーといえば小学生の好きな給食メニュー堂々一位、世界で最も愛されている食事と言っても過言ではない。そんなカレーとカップ麺が運命的な出会いを果たしたのだ。
う、うまい!!!!! これはガツガツいける。そう、私が求めていたのはこれである。この人工的なカレー味と、程よく縮れた麺。不健康の具現ながら、カップ麺としては最高の出来である。申し分なし。
おすすめ度:★★★★★★★★★★
エントリーNo.7 ビーフわさび(味の素)
実を言うと、この記事に登場するほとんどのカップ麺はドイツに到着後、1ヶ月も経たないうちに食べていた。そんな中で、到着後3ヶ月前後に初めて遭遇したレア物がこちら、ビーフわさびである。大型スーパーREWEでも入手しづらい新星の実力はいかに。
ううむ。牛肉とわさびというとイメージしづらいかも知れないが、ローストビーフにわさびをつけて食べることはないだろうか。そんな味がする。悪くはない。悪くはない......のか? これ、ただのわさびじゃね?
おすすめ度:★★★★☆☆☆☆☆☆
後編:日清
エントリーNo.8 クラシック(日清)
ドイツのカップ麺王選手権も折り返し地点である。ここからは味の素ではなく日清製のカップ麺について紹介していく。まずは王道、クラシックからである。
安定の味である。味の素のクラシックに引き続き、かなり旨い。強いて言うなら筆者の地元のスーパーでは味の素のものよりもやや値段が高いのが欠点であるが、味はかなりの上出来だろう。
ただし、味の素のものよりもさらに味が濃い。キャベツがフタの裏にくっつくのもマイナスポイントである。
おすすめ度:★★★★★☆☆☆☆☆
エントリーNo.9 テリヤキ(日清)
もはや世界中で愛されてやまないテリヤキ。味の素発のテリヤキはレベルが高かったが、日清はいかに。
な、なんだこれは。口に入れた瞬間、鼻をつくような生姜の香りが広がる。これは誰が食べても十中八九、「生姜味」と答えるだろう。天下の日清は照り焼きの味を忘れてしまったのだろうか。照り焼きを期待して食べた筆者としては衝撃的な味であった。
おすすめ度:★★★☆☆☆☆☆☆☆
エントリーNo.10 北京ダック(日清)
「北京烤鴨」と書いて北京ダックと読むらしい。北京ダック味とはいささか想像し難いが、果たしてどんな味なのだろうか。
ぐぬぬ。確かに北京ダックではある。北京ダックではあるのだが、横浜中華街の1500円ぐらいの食べ放題で食べるような、そんな北京ダックの味がする。妙に食感が北京ダックに近いこともあり、麺のブヨブヨ感もそれに拍車をかけているのだろう。実は売り切れが多くかなり入手しづらかったが、レアだからといって旨いわけではないらしい。
おすすめ度:★★★☆☆☆☆☆☆☆
エントリーNo.11 焼き鳥(日清)
焼き鳥味のカップ麺も想像し難いだろうが、焼き鳥のタレでカップ麺を作ることを想像してもらえれば分かりやすいだろう。真っ青に塗られたパッケージからは若干の地雷臭もするが、結果はいかに。
む......!?!? むむ!?!? 旨いではないか! 焼き鳥の香ばしさ、炭焼の雰囲気を完膚なきまでカップ麺に落とし込んだ、泣く子も黙る渾身の一撃である。やるじゃないか日清。これにはかの安藤百福もニッコリだろう。向こう数ヶ月、筆者の食生活の一端を担うのは間違いない。
おすすめ度:★★★★★★★★★★
エントリーNo.12 すき焼き(日清)
そろそろカップ麺王選手権も終盤に差し掛かってきた。お次はエントリーNo.12、すき焼きの登場である。
なるほど、確かに言われてみればこれはすき焼きである。酒の風味がかなり強いのは否めないが、それでも十分すき焼きとして成立しているだろう。ドイツのカップ麺は例外なく具だくさんであったが、すき焼き味に関しては特に肉へ力が入れられていたのも特筆に値する。焼き鳥の直後でやや輝きは霞むものの、なかなかハイレベルな逸品である。
おすすめ度:★★★★★★★★☆☆
蛇足だが、筆者はここにきて「お湯の前にソースを入れる」という、カップ麺選手権主催者としてありえない失態を犯してしまった。無論新たなすき焼き味を求め再びスーパーへ舞い戻ったわけだが、こちらのほうがむしろすき焼きらしさはあったかもしれない。
エントリーNo.13 チリ(日清)
お次はチリ味である。「チリ」と聞いても何のことかさっぱり分からなかったが、なんとなくパッケージから辛そうなことは伝わる。カラムーチョのホットチリ味のような、そんなものを想像すればよいのだろうか。
こ、これは辛い。想定していた辛さを2段階ほど上回る辛さである。ただ、獄辛ペヤングのように突き抜けて辛いというわけではなく、十分食べることのできる辛さでもある。トマトの風味がやや強く感じたものの、辛味が好きな人には嬉しいテイストだろう。
おすすめ度:★★★★★★☆☆☆☆
エントリーNo.14 カレー(日清)
さて、華々しくカップ麺王選手権のトリを飾るのはこちら、カレー味である。味の素のカレー味はスナック菓子のような風味で高評価だったが、日清は上回れるだろうか。
確かにジャパニーズ・カレーの言わんとすることも分かる。味の素のカレー味が人工的なカレー味であったのならば、こちらは家庭の味である。大きめにカットしたじゃがいもや人参を一晩鍋で寝かせたカレーの味、といったところだろうか。目を閉じて食べればさながらそこは実家、食卓からは家族の笑い声さえ聞こえよう。
おすすめ度:★★★★★★★☆☆☆
総評
これにて全14選手が出揃った。果たして、ドイツのカップ麺王の座はいかに...!?
栄えある一位はこちら! 日清・焼き鳥味に贈ろうと思う。
焼き鳥のタレとカップ麺が織りなすハーモニーに感激したことはもちろん、炭火焼きの雰囲気を余すところなくカップ麺に落とし込んでいたのが受賞理由である。これには日本で数々のカップ麺を食してきた筆者も素直に感動した。
また、フェアプレーでここまで戦い抜いてくれた他の13選手にも拍手を贈りたい。今後さらに各々が磨きをかけ、再びカップ麺王選手権の舞台に舞い戻ってくることを期待する。
おわりに
カップ麺王選手権、いかがだっただろうか。ソーセージとコーヒー、そしてここに紹介したカップ麺たちが現在の筆者の食生活を彩っていると言っても過言ではない。
なお、今回紹介した商品はあくまでも味の素や日清が欧州全体に向けて展開している商品であり、厳密には「ドイツのカップ麺」とは異なる点に注意されたい。筆者の知る限りでは、純粋なドイツ企業が展開しているカップ麺というのは見つけることが出来なかった。
みなさんも、渡独の暁には是非ドイツで売られているカップ麺を手にしてみてはいかがだろうか。
次回のアドベントカレンダーは@d_etteiu8383、@Uzakiがお届けします。