ICPCはいいぞ。参加するもよし、裏方で準備するもよし。
コーチの存在
この記事を読んでいる人はICPCがどんなものかはご存知だとは思いますが、一応説明しておくとICPC(国際大学対抗プログラミングコンテスト)は競技者(Contestant)3人からなるチームを結成し制限時間内に出された問題をどれだけ早く、ミスなく多く解けるかを競うワールドワイドなプログラミングコンテストです。
ICPCでは3人の競技者の他にもコーチ(Coach)という役割の人が必要で、インターネット予選では不正を行っていないかを確認する監督員が必要となります。コーチは大学院生以上の学生がなることができ、コーチは競技者と兼ねることはできないが、コーチが教員の場合、コーチは監督員を兼ねることが可能です。
コーチがやることは主に、登録作業、運営委員会から来るメールを競技者に情報伝達することです。チームによってはオンサイトの大会に出場するために宿泊が必要となるのでその手配などもコーチの仕事といえるかもしれません。
国内予選まで(~7/7)
コーチが決まるまで
ICPCのルールで1人あたりWFは最大2回まで出られるというルールがあり、ちょうど2回WF出場した@tatyamはICPCを知り尽くしているためコーチにもってこいの人物でしたが、「コーチは大学院生以上」の条件を学部生の@tatyamは満たさないので別の人を探す必要がありました。
コーチを探しあぐねているアルゴリズム班の重役の横を通りかかったら、なんとガン飛ばされてしまいました!
僕自身ICPCは過去に何回か参加したことあるので全くわからないわけではなかったし、コーチとはいえやることは大会の参加登録や引率であることはある程度知ってたので、ICPC有識者からその他コーチに関する情報を集めて売られたケンカを買うかどうか考えました。
コーチをやらない理由を考えた結果、「成績次第で海外遠征があり得るため、秋冬の研究スケジュールとコンフリクトする可能性があること」が出てきました。海外遠征はあくまでも可能性の話だったので、一番重要な11月のAsia Yokohama Regionalはスケジュールと相談した結果なんとかなりそうだということがわかりました。
余談ですが、B1のときに周りの影響で競技プログラミングを始め、約1年競技プログラミングにはまってABC4問時代にAtCoder 水色になって満足してしてフェードアウトしたため、オンサイトコンテストに出たこともないし、オンサイトコンテストに出られるくらいの実力を持っているわけでもありませんでした。にも関わらずプロコンのオンサイト等で配られるTシャツ、特にICPCのTシャツ欲しいなという気持ちがあったので実力以外の方法で合法的にオンサイトプロコンTシャツを手に入れられる手段を探し続けていました。そんな矢先に、ICPCコーチというオンサイトプロコンに参加できる合法的手段があっちから舞い込んできたのです。
というわけで、売られたケンカはなんとこちら側にメリットがあったので、買わない理由がありませんでした。取引成立。ICPCのTシャツに釣られてコーチになったというわけです。
コーチ決定~国内オンライン予選
めでたくコーチになったので、ICPC参加者を募ったり情報収集のためにX(当時Twitter)を再開することにしました。(諸事情で長いことTwitterから離れていた。)
サークル内ですでにICPCメンバー募集はされていたので、東工大かつ弊サークル所属ではない人を募集を何らかの方法で行う必要があったのでTwitter上でしたのですが、結局1人も集まりませんでした。とはいえ、サークル内とサークルメンバーの知り合いだけでなんと36人12チームできました。すごいね。
チームができたら、ICPCに選手個人の情報登録とチーム登録を行うのですが、このICPCの登録フォームは分かりにくく、回答漏れが多発することで悪名高いので、適宜選手に回答漏れを埋めてもらう作業をしてもらいチーム登録を完了させます。
コーチを引き受けてしばらく、自己管理が得意な人でもないのに、ましてや他人のマネジメントなんて…と思っていました。しかし、ぶらさげた人参(ICPCのTシャツ)の威力はすさまじく、オンライン予選で使用するアカウントのパスワード/IDのペアのチームメンバーへの伝達や選手情報の確認などミスが許されない状況で、メールの文面で送るチームを自動で振り分けするといったヒューマンエラーを減らす工夫を積極的に行うなど、自分では信じられないくらいスムーズにことをこなすことができました。
ICPCオンライン予選と、その前に有志(ICPC OB-OGの会)によって開かれる模擬国内予選は競技開始直後の問題文印刷と問題文運搬リレー以外は特にすることがなく、あとは適宜競技者が不正行為をしないかの見回りを行うくらいです。本を読んだり論文読んだりして暇をつぶします。
Yokohama Regional まで(~11/26)
国内オンライン予選後~Yokohama Regional前
オンライン予選は7月で、夏休みを挟んでしばらくした後にYokohama Regionalが開催されます。その前に交通費申請やチーム紹介などのコーチ、選手が回答しないといけない提出物が不定期で生えてくるのですが、夏休みを挟んでいるせいか頭から完全に抜けてたり、メールの定期的確認をサボりがちになったりするので、気をつけましょう。
8月はこのことを完全に忘れていて、9月の真ん中くらいにようやく他国のRegionalの情報収集をしていたらAsia Taoyuan Regionalの申込みがとっくの前に終わっていたことに気付いてしまった…
今年はTaoyuan Regionalが他地域に比べて一足早く開催されていること、そしてSeoul RegionalがYokohama Regionalと被っていることと相まって、近くて手頃なRegionalへの参加はできませんでした。
Yokohama Regional 1日目
Regionalは2日に渡って開催されるのですが、初日は受付とオープニングセレモニーとリハーサルで確認作業がメインです。
グローバルスポンサーであるJetbrainsの広告がずーっと流れており、うるさいようでリズム感がクセになってすっかり洗脳されてしまいました。
コーチは選手と同時に本人確認をして競技場に入って「DO NOT STEP ON THE CABLE!」の洗礼、配布物の確認、Tシャツの着用、写真撮影をします。
東工大全チームのコーチをしていたので、それぞれのチーム写真撮影のために会場内をまわるをする必要がありました。しかも、4チームきれいに四隅に近いところに配置されていたせいでとんだ長旅となりました。ホスト校なのに、まるで外様大名のような配置です。
Yokohama Regionalにおけるコーチのメインの役割は引率なので、それが終われば後方腕組みするか、JAGスタッフや設営バイトスタッフ、同校のチームメンバーと話したりXアカウントと顔を結びつける作業するくらいしかすることがなくなります。
性質上、競技プログラミングという競技が全部オンラインで完結可能なため、仮想の存在とすら思っていた競プロ界隈の有名人やキレ芸芸人の動いている姿を目の当たりにして感動に似たものを感じました。(咲-Saki-に出てくるネット麻雀伝説プレイヤーの「のどっち」みたいな感じ)
Yokohama Regional 2日目
2日目が本番で、5時間にも渡る長丁場の戦いがあるため、必然的に朝早くから始まります。1限が始まる前から受付が開始されるというベリーハード仕様。
コーチの2日目は競技場とは異なるところに競技中幽閉されます。ICPCはワールドワイドな大会のため、日本開催、参加者のほとんどが日本人であっても基本的に英語が話されます。なので、コーチ控室でのお困りごとをICPCスタッフに英語で問い合わせたところ、「ここでは日本語でいいですよ」と言われた。しょうがないね、英語難しいもんね。
約5時間の幽閉期間中、途中で印刷された問題文がや弁当が出されるため、配られた問題を考察して時間を潰したり、並行生放送を視聴したりできるのでそこまで手持ち無沙汰にはならないです。
今年は、1位がWF確定、2位以下で1位の大学以外の大学所属チームがPlayoff出場権を獲得して残りのWF枠をかけて競う方式のため、Playoff進出のために大学別ランキングを少しでも上げることが重要なため、1位争いだけでなく、8完~10完チームの争いも非常に盛り上がりました。
競技後、出題者による問題解説や順位表彰などが行われ、懇親会という名の感想戦やスポンサー企業との交流が行われました。懇親会でリアルchokudaiさんを見て、コーチやって横浜来た甲斐あったなと感じました。
知り合いのいる他大チームや関わりのあるスポンサー企業のところにおじゃましたり、ICPC運営のお偉方と話したりして、来年以降もコーチではなく、JAGスタッフとしてICPCを盛り上げるモチベを高めていました。
Yokohama Regional 以降
Yokohama開催後に残っているヴェトナムとインドネシアのRegionalの結果次第でPlayoffがどうなるか決まると思われます。
今回のYokohamaの2位以下のいくつかの東大以外のチームは、2024年2月にヴェトナムで開かれるPlayoffの出場権を獲得する場合、海外遠征する可能性が出てくるので、今はただ「2月の修論発表以降に開催してくれ!」と祈るばかりです。
おわりに
「ICPC Tシャツ欲しさ」だけをモチベにICPCのコーチを引き受けたわけですが、大きなミスもなくコーチの仕事をすることができました。西崎先生をはじめとするICPC・東工大・IISF関係者、ちょっかいに応じてくれたチーム、オンサイトの設営・運営を行っていた東工大設営スタッフ、JAGスタッフ、スポンサー企業の方々ありがとうございました。
おかげさまで、無事灰色のICPCのTシャツを手にすることができました。
Playoffとコーチ引き継ぎ資料作成があるのでまだまだコーチの仕事は残っていますが、一段落したかなと思います。