先月頂いたISUCON本を部内ISUCONで実践してみた感想です!
@oribe
部内でISUCON初心者向け講習会(ISUCON初心者向け講習会を開催しました | 東京工業大学デジタル創作同好会traP)を開催するにあたってISUCON本を参考にさせていただきました。
主に以下の用途で大変役に立ちました。
計測ツールの使用目的と使い方の説明
「ISUCONでは大体これをこんな感じで使う」という知識はあっても、「なぜ/どのように使うのか」の説明が上手く用意できませんでした。
本書の丁寧な解説により自身の漠然とした知識を整理し直すことができました。
また、そのツールを初めて使う人に伝えるべき情報を確認することができました。
改善のデモにおいて必要な情報
講習会の中ではハンズオン形式で実際に改善を行いました。
実際に計測を回してその分析をしてから改善を入れる、という一連の流れを参加者に体験してもらうために、「計測結果からどのように情報を読み取るか」という説明をしっかり行う必要がありました。
本書に多く記述されている「計測結果に対しての解説文」は、ただその計測結果を理解するだけでなく、計測結果の考察の仕方やその伝え方を学ぶ上でもとても有用でした。
@logica
こんにちは。去年のISUCON以来ISUCONに取り憑かれている人です。
ISUCONライクなイベントに色々参加し、ついには作問として運営に関わりたいとまで思うようになってしまいました。
そんな人間の目線で、ISUCON本の書評を軽くまとめさせていただきます。
ISUCON本のここがイイ!
知識の裏付けをしてくれる!
traPは昔からISUCONに参加しているメンバーがいて、部内で「秘伝のタレ」として伝わっている知識があります(カーネルパラメーターなど)。
今まではそれを脳死でコピペして、手探りで変更・実験していましたが、ISUCON本では紹介された手法や設定がそれぞれ何を意味するか、それによって何が変わるかを一つ一つ徹底的に解説してくれています。
これまでも根本からの理解を目指してはいましたが、勘で変えていた設定・適応していた手法はいくつかあり、それらのメカニズムの理解をISUCON本が補強してくれました。
実際のサービスの運用でも使える!
「ISUCON本」だからISUCONに特化していると思われるかもしれませんが、SNSでも多くの人が話しているように、そんなことはありません。
ISUCONは超エクストリームなシチュエーションを扱います。最近の大会は大体8時間しかないので、立派なモニタリングツールを導入したりベンチマークテストを設計する暇はありません。
改善手法に関しては実際の運用で使えますが、主に負荷調査とモニタリングに関する部分は時間の都合上、あまり継続的とは言えないものをよく使います。それでは実際の運用で使えませんね。
ですが、ISUCON本では実際の運用で使える負荷調査とモニタリングについても、改善手法と並んでかなり詳しく解説してくれています。
今チェックすべきモニタリングツールやベンチマークテストに使えるツール、どのような思考をもってベンチマークテストを設計すればよいのか等、実際の運用に使える知恵が盛りだくさんです。
かく言う僕もモニタリングツールについて知識が無くて「何を使えばいいんだろう?どんな選択肢があるんだろう?」と「何がわからないのかわからない」状態でしたが、実際にこの領域で働いている人の知見を得たことで、検討する糸口が掴めました。
これ1冊あれば負荷調査から実際の改善までマルっとわかる(最低でもわかるための糸口が掴める)、非常にバランスの良い本に仕上がっていると感じています。
ニッチな需要にも対応!
先程言及した通り、僕はISUCONの楽しさが1周回って、作問として運営に回りたくなってしまった人間です。あわよくばISUCON13の運営すら狙っています。
問題が作る能力があることを示すため、現在オリジナルISUCON問題を作成中ですが、ISUCONの問題を作るうえで一番障壁になるのはやはりベンチマーカーです。
超スピードでこなされる整合性の確認やタイムアウトの綿密な管理など、アプリケーション側よりも考えることが膨大で、正直過去のISUCONのベンチマーカーを読むことすらままなりませんでした。
ですが、この本があればそんな人も安心!ベンチマーカー(基礎の基礎ですが)の作り方を0から解説していただいていて、最低でも過去のベンチマーカーが読めるくらいには基本の考え方が理解できるようになりました。
このまま最高に楽しい問題の完成に向けてガンガン突き進んで行けそうです!
その他
これから読む人向けのアドバイスとして、全体を包括的に取り扱う章と各コンポーネントを深堀りする章でたまにほぼ同じ文章が書かれていて、後に出てきた部分を丸々読み飛ばしかけてしまったので、どこを読んだかきちんと把握しながら読み進めるのがオススメです。
ISUCON本の購入を検討している人、またISUCON本を買ったはいいものの、どんな本かわからなくて読むモチベが湧かない人の参考になれば幸いです。
@anko
ISUCONを経験した上でこの本を読んで、今まで自分で不十分な理解やコピペで行っていたことを基本から丁寧にロジカルに説明されていて、自分の理解の解像度が上がったように感じました。というのも単に何をすべきかを示すのでなく、計測結果から何を改善すればよいのか、体系的にたくさんの具体的事例で示しているところが、他にない本だったからだと思います。
また、本書ではそういった様々なパフォーマンスチューニングする為の「考え方の種」を蒔いており、考え方の取っ掛かりを示してくれています。読者はそのレベルに応じて、その「考え方の種」から、発展的に自発的にいろいろな応用を目指すことができると思います。したがって、ISUCONだけではく、もっと広い初学者や現場技術者にとっても、参考になる本だと思います。